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淫らな果実⑱
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強烈な一撃が、ザクロの奥底に決まったのだろう。良恵さんが思い切り、左手に噛みついた。身体をよじらせて、脚をガクガクと震わせている。
一気にエクスタシーに達したらしい。僕に支えられながら、快感の余韻に浸っている。
でも、のんびりしてはいられない。後始末を手早く済ませると、フックにかけたトートバックをつかむ。ドアの向こう側では、誰かがトイレに入ってきた気配がした。店員さんかもしれない。
ためらっている暇はない。レバーを踏んで水を流すと、ぐったりした良恵さんに肩を貸して、僕は個室のドアを開けた。目の前に、女子店員が驚いた顔で立っていた。
「すいません、彼女が吐きそうだったので、トイレをお借りしました。どうやら、熱中症みたいです。近くに病院はありますか?」
何か言われる前に、一気にまくしたてた。良恵さんも調子を合わせて、苦しげに呻いてくれた。
「タクシーをつかまえた方がいいかもしれないな。すいません、お騒がせしました。失礼します」
あとは、ひたすら逃げの一手だ。呆然とした店員さんを残し、良恵さんを抱きかかえて、立ち去ることにする。
表に出ると、再び熱気に包まれた。思わず、クラッとくる。
「とりあえず、ホテルに戻りましょう」
幸い、良恵さんは頷いてくれた。彼女自身が疲れていたこともあるし、さらにアバンギャルドな行為をするためには小休止が必要だ、と認識していたからだろう。
だが、これまでの経緯から延長になることは、容易に想像がついた。
【淫らな果実・完】
一気にエクスタシーに達したらしい。僕に支えられながら、快感の余韻に浸っている。
でも、のんびりしてはいられない。後始末を手早く済ませると、フックにかけたトートバックをつかむ。ドアの向こう側では、誰かがトイレに入ってきた気配がした。店員さんかもしれない。
ためらっている暇はない。レバーを踏んで水を流すと、ぐったりした良恵さんに肩を貸して、僕は個室のドアを開けた。目の前に、女子店員が驚いた顔で立っていた。
「すいません、彼女が吐きそうだったので、トイレをお借りしました。どうやら、熱中症みたいです。近くに病院はありますか?」
何か言われる前に、一気にまくしたてた。良恵さんも調子を合わせて、苦しげに呻いてくれた。
「タクシーをつかまえた方がいいかもしれないな。すいません、お騒がせしました。失礼します」
あとは、ひたすら逃げの一手だ。呆然とした店員さんを残し、良恵さんを抱きかかえて、立ち去ることにする。
表に出ると、再び熱気に包まれた。思わず、クラッとくる。
「とりあえず、ホテルに戻りましょう」
幸い、良恵さんは頷いてくれた。彼女自身が疲れていたこともあるし、さらにアバンギャルドな行為をするためには小休止が必要だ、と認識していたからだろう。
だが、これまでの経緯から延長になることは、容易に想像がついた。
【淫らな果実・完】
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