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犯罪者
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あのときの感情を味わうために父親を殺害したナイフを持つ。
井岡は学校で学んだことがある。
家族と他人では距離が違う。
そんな当たり前のことを学んだ。
家族のように距離を近くするにはどうすればいいと悩んだ。
同性、異性であれば友人と呼ばれる関係がある。
異性だと恋人の関係もある。
井岡は異性というのに面倒くさいものだと思う。
どうも感情的になるのが周りの異性には多かった。
友人になり距離を縮める。
彼はたやすいものだった。
周りにお手本となるものがいた。
お手本のものを見て、真似て次第にオリジナルにしていく。
この時の彼は自分に真似る才能があり、自分のものにしていく才能に気づいたのだ。
これは対人関係に上手く役立ていく。
相手は友人と認めた。
しかし、井岡は友人なんてみていない。
あくまでも殺害するためのステップである。
ターゲットをいかに欺き、自分の手中におさめるかの段階だ。
年を重ねて、異性の距離の苦手意識はなくなっていく。
彼の中の仮面をどんどん精巧につくっていく。
自分を魅力的にみせる仮面だ。
本当の顔は人を殺したいだけだ。
私はノートを閉じる。
父親はなぜ殺害したのかが疑問である。
井岡司の母親に会い、コンタクトをとれた。
私に心を開いてくれて、幼いころの家庭生活を教えてくれた。
それと高校までの家庭生活だ。
母親の証言によれば、父親は温厚であり生真面目。
仕事は普通に働き、同僚たちに慕われていた。
父親には難点がある。
酒癖だ。 酒がはいると暴力をふるったのだ。
母親と井岡は耐えていた。
息子の司は暴力をさけるため家を出たりしたのだ。
これは司が痛い目にあわなかったが、母親はあっていた。
司は母親のダメージを少なくするために父親の視界に入らないように避けていく。
父親は酒がはいれば、暴力をふるう相手を見つけていく。
ふたりはどんなにどんなに逃げてもだ。
逃れることのできない呪縛である。
「あの子は不思議がっていました。 普段の父親と暴力をふるう父親の二面に。 あの子は言いました。 なぜお父さんは変わるんだいってね。 答えられませんでした。 あたしにもわかるわけがありません」
「司さんはどうしていたのです?」
「司はあたしを庇い、暴力をあたしより受けていました。 見るに耐えない光景でした。 だけど、やめてとは言えません。 余計にひどくなる。 何もせず、嵐が去るのを待つしかない」
「父親はいついなくなりましたか?」
母親は目を大きく見開く。
「司が中学生のころでしょう」
「中学生のころですか。 司さんは何か言っていませんでした」
「嵐は去ったね、と。 あたしにはさっぱりわかりません。 日にちが経つと嵐が去っていたことを実感したのです。 あの子が毎日幸せに送れるのではないかとあたしはそう思いました」
けど、違ったのですね──私は言う。
「はい、あの子は笑顔が少なくなり、仮面を被っているようでした。 司は司と同じ顔をした人間になったのです」
彼が言っていた死体をみたと血がキレイにみえたは父親ではないだろうか。
母親の証言と一致する。
井岡司のノートは記憶違いだ。
正確には中学生のころだ。
司は中学生のころはまだ幼いころのまま成長しきれていなかったのだろう。
「興味深い発言ですね。 その司さんは日々の生活はこれまでとは変わりはなかったのでしょうか?」
「なかったです。 中身が変わった点だけでしょうかね」
井岡は学校で学んだことがある。
家族と他人では距離が違う。
そんな当たり前のことを学んだ。
家族のように距離を近くするにはどうすればいいと悩んだ。
同性、異性であれば友人と呼ばれる関係がある。
異性だと恋人の関係もある。
井岡は異性というのに面倒くさいものだと思う。
どうも感情的になるのが周りの異性には多かった。
友人になり距離を縮める。
彼はたやすいものだった。
周りにお手本となるものがいた。
お手本のものを見て、真似て次第にオリジナルにしていく。
この時の彼は自分に真似る才能があり、自分のものにしていく才能に気づいたのだ。
これは対人関係に上手く役立ていく。
相手は友人と認めた。
しかし、井岡は友人なんてみていない。
あくまでも殺害するためのステップである。
ターゲットをいかに欺き、自分の手中におさめるかの段階だ。
年を重ねて、異性の距離の苦手意識はなくなっていく。
彼の中の仮面をどんどん精巧につくっていく。
自分を魅力的にみせる仮面だ。
本当の顔は人を殺したいだけだ。
私はノートを閉じる。
父親はなぜ殺害したのかが疑問である。
井岡司の母親に会い、コンタクトをとれた。
私に心を開いてくれて、幼いころの家庭生活を教えてくれた。
それと高校までの家庭生活だ。
母親の証言によれば、父親は温厚であり生真面目。
仕事は普通に働き、同僚たちに慕われていた。
父親には難点がある。
酒癖だ。 酒がはいると暴力をふるったのだ。
母親と井岡は耐えていた。
息子の司は暴力をさけるため家を出たりしたのだ。
これは司が痛い目にあわなかったが、母親はあっていた。
司は母親のダメージを少なくするために父親の視界に入らないように避けていく。
父親は酒がはいれば、暴力をふるう相手を見つけていく。
ふたりはどんなにどんなに逃げてもだ。
逃れることのできない呪縛である。
「あの子は不思議がっていました。 普段の父親と暴力をふるう父親の二面に。 あの子は言いました。 なぜお父さんは変わるんだいってね。 答えられませんでした。 あたしにもわかるわけがありません」
「司さんはどうしていたのです?」
「司はあたしを庇い、暴力をあたしより受けていました。 見るに耐えない光景でした。 だけど、やめてとは言えません。 余計にひどくなる。 何もせず、嵐が去るのを待つしかない」
「父親はいついなくなりましたか?」
母親は目を大きく見開く。
「司が中学生のころでしょう」
「中学生のころですか。 司さんは何か言っていませんでした」
「嵐は去ったね、と。 あたしにはさっぱりわかりません。 日にちが経つと嵐が去っていたことを実感したのです。 あの子が毎日幸せに送れるのではないかとあたしはそう思いました」
けど、違ったのですね──私は言う。
「はい、あの子は笑顔が少なくなり、仮面を被っているようでした。 司は司と同じ顔をした人間になったのです」
彼が言っていた死体をみたと血がキレイにみえたは父親ではないだろうか。
母親の証言と一致する。
井岡司のノートは記憶違いだ。
正確には中学生のころだ。
司は中学生のころはまだ幼いころのまま成長しきれていなかったのだろう。
「興味深い発言ですね。 その司さんは日々の生活はこれまでとは変わりはなかったのでしょうか?」
「なかったです。 中身が変わった点だけでしょうかね」
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