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クラブ・キャッスル⑥

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 レイカさんはソファセットに身を沈めて、アート系の雑誌を読んでいた。ライトブルーのパンツスーツが、抜群のプロポーションにフィットして、とてもよく似合っていた。

 レイカさんのクールなルックスは、見せかけではなく、美的センスに裏打ちされたものだ。デスクのペーパーナイフひとつとっても、レイカさんなりのこだわりがある。

「あら、珍しい組み合わせね。シュウくんは毎週この時間帯だけど、カズくんとタクマくんまで来るなんて、どういう風の吹き回し?」

 レイカさんは大判の雑誌をパタンと閉じて、悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「それとも、何かの悪巧わるだくみかな」

 レイカさんと付き合いが最も長いのはタクマさんだ。

「別に、ただの偶然ですよ。俺は久しぶりに、レイカさんと会いに来ただけ。カズの目論見もくろみは知りませんけどね」

「なぁに、目論見って?」レイカさんが興味津々の表情で、カズを見やる。「はっ、『キャッスル』を辞めてライバル店に移るとか、そういう話じゃないでしょうね」

 もちろんジョークにすぎないが、カズは大真面目に調子を合わせ始める。

「レイカさん、ずっと我慢してきましたが、俺は断固、待遇改善を要求します。ナンバー1を失いたくないのなら、ギャラを二倍にするっすよ」
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