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溺れる身体Ⅲ②

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「いえ、レイカさんに許してもらえるなら、予約の仕事をすべて終えてから辞めたいです」
「うん、それは構わないわよ。お客様の方々にはお世話になったのだから、きちんとお別れしてきなさい」
「はい、わかりました」

 お別れの御挨拶とともに感謝の気持ちも伝えよう。ここまで僕を育ててくれたのは、間違いなくお客様の方々なのだから。

「ただ、『キャッスル』の方は大丈夫でしょうか? タクマさんに次いでカズと僕が抜けて、残されたキャストたちで仕事は回っていきますか?」

「それは君の心配することじゃない。元々出入りの激しい業界だし、心配しなくても新人が次々と入ってくるからね」

 レイカさんは笑顔で言う。

「これまで通り、私が選んで教育したキャストをお客様に紹介し、よりよいサービスの提供を心がけていく。キャストの顔ぶれが変わっても、仕事内容とシステムは何も変わらない。一時的に、離れていくお客様がいるかもしれないけど、その代わりに新たなお客様がやってくる。どんな仕事でも波があるのだから、浮き沈みに一喜一憂なんかしていられない。シュウくん、仕事ってそういうものよ」

 きっと、その通りなのだろう。カズや僕がいなくなっても、その穴はやがて埋まる。僕はうぬぼれて、自分を過大評価していたようだ。赤面の至りである。
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