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9章 オリヴィエ・アボット〜過去〜

79. オリヴィエ・アボット④〜戸惑い

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 それから暫くはフワフワしてたって自覚はあったけど、この学園に来たのは勉強をしに来たんだって思い直して授業に集中した。

 ただ、王都はアボット領とは比べ物にならないくらい魅力的で楽しいものやキレイなもので溢れている。

 元々は王都に住んでたから知らないわけじゃなかったけど、休みの度に遊びに行こうってルームメイト達に誘われて断りきれなくて何度か課題を終わらす前なのに遊びに行ってしまった。


 何度目かの誘いで行った先が宝飾店。

 て、言っても若い私達のような女の子でも手軽に買い物ができるような雑貨屋の一種でイミテーションやジャンクと呼ばれる小さな屑宝石だけを使ったアクセサリーを扱うお店だ。


 そこで出会ったのがマイク・バートン様だった。

 彼のお父様は王宮騎士の団長で、その地位を継ぐために日夜頑張っているらしい。

 コレはルームメイトがその場で教えてくれた。

 真っ黒な髪に赤い目が特徴的な美男子で、何を選んでいいのか困ってるみたいだった。

 そう思いながら、チラチラ彼の様子を伺ってたら、本当に困り顔になってたから、つい


『大丈夫ですか? 顔色悪いですよ』


 って声を掛けちゃったの。


 そしたら、顔がパッと明るくなって私達位の年頃の女の子の喜ぶものが分からないから教えて欲しいって言われたのよね。


「妹にプレゼントしたいんだけど全部一緒に見える」


 ・・・脳筋なのかしら?


 花の形をした小さな宝石の入ったブレスレットを私が選んだけど友人と一緒に何種類か他のものも勧めてみた。

 その中で彼が選んだのは私の勧めた花の形の飾りが入ったブレスレットでそれをお店の人にラッピングしてもらってた。


 お礼にカフェに誘われた。


 遠慮しますって断ったんだけどみんな一緒に奢ってくれるっていうから甘えさせてもらった。

 身分が上の人からの誘いは断っちゃいけないのよって、友人も言うし・・・

 
「大丈夫よ、バートン様は婚約者はいらっしゃらないから。誰かに見られても咎められないわ」

「そ、そう・・・」


 いいのかしら? 彼女自身に婚約者がいた筈よね?


 それとも大勢だからいいのかな?


 アボット家は義姉が継ぐから私は平民の商家の嫁にでも行けばいいって周りは思ってたみたいだし、急に貴族になれって学園に放り込まれちゃって貴族同士のやり取りなんか中途半端な知識しかない。

 だからこういう時はルームメイトの子の言う事が今は頼りだから、彼女が言うようにしといたほうが安全だろうとは思うけど。


 侯爵家の息子みたいな身分の高い人と平民混じりの私なんかがお茶とかしちゃっていいのかしら?



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