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2章 出会い

15.交換日記?!

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 そういった経緯もあり、2人揃って転生者だったことも分かった上にお互いの秘密を共有するという一致団結感が漂ったのだろう。
 その後の2人がやたらと親密な様子に見えたらしく、7歳のお茶会で公爵令嬢が気絶したのはウィリアムに彼女が一目惚れをしたせいらしいという、なんとも生暖かい噂が勝手に広がった。

 2人は敢えてソレを否定せずに野放しにすることにした。

 周りが勘違いをしてくれたほうが色々と好都合だからだ。



 ×××



 王子の執務室で何故か陛下の仕事の書類を添削しているウィリアムを横目に、ソファーに座るシルフィーヌ。


「ねえ、何で添削してるの?」

「あ~、親父抜けてるからな。お袋が普段は目を光らせてるんだけど、お前と俺の婚約披露パーティーの準備で忙しいから手分けしてやってるんだ」

「え? 誰と?」

「俺とアダムとお袋」

「そんなんで、この国大丈夫なの?」


 思わず飲んでいた紅茶を噴き出しそうになり、慌てて口元をハンカチで押さえるシルフィーヌ。


「周りがしっかりしてっから大丈夫だろーよ。よっしゃ終わった」

「苦労してんのね~・・・」

「まあ俺、計算得意だし。死ぬ直前は経理課に所属してたからな。その前は財務にも一時期在籍してた事もあるから書類仕事は割と平気なんだ」

「・・・ホントに大人だったんだね。私なんかさ、死んだ時って多分女子高生くらいだったと思うよ。殆ど記憶ないけどさ~。社会人の記憶ないもん」


 そう呟くシルフィーヌの顔をマジマジと見ながら机の上に頬杖をつくと


「いっちゃん楽しい時に死んじまったのかぁ。残念だったな」


 と、しみじみと言うウィリアム王子。


「うーん、でもあんまり思い出したくないから気にしないことにしてる。ウィルみたいに夜中に悶えたくないもん」

「お・・・おぅ、そうだな」


 もうすぐ17歳になる彼は未だに枕を抱えて悶える出来事が多いらしく、思わず目を泳がせる。


「それよりさ、このノートも随分書き込んだよね」


 シルフィーヌの眼の前にあるのは例のゲームの内容を書きとめたノートである。


「まーな。6年以上かけてフィーが仕上げてくれたからな。厚みもあるよな~・・・」

「結構隅々まで思い出せてるとは思うけど・・・ もうすぐゲーム開始の年齢になっちゃうわね」

「何事もなけりゃ良いがな」


 2人して思わず苦笑いをする。


 それはしっかりした本のような装丁の日記帳で、中を見られたら不味いので用心して日本語で書いてある為、一見暗号の様に見えるらしいが他人に覗かれるとつい隠したり抱きしめたりするせいで周りの侍女や侍従達からは王子とその婚約者の『交換日記』と思われているらしく、時折微笑ましいと言われることがある。

 えらい勘違いだなと思わずにはいられないが、それもまた野放しなので2人の仲はラブラブだという認識がやたらと広がっていくが、当人達は全く気がついていないのがある意味お約束である・・・


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