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episode3 幸せになりたいなら、なりなさい

16話 ココは一体何処でしょう? 

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 「分かった! 調べた所でただ穴が続く廃坑だったって事なんだからさ、上に出りゃあいいのよ」


 そう言いながら、急に立ち上がったのは魔女の黒い帽子を、ヘアバンドに変えた姿のマリーである。


 「え? 上って・・・」


 立ち上がった姉に渋顔を向けるジューン。

 残る四人もポカ~ンと立ち上がった彼女を見つめる。


 「だってさ、こっから入口まで戻るなんて面倒だし、この穴が何処のあたりかなんてぜんっぜん分かんないじゃないのさっ」


 腕組みをして膨れっ面をする魔女。その手には地図らしき物が握られているが、グネグネと折れ曲がった坑道を長い事歩いて来た為、全く今となっては意味はなさそうな代物である。


 「確かに。移転スクロールを入口に置いとくのをやっときゃ良かったよな」

 「ここまで長いとかは思わんかったからそこは失敗だったな」


 2つのチームリーダーが肩を竦める。


 「上向いてぶち抜く方が楽かもしれん」


 ――人間疲れると思考力が下がるが、脳筋は最後に筋肉にモノを云わせる――


 まる。



××××××××××



 転移魔法の光が目の前で眩しい光を放ったのは覚えているが・・・


 「ここは何処かしら?」


 首を傾げながら、目の前に広がっている景色を眺めるシンシア王女。


 因みに彼女の目の前に展開されている景色はくすんだグレーの壁と、黒い鉄格子である。

 鉄格子の向こう側には薄暗い廊下が続いていて、彼女自身は簡素な木製ベッドに座っている所だ。

 ベッドの横には小さな机があり、その上に燭台が置いてあり魔石灯が弱い光を放っている――


 「まるで本で見た地下牢? みたいだわ・・・」


 ウ~ンと首を更に撚るシンシア。

 ハイドランジアには地下牢は存在しないので、昔資料で見た知識しかないのである。


 「地下牢なら、我国じゃ無いわね」


 呑気にキョロキョロと見回す彼女。


 「誰かいらっしゃいませんこと~?」


 彼女は鉄格子に向けて声を上げたが、返事どころか何の音もしない。


 「困ったわ。転移の魔法どころかこの間神聖魔法が備わったばかりですのに・・・」


 そう。魔力は十分あるのだが、何しろ魔法の実地訓練などしたこともない。座学の知識は十二分にあるのだが・・・


 「どなたか~、いらっしゃいませんこと~?」


 やはり返事は無さそうである。


 「迎えを待つしかないのかしら・・・」


 引き続き首を傾げながら、自分の出来る事は何かないだろうかと考えるシンシア王女である。




 
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