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悩ましいボイス③

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 僕は無言で、彼女を見つめる。意識して、視線に冷ややかなものを込めた。

「トラブルに巻き込まれるのは面倒なので、これで失礼します」そう言って、立ち上がる。
「ええっ、そんな。ちょっと待って」

 ルナさんが突っ伏したまま、うるんだ瞳で僕を見上げた。

「いえ、これで失礼します。ルナさんにお会いできて、楽しかったですよ」そっけなく言い捨てて、さっさと立ち去ろうとする。

「ま、待って……」ルナさんは僕の腕にすがりつく。「お願いだから……、私のことを軽蔑しても構わないから……、もう少し付き合ってください」

 帰ろうとしたのは演技なので、もう少し付き合うのは、やぶさかではない。ルナさんのようなタイプはとても興味深いし、じっくり話を聞いてみたい。率直に言って、女性としても魅力的でもある。

 どうやら僕は、知的でありながら、淫らでセックスが大好きというタイプに、強く魅かれてしまうようだ。

「……わかりました」

 僕は渋々といった態度で、彼女の隣に腰を下ろす。手を伸ばせば届く距離だけど、もう少しスキンシップは我慢してもらう。

「ひょっとして、ルナさん、僕の事務所から何か吹き込まれましたか? “シュウは察しがよくてアドリブが利くから、あなたの好きなように振舞っていいですよ”とか」

 ルナさんは頬を染めて、コクンと頷いた。本当は、前もって〈羞恥プレイ希望〉を教えてもらった方がいいけれど、それを素直に伝えてくれるのはレアケースだ。僕は彼女を刺激するために、意識的に冷ややかな眼をつくり、彼女を見つめてさしあげる。

「こんなに知的で可愛らしいのに、ルナさんは変態なんですね」

 僕は唐突に、ローターのスイッチを入れた。ルナさんはビクンと身体を震わせて、苦しげに悲鳴を噛み殺す。身体をくねらせながら、僕にもたれかかってきた。彼女の小さな身体を受け止めて、耳元に口を寄せる。

「ここでもっと、はずかしめてほしいんですね。店員さんに恥ずかしい姿を見られるかも……。そういったスリルがたまらないんでしょ」

 スイッチを入れたり切ったりしながら、僕は問い詰める。

 ルナさんは慌しく頷いて、僕に身体を擦りつけてくる。胸のふくらみが感じとれた。おそらく、スプリングコートの下では、水蜜桃の先端にあるチェリーが隆起しているのだろう。

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