犯罪者と博士

犯罪者

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 胸から血が流れだしていく。
 眼前に死体ができた。
 僕が刺したナイフにより、血を止めようにも女性はできなかった。
 イスに手足ガムテープで縛っていたため行動できなかったのだ。
 手袋をつけて、ガムテープをはがす。
 鼻歌を歌いながら、死体袋に入れる。
 死体袋をかつぎ、あまり人が入ることのない森の中で土を掘り起こす。
 充分なスペースができたら、後は埋めるだけ。
 作業を終えて、静寂を楽しむ。
 殺害したあとに感動にひたるためだ。
 静かさが僕を反省させ、次に良くさせる。
 今回はしくじっている。
 女性を連れ出すときに本名を名乗ってしまったこと。
 これは最悪なミスだった。
 獲さらった女性しか聞いていないのが幸いだ。
 悪運が強く、まだ僕という存在まで辿りついていない。




 ちゃんと下調べをしていた。
 女性は女では珍しく、群れはしない。
 友人は3、4人といて深い付き合いはあるのだが、１週間のうち水曜日と木曜日に決まって会っていた。
 これほど、ターゲットとして簡単な人物はいない。
 そのとき、嫌だったのが殺したいという衝動を抑えなければならないのだ。
 衝動を抑えたさきに僕には快感が待っている。
 人を殺すことである。
 さてと証拠になるものは別のところへ埋めた。
 家に帰ろう。
 ナイフに水と消毒薬をつける。
 愛用している刃物は手入れをしなければ血の臭いで人に不審におもわれる。
 家に戻り、シャワーを浴びてテレビをつけた。
 僕がやった一件以外に自分を危うくさせるのはないかチェックするのだ。




 この何気ないことが自分を助けてくれると信じている。
 だから、まだ僕は３年間警察から疑われるのはないんだろう。
 テレビは芸能人のことについてばかりだ。
 つまらなくなり、テレビの電源を消す。
 レポートを書かなければいけない。
 大学生と自由に時間が使える立場を続けるために書こう。
 時計は午後の11時を指す。
 レポートを書き終えて、就寝につく。
 翌朝、大学へ向かう。
 心理学を学ぶためとひとつの楽しみがあるのだ。
 心理学は犯罪を行うときに役立っている。
 ひとつの楽しみは僕に情報をくれる人物。
 福士輝だ。
 彼はミステリーと犯罪について特に興味がある。
 他にいろいろなことを知っている。
 外見は冴えない。 前髪が額の一部を隠しており、目は一重。
 登山に持っていくようなリュックサックを持ってる。




 顔のところどころにニキビの潰れたあとがある。
 周りからは変人扱いされており、友人と呼べる人物はいないのだ。
 最初、僕は福士を殺そうと探りをいれていた。
 だが、話しているうちに自分の知らない知識をもっていて、僕に役立つ情報をくれる。
 殺すのにはもったいない。
 授業をおえて、福士輝に会う。
 彼は分厚い本を読んでいる。
 よくよくと見れば、科学の雑誌とその他の雑誌を重ねて読んでいた。
 福士の変わった癖である。
 読み終えたものは奥へといく。
 手前のものはまだ読んでいない、または読もうとしているものだ。
「変わった癖だね。 時々、こんなのを見かけるけど何でなのかな？」
「これかい、なんでか癖みたいなんだ。 俺は気がついたらこんなことをしている」