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彼女について③
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平日、びーちゃんとは学校が終わってから時間が合えば会います。放課後デートってやつですね。学校帰りなのでお互い制服なのですが、ある時からびーちゃんは毎日スカートの下に黒タイツを履くようになりました。
「暑くないんですか?」と聞くと、「大丈夫、タイツ好きだから」と言っていました。その時は納得しましたが、夏になっても汗をかきながら履いているので、さすがに心配になりました。
それから待ち合わせをしている時は、暑そうにしている彼女のために冷たい飲み物を用意して渡しました。びーちゃんは喜んで「ありがと!」と言ってゴクゴク飲み、「半分こする?」と口をつけたペットボトルを僕に差し出してきます。
《か、関節キス…!!!》
「い、いえ!それはまだ…!」と言って慌てていると、びーちゃんはお腹を抱えて笑いました。びーちゃんが笑ってくれると、僕も嬉しいです。その笑顔が愛らしくて、つい触れたくなって、僕はまた手を繋ごうとしました。
しかし、手をそっと握ろうとするとびーちゃんは焦ったように手を避けました。手を繋ごうとしたのはあのデートの日以来です。
《避けられた…?》
いくら恋愛経験がない僕でも、思い切り拒否されたと気付きます。それがショックで何も言えずにいると、びーちゃんもハッと気が付いたように慌てて僕に謝りました。
理由も分からないので、純粋に嫌がられたと思って呆然としていると、びーちゃんは「違うの!」と言って僕に寄りかかってきました。僕の胸に頭をつけて、制服のシャツをきゅっと掴んできたんです。
《!!!!???!???》
嫌がられたと思ってからの、この思わぬ接触。僕は驚いて両手を上げたまま固まってしまいました。こんなに近付いて、至近距離で抱きつかれたのは初めてだからです。
「嫌だったんじゃない!緊張しちゃって…」とびーちゃんは、か細い声で呟きました。いつも余裕があって僕を茶化したりリードしてくれているびーちゃんが、手を繋ぐことに緊張して?そして僕の胸に震えて寄りかかっている。それがズッキュンしてしまい、僕は思わずその体を抱きしめてしまいました。
《ああ…!僕はヘタレのくせに何を…!で、でも急にこうしたくなって…!》
すると、びーちゃんは拒否せずに僕に身を委ねているようでした。ボクの背中に手を回し、抱きしめ返してくれたんです。それが嬉しくて、もっとギュッとすると…「ん?」と違和感を感じました。
抱きしめたびーちゃんの体は、想像よりも筋肉質…というか。背中が厚く腰が細い…いわゆる逆三角形という感じで。
《ん?あれ、ん??》
いやいや。僕は何を失礼な…女子でも筋肉質だったり、逆三角形だったりするでしょう。びーちゃんは実は筋トレが好きなんでしょうか…トレーニーなびーちゃんも素敵です…。
それにしても、何か下半身に当たっているような…。
《!!??》
その違和感を感じた時、びーちゃんは僕から勢いよく離れ、肩にかけていた鞄を胸の前で抱えました。そして「ごめん!今日は帰るね!」と走って行ってしまいました。
「……ん?え?い、今のは?」
取り残された僕は、またまた呆然としたまま立ち尽くしていました。
「おーい、大丈夫か?」
どれくらい時間が経ったのか。しばらくして、誰かが僕をツンツンしてくる感覚で意識が戻りました。振り向くと、クラスメイトで友達の男子、志音が木の枝で僕をつついているではありませんか。
志音は僕のようなモブ顔ではない、主人公ばりの茶髪イケメンです。好きなアニメや趣味が合うので、仲良くなって…っと、そんな話は今どうでもいいです。
「どうでもよくな《さっきのびーちゃんは一体何だったんでしょうか…そっちの方が大事です》
あの違和感は一体…
「暑くないんですか?」と聞くと、「大丈夫、タイツ好きだから」と言っていました。その時は納得しましたが、夏になっても汗をかきながら履いているので、さすがに心配になりました。
それから待ち合わせをしている時は、暑そうにしている彼女のために冷たい飲み物を用意して渡しました。びーちゃんは喜んで「ありがと!」と言ってゴクゴク飲み、「半分こする?」と口をつけたペットボトルを僕に差し出してきます。
《か、関節キス…!!!》
「い、いえ!それはまだ…!」と言って慌てていると、びーちゃんはお腹を抱えて笑いました。びーちゃんが笑ってくれると、僕も嬉しいです。その笑顔が愛らしくて、つい触れたくなって、僕はまた手を繋ごうとしました。
しかし、手をそっと握ろうとするとびーちゃんは焦ったように手を避けました。手を繋ごうとしたのはあのデートの日以来です。
《避けられた…?》
いくら恋愛経験がない僕でも、思い切り拒否されたと気付きます。それがショックで何も言えずにいると、びーちゃんもハッと気が付いたように慌てて僕に謝りました。
理由も分からないので、純粋に嫌がられたと思って呆然としていると、びーちゃんは「違うの!」と言って僕に寄りかかってきました。僕の胸に頭をつけて、制服のシャツをきゅっと掴んできたんです。
《!!!!???!???》
嫌がられたと思ってからの、この思わぬ接触。僕は驚いて両手を上げたまま固まってしまいました。こんなに近付いて、至近距離で抱きつかれたのは初めてだからです。
「嫌だったんじゃない!緊張しちゃって…」とびーちゃんは、か細い声で呟きました。いつも余裕があって僕を茶化したりリードしてくれているびーちゃんが、手を繋ぐことに緊張して?そして僕の胸に震えて寄りかかっている。それがズッキュンしてしまい、僕は思わずその体を抱きしめてしまいました。
《ああ…!僕はヘタレのくせに何を…!で、でも急にこうしたくなって…!》
すると、びーちゃんは拒否せずに僕に身を委ねているようでした。ボクの背中に手を回し、抱きしめ返してくれたんです。それが嬉しくて、もっとギュッとすると…「ん?」と違和感を感じました。
抱きしめたびーちゃんの体は、想像よりも筋肉質…というか。背中が厚く腰が細い…いわゆる逆三角形という感じで。
《ん?あれ、ん??》
いやいや。僕は何を失礼な…女子でも筋肉質だったり、逆三角形だったりするでしょう。びーちゃんは実は筋トレが好きなんでしょうか…トレーニーなびーちゃんも素敵です…。
それにしても、何か下半身に当たっているような…。
《!!??》
その違和感を感じた時、びーちゃんは僕から勢いよく離れ、肩にかけていた鞄を胸の前で抱えました。そして「ごめん!今日は帰るね!」と走って行ってしまいました。
「……ん?え?い、今のは?」
取り残された僕は、またまた呆然としたまま立ち尽くしていました。
「おーい、大丈夫か?」
どれくらい時間が経ったのか。しばらくして、誰かが僕をツンツンしてくる感覚で意識が戻りました。振り向くと、クラスメイトで友達の男子、志音が木の枝で僕をつついているではありませんか。
志音は僕のようなモブ顔ではない、主人公ばりの茶髪イケメンです。好きなアニメや趣味が合うので、仲良くなって…っと、そんな話は今どうでもいいです。
「どうでもよくな《さっきのびーちゃんは一体何だったんでしょうか…そっちの方が大事です》
あの違和感は一体…
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