初恋の君に嫁ぐ為には、王族を蹴散らし、魔獣と戦い？獣王様を屈服させる！？必要があるんだそうです・・・

１章

１１④

　流石に不思議だったので入学を期に自分なりに調べてみたら、侯爵家の財力以外にも理由らしきことに行き当たった。


　まず、貴族院議会で王妃の実家つまり俺の母方の爺さんが派閥を上げて反対意見を取り沙汰すら出来ないように押さえつけている。

　文句が出ないはずだよ。



　あと、疑わしいのがもう一個。


　実はたった一ヶ月位の間だがヘイワード侯爵が元は母上の婚約者だったという事だ。

　勿論その頃父上にも隣国の王女殿下というれっきとした婚約者が居たらしい。

　所が父上の婚約者が流行病で亡くなってしまったため立太子出来なくなったのだ。

　これには我が国も隣国王家も慌てた。

　ドッカ王国の王太子になるには婚姻が成立し妻帯者である事が条件の一つになっているからだ。しかもその頃俺の曾祖父つまり前国王が老衰でヤバかったらしい。

　俺の爺さんが本来なら立太子して次期国王の筈なんだが、国王になるにはちょっとどころかかなりチャランポランだったので良くて中継ぎ程度と言われてた。

　そのせいで孫である父を立太子させたかったというのが原因だ――因みに爺さんは元々酷い放浪癖があったらしく今は行方不明だ。今は離宮で暮らしてる婆さんがしっかりした人だったので父は優秀に育ったのだ。


　――話を戻そう。


　王家も貴族院も苦肉の策として、年齢的に釣り合う高位貴族の令嬢だった母上とヘイワード侯爵子息との破婚を決め、急遽王太子妃になったのが母上だったのだ。


　コレには驚いた。


　 ヘイワード侯爵は確かに今でもイケオジだし、父上と違って髪もフサフサで腹も全然出てない。


　・・・多分若いころはめっちゃモテてたはずだ。


　まさかと思うけど母上は俺とリリーベルの婚姻にこだわるのか？！ ――　なんか怖いぞ？


　幼い頃リリーベルとの婚約を白紙にしたいと進言する度に鬼の形相になり、俺の頬を扇で叩いたり、短鞭を持ち出し手を叩いてくる様になった母上の姿を思い出す。

　普段はもの静かで周りには穏やかに接しているが、そのギャップは誰も信じないだろう。

　そして色々と考えてもいるうちに、俺は嫌な事に気がついた。

　それは、リリーベルとヘイワード侯爵夫人彼女の母親はまるで同じ赤毛だということ――


　背中に冷たいモノが流れた気がした。