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宮田は執事の佐藤を呼びにいく。 佐藤は窓から外を眺めている。
 佐藤は宮田の視線に気づいたらしく、「何でしょう?」と問いかける。
「話を聞きたい」と言うと、うなずきついていく。
 木村は呼びに行く前に宮田に指示を出していた。 現場で話を聞けば、何らかが表情に出ると指定したのだ。
 佐藤は部屋に入っても表情に変化はない。
「佐藤さん、あなたのことを教えてください。」
「いいでしょう。 哲人様の10歳のころにわたくしは雇われました。 それまでは執事としてのトレーニングを行っておりました。 哲人様とわたくしは共に育ったと言っていいでしょう。 初めてのことで緊張していた時期もありましたが助けられたことはあります。 子供はいませんが、哲人様は息子のような存在であります。」
 木村は手で制する。
「感動する話はいい。 事件の日を話してくれ。」
 木村は毎回こうだ。 話が長くなりそうになったり、人とのエピソードを聞くとさえぎる。 本人いわく、めんどくさいからと口癖が出る。
「よろしいでしょう。 朝から何も変わりなかったです。 家族がそろい、朝食から夕食まで何ら変わらないときを過ごしておりました。 哲人様は夕食を終え、この部屋にすぐ向かいました。 各自、それぞれ続いて行きました。 わたくしは夕食の片付けを行っていました。 そして、洗い物が終わり献立をどうするか悩んでいたら、悲鳴が聞こえるのです。 何事かと悲鳴の聞こえた方向へ向かいました。 哲人様に刃物が刺されており、そばに涼子様で腰が抜けた様子。 それを見て理解したのです。 死んでいると。 経験したことがないものですから皆様、焦っていました。 どうにか、わたくしは部屋を出るように言って少しでも冷静になるようにと。 まだ焦ったままなのです。 警察に通報するのはよそうと提案しました。 皆様、うなずきました。」
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