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2章

23③

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 実の所、此処に持って来ようとしていたドレスは全てロザリーとオリビアに却下された。

 代わりに乗馬服を何着も用意され、裕福な平民向けの既製品を扱う王都にある大手の商家でブラウスやスカート、膝下丈のワンピースを購入し、更に女性用のチャップス等を仕立てさせられた。


『着替えは全て自分でやるんだよ? お風呂だって手伝いの侍女やメイドは居ないんだからね?』


 確かにヒラヒラしたパーティードレスやお茶会用のデイドレスなどは一人で着ることができるような代物ではない。

 だが、初恋の人に会う時くらいは綺麗に見せたいのが乙女心である。


『せっかく綺麗に着飾った姿をアルフレッド様に見てもらいたかったのに・・・』

『殿下に会う時は乗馬服が多かったじゃん』

『それはそれ、これはこれなのよッ! そもそもサイラスなんかにドレス姿を見せて誰得よッ?!』

『・・・・・・そう』

   
 ――誰得というか一応は婚約者なんだから見せるもんじゃないの?


 ロザリーとオリビアは試着室の外で待つ間、取り敢えず言葉を飲み込んだ。


 後が面倒くさいからである・・・


 そう言えば王宮へ行くのも、侯爵邸でお茶をする時もサイラスの前では乗馬服だったらしいな~と納得することにしたロザリー達である。



×××



 実はロザリーとオリビアは自分達の兄がリリーベルの想い人だと知った途端に兄だけは止めておけと、説得をした。

 そしてミュラー家の貧乏っぷりは想像の遥か上、筆頭侯爵家のお嬢様ではあの家の嫁など務まるような簡単なものではないと2人掛かり、それどころか近衛の姉2人迄王宮から引っ張って来て4人で説得を始めた。


「貧乏暮らしは簡単ではありませんよ」

「何もかもが自分で出来ないと無理なのですよ?」

「悪いことは言いません諦めて下さい』

「もっと相応しい方がいるでしょう」


 もうとにかく、全員が口を揃えて反対してくるのだ。


「そんなにアルフレッド様に私は釣り合いませんか?」

「「「「・・・違います!」」」」


 ガックリ肩を落とす4人姉妹である。


 
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