71 / 100
episode3 幸せになりたいなら、なりなさい
13話 従順であるより強かであれ
しおりを挟む
「すでに亡くなった母が私に教えた生き方は『従順であるより強かであれ』だったのですが、その教えのお陰で何度も助かりました。母は美しい上に魔法の才が飛び抜けており、先王に見つかった途端に愛妾として召し上げられたらしいんですが、当時の後宮はなかなかの魔窟だったらしくて生きるか死ぬかを毎日繰り広げていたらしいです。なので自然と私も死なないように処世術が身につきましてお陰様でこの年になるまで生き延びましたね」
「「「はぁ・・・」」」
「ですが今回ばかりはそういう訳にはいかないようでしてね。このままだと愚王の傀儡まっしぐらです。彼の自慢の諜報部隊も魔法奴隷もトリステスとハイドランジアに拘束されてしまいましたのでね。焦っているのでしょうねえ~。ここへきて私が魔法を使えることをやっと思い出したのでしょう」
いかにも困ったと言わんばかりに肩をすくめる公爵閣下だが、その表情は若干悪戯を考えている子供のように見える。
「義兄以上に情報は握っていますので、大抵彼が次にしでかそうとする事は予測がつきますので」
にこりと微笑むその顔はその色合いも相まってなのか、どこか大叔父や甥を思い出させるなとミゲルは思わずにいられなかった。
「ですので、このまま黙って彼に好きなようにさせるつもりは全くありませんよ」
その場に居る全員が一緒になって、ニヤリと笑い合った。
××××××××××
「で、ハイドランジアとシャガルのギルドマスターが、何故態々私を探してたのか理由は、教えていただけるのでしょうか?」
ニコリと笑う金髪の美丈夫に向かってダンとセインは軽く頭を下げる。
「まず、公爵閣下もご存知の通りこのシャガル王国の経済破綻についてなのですが、これを何とかしないと国が潰れます」
「うん」
「それに関して、我々ギルドのグランド・マスターが閣下に直接お会いしたいという伝言があります。実はこれが一番難しいと思っていたんですよ。何より閣下は、なぜか王家の簒奪を目論んでいると噂されていますのでご自身が身を隠していらっしゃる為我々も所在が分からなかったので正直こんなに早く会えるとは思いもしませんでした」
太い眉をハの字にするダン。
「へえ、それにしては君達に簡単に捕まっちゃった気がするけどねえ~」
「はぁ。実は我々も拍子抜けです・・・」
セインが横でウンウンと頷いている。
「実際こんなに早くお会い出来たのは僥倖でした。国が一つ無くなるという事は、近隣諸国にとっても余り喜ばしいものではありません。又我々ギルドもそれに伴う妙な混乱は避けたい所ですし。それと人間界がガタガタすることで大気中の魔素に影響するのは確実なので魔族の活動が再び活発になりかねないというのがグランド・マスターの意見なんですよ」
「確かに私としても、せっかく寝てる子は起こしたくないですねえ」
スハイド公爵は苦笑いをした。
「「「はぁ・・・」」」
「ですが今回ばかりはそういう訳にはいかないようでしてね。このままだと愚王の傀儡まっしぐらです。彼の自慢の諜報部隊も魔法奴隷もトリステスとハイドランジアに拘束されてしまいましたのでね。焦っているのでしょうねえ~。ここへきて私が魔法を使えることをやっと思い出したのでしょう」
いかにも困ったと言わんばかりに肩をすくめる公爵閣下だが、その表情は若干悪戯を考えている子供のように見える。
「義兄以上に情報は握っていますので、大抵彼が次にしでかそうとする事は予測がつきますので」
にこりと微笑むその顔はその色合いも相まってなのか、どこか大叔父や甥を思い出させるなとミゲルは思わずにいられなかった。
「ですので、このまま黙って彼に好きなようにさせるつもりは全くありませんよ」
その場に居る全員が一緒になって、ニヤリと笑い合った。
××××××××××
「で、ハイドランジアとシャガルのギルドマスターが、何故態々私を探してたのか理由は、教えていただけるのでしょうか?」
ニコリと笑う金髪の美丈夫に向かってダンとセインは軽く頭を下げる。
「まず、公爵閣下もご存知の通りこのシャガル王国の経済破綻についてなのですが、これを何とかしないと国が潰れます」
「うん」
「それに関して、我々ギルドのグランド・マスターが閣下に直接お会いしたいという伝言があります。実はこれが一番難しいと思っていたんですよ。何より閣下は、なぜか王家の簒奪を目論んでいると噂されていますのでご自身が身を隠していらっしゃる為我々も所在が分からなかったので正直こんなに早く会えるとは思いもしませんでした」
太い眉をハの字にするダン。
「へえ、それにしては君達に簡単に捕まっちゃった気がするけどねえ~」
「はぁ。実は我々も拍子抜けです・・・」
セインが横でウンウンと頷いている。
「実際こんなに早くお会い出来たのは僥倖でした。国が一つ無くなるという事は、近隣諸国にとっても余り喜ばしいものではありません。又我々ギルドもそれに伴う妙な混乱は避けたい所ですし。それと人間界がガタガタすることで大気中の魔素に影響するのは確実なので魔族の活動が再び活発になりかねないというのがグランド・マスターの意見なんですよ」
「確かに私としても、せっかく寝てる子は起こしたくないですねえ」
スハイド公爵は苦笑いをした。
1
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる