裸のプリンスⅡ【R18】

坂本 光陽

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ゴージャス・ボディ④

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 アーモンド形の瞳が情欲に燃えていた。むきだしの性欲を目の当たりにするのは久し振りだ。ノアさんの表情は、舌なめずりをする大型肉食獣のように見えた。

 もちろん、僕はコールボーイらしく、若い男の肉体をたっぷり堪能してもらうつもりだ。

 ただ、初めてのお客さんなので、趣味嗜好が不鮮明ではある。言葉通り、ワイルドで荒々しいセックスを望んでいる、と受け取っていいのかどうか、判断に迷うところではある。

「優しくして欲しい」と言っておいて、実際には激しいセックスを望んでいた、というケースは少なくない。

 ここは彼女の反応を確認しながら、趣味嗜好を探っていくのがベターだろう。

「失礼します」

 僕は静かにベッドに上がる。ノアさんは長い脚を組んで、優雅に寝そべっている。日本人離れをしたスタイルとプロポーションだ。改めて、完璧な身体に圧倒される。

「“僕の仕事はお客様に満足していただくこと”だっけ? 自分が口にしたことを忘れないでよ」

 笑いを含んだおっしゃりようが、僕の中にあるSを刺激する。いきなりケダモノみたいに襲い掛かり、激しく責め立てて、彼女を思う存分翻弄してしまいたい、という衝動にかられそうになる。

 だけど、見え見えの挑発にのって、直情的に突き進むのはスマートではない。ビギナーのようでみっともないし、そんな無作法は僕のキャリアが許さない。

 僕はベッドに両手をついた。目の前にあるのは、美しい脚である。

 エステで磨きをかけているのだろう。絶妙なカーブを描いた脚には染み一つなく、文字通り光り輝いていた。

 僕は左足首に両手を添えて、顔を近づけていく。足の甲の中央にそっとキスをする。かすかな震えと息を飲む気配が伝わってきた。まさか、足からくるとは思わなかったのだろう。

 舌先で足の甲に8の字をいくつも描いた後、指にとりかかった。まず、親指の爪にキスをした。スカイブルーのペディキュアで彩られている。

 舌先でなめると心なし、ミントのような味がした。

 親指を口に含むと、ノアさんは小さな悲鳴を上げた。でも、逃げない。予想外の快感に戸惑っているけれど、拒絶はしていない。

 幸先がいい。僕は大胆に舌先を使った。赤ん坊が指をしゃぶるように吸い上げたりもした。息を飲む気配と同時に、ノアさんの脚がブルッと震えた。

「ここを愛撫されるのは、初めてですか?」

 僕の問いかけはスルーされたが、ビビッドな反応は雄弁だった。緻密な作業をこなす手の指には神経が集中しているが、足の指も負けず劣らず敏感な部位である。

「気持ちいいですか?」
「……まぁまぁかな」

 そんな強がりも可愛らしかった。
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