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1章

9① 万年3位?!〜マーカス・フォルティ伯爵子息視点

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 俺の名前はマーカス・フォルティ。

 父はこの王国騎士団の団長フォルティ伯爵家の当主で俺はその息子だ。

 兄は既に婚姻し、次期伯爵家当主として王都の南部にあるフォルティ家の領地の代官として赴任中で、王都の屋敷に住んでいる家族は両親と俺の3人。後は使用人だ。


 小さい頃から父上の様な騎士になり、いずれは王族を守る近衛騎士になるのが夢だった。


『お前は剣筋が素晴らしいな。たしかに騎士に向いているかもしれん』


 幼い頃兄と共に剣術指南を受けていた時に父上がそう漏らした言葉を聞いて俺は有頂天になった。


『お前は次男だ。この伯爵家の後継ぎは兄がいる。剣の道で身を立てるのも良いだろう』


 父の言葉を真に受けた俺は好きに生きられるんだ、と勘違いした。


 兄の様に座学を真面目に受ける事は辞め、剣を握って稽古をする時間を増やした。単純に俺は勉強やマナーを学ぶより剣を握り体を動かす方が好きだったからだ。

 父上の言う通り、俺は剣の才能が高かったらしくメキメキと上達していくのが自分でも分かった。

 王都にいる同い年の令息で俺に敵うやつなんかいなかったからだ。

 俺は有頂天になり、これなら王族を守る近衛騎士に抜擢されるのもすぐに違いない!―― そう思った。

 何故なら俺は第2王子殿下サイラス様と同い年で、ご挨拶が出来る機会があることが分かっていたからだ。

 殿下にお会いすれば、俺の腕を認めてくれるに違いない。そして側近に選ばれたら騎士団の下っ端から始めなくても入団するだけで直ぐに近衛に昇進できる。

 俺の未来は薔薇色だっただ。


 あの日までは――







 
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