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哲人はパソコンを万が一に開かれても大丈夫なように会社のデータを入れていないようだ。 テーブルは荒らされた様子がない。
宮田は木村の視線を感じる。
「何だ?」
「足元の金庫を開けたいだけだ。」
「すまない。」
宮田が退くと、木村は迷いなくダイヤルを回す。 ノブに手をかけ開ける。
「なぜ分かった?」
「こういうのは自分の誕生日か何か特別な数字をやるものさ。 ビジネスマンの彼がはやく思い出せるのは誕生日だ。 仕事をやるのに管理もでき、手っ取り早く出せる金庫が良かったようだ。 ノブだけが古くみえる。 それだけ頻繁に開けていたんだろう。 神経質だな。」
「なるほど。 彼について分かったか?」
「神経質であり、仕事はあまり家に持ち込まないタイプだ。 だから神経質な部分が成功へ導いた。 それはいえるな。 自分を良く魅せようという気はない。 家族の写真だけが飾られている。 物に当たった形跡はない。 穏やかな一面もみえる。 まぁ、これだけだ。」
木村はそう言ってパラパラと金庫から取り出したファイルをめくる。
見たものを写真のように記憶をしてなかなか忘れない能力を持っている。 宮田は最初疑って、300ページほどものからの1ページに何が書かれているかを訊いたことがある。
まぐれではないかと全部当ててみろと言ったことがある。 全部当てて、「めんどくさいことをさせるな」とキレられたことがあったのだ。
それ以来、宮田は問題を出すことはしていない。
「金の流れに異常もないし、破りとられた形跡はない。」
木村はそう言って金庫にファイルを戻す。
「聞きこみといこうじゃないか。」
「はぁ、めんどくさいな。」 木村はため息をつく。
「頼むから、やる気を出してくれ。」
「分かっているよ。」
宮田は木村の視線を感じる。
「何だ?」
「足元の金庫を開けたいだけだ。」
「すまない。」
宮田が退くと、木村は迷いなくダイヤルを回す。 ノブに手をかけ開ける。
「なぜ分かった?」
「こういうのは自分の誕生日か何か特別な数字をやるものさ。 ビジネスマンの彼がはやく思い出せるのは誕生日だ。 仕事をやるのに管理もでき、手っ取り早く出せる金庫が良かったようだ。 ノブだけが古くみえる。 それだけ頻繁に開けていたんだろう。 神経質だな。」
「なるほど。 彼について分かったか?」
「神経質であり、仕事はあまり家に持ち込まないタイプだ。 だから神経質な部分が成功へ導いた。 それはいえるな。 自分を良く魅せようという気はない。 家族の写真だけが飾られている。 物に当たった形跡はない。 穏やかな一面もみえる。 まぁ、これだけだ。」
木村はそう言ってパラパラと金庫から取り出したファイルをめくる。
見たものを写真のように記憶をしてなかなか忘れない能力を持っている。 宮田は最初疑って、300ページほどものからの1ページに何が書かれているかを訊いたことがある。
まぐれではないかと全部当ててみろと言ったことがある。 全部当てて、「めんどくさいことをさせるな」とキレられたことがあったのだ。
それ以来、宮田は問題を出すことはしていない。
「金の流れに異常もないし、破りとられた形跡はない。」
木村はそう言って金庫にファイルを戻す。
「聞きこみといこうじゃないか。」
「はぁ、めんどくさいな。」 木村はため息をつく。
「頼むから、やる気を出してくれ。」
「分かっているよ。」
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