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112 サーシャ視点⑭
しおりを挟む当然平民だって戦争の余波で疲弊した筈だったけど、逞しく働く事のできる平民達の方が立ち直りが早く、それなりに幸せに生きていけるとさえ言われていた位だったのだ。
そんな事があり不満を持つ貴族達がどんどん増えていき、国もやっと重い腰を上げ貴族の子息子女の学びの場の在り方を見直すことになり、政策として貴族学園での学び方を変え将来的に男女の差が無く働けるだけの知識を学ばせる方向に舵を切った。
だけど、女性の働く先としての受け皿は以前と変わらず少なかった。
そんな中、オルコット商会は自社だけではなく国内外にある商会や作業場、工場等を傘下に迎える事で連携させて行き、性別を問わず大勢の人達が自分の能力を活かせる職場を提供することに成功していた。
元々オルコット商会自体が女性の雇用に積極的だったけれど、男性優位の考え方をする他社は今は減ったとはいえ国が教育制度を変えた当初はまだまだ多かったらしい。
彼らの考え方の方向性をたった5年足らずで変えさせていったのは、当時子爵子息だったエイダン・オルコット。
今や私の上司。
彼は自分の足でどんな場所にでも出向き、頭の硬かった連中を自ら説得して回ったという。
私が学園に入学して卒業する迄の間にこの王国は凄いスピードで変化をした。
最終学年の頃には、この国は生まれ変わったのだと学生達は口々に言い私もそれを信じていたのだ。
でも今もこの国は未だに過渡期なのだとチャーリーさんは言う。
だから会長は休み無く働き、誰よりも忙しいのだと第1秘書は心配そうに眉を下げた。
私も含め学園の卒業生達は間違い無く彼の作ってきた道程の恩恵を受けて今がある。
その側に秘書としていられる様になるとは思いもしなかった。
毎日が驚きの連続で覚えることは山程あって。
それでも役に立って見せると、心意気だけはチャーリーさんにも負けないつもりだったし、今もそうだ。
尊敬して止まない人。
憧れの人。
とてもじゃ無いけど夢で毎日会ってますなんてそんな図々しいこと言えるわけがない。
なのに、なんで・・・
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