【完結】転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!

hazuki.mikado

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ニ章.転生聖女と転生聖王

苦肉の策?

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 「まあね~ 結構ミリーの聖女認定が遅れちゃったからどうしようかとは思ってたのよね。まあ、魔王は聖獣になっちゃったから当分は大丈夫だけどさあ」


 ここは神殿にある中庭。

 今は、魔物の革で作られたサンドバックは撤去中だが、ミリアンヌ専用トレーニング場。

 ここで三人だけで打ち合わせというていで内緒話をしている所である。


「いざとなったら、時間を進めて身体を大人にしちゃおうかと考えてたわよう」


 ため息なのか煙なのか見分けのつかない息を吐く大神官。


「「・・・そんな裏技が! 」」


 ミゲルとミリアが思わずハモる。


「アンタらね! 何回もアタシが目の前で若返ってるの見てるでしょうがっ」


 思わず二人共が空を見上げて考える。空が青い・・・


「若返れるんなら、齢も重ねる事ができる? てことか・・・」

「え~と、でも急に年寄りになるのはヤバいですよね? 」


 お爺ちゃんが額を押える。


「この脳筋娘! 年寄りになってどうすんのよっ。アホなの? 」

「えええぇ~ だってお爺ちゃんと若者しか知らないんだもん~ 」


 ミゲルが冷めた目でミリアを見る。


「え、ちょっとミゲル様も何なんですかその目は? 」

「そうじゃなくて、もう二、三歳年齢を進めて大人の身体に近づけるって事だよ」

「あ、そうか」

「でもねえアレは、自分が時間魔法を使いこなさないと。実は他人には使えないのよ全身だからねえ」

「え~と、じゃあまた修行? 」

「全身の細胞を活性化させるから、それなりに体力も・・・あるわねえ・・・」


 ジト目になってミリアンヌを上から下まで確認する大神官様。

 テヘッと頭に手を載せるミリアンヌ。


「明日から又修行のやり直しよ。ミゲル、アンタもだからね! 」

「「えぇ~ 何で? 」」


 火の消えた煙管で、二人の頭を小突く『聖王』様。


「「イテッ」」

「二人共[時間の魔法]を鍛えるわよ。アタシの老後がかかってるんだからねっ! 」

「「・・・老後・・・」」


 『世界平和』とかじゃないあたりが実にお爺ちゃんであった。


××××××××××


 明日からの属性魔法の修行の為の座学と身体のトレーニングの為に中庭の改装をするので追い返され、現在東の離宮に戻り食後の紅茶を頂いているミリアと弟のダニエル。

 双子はメルの転移魔法で王宮に連れ帰ったようである。


「「お昼御飯終わったら又来る! 」」


 と言い張っていたが、どうなるのかは分からない。


 寧ろ尊い王子という身分なので大人しく城にいた方がいいんじゃないかな~ と思うミリンヌ。


 まあ、大人しくというのは無理かもしれないが・・・


「ミリーとダニーは昼食を共に。用意させてあるから」


 直ぐに腹減り状態になる燃費の悪いミリアを気遣ってか、離宮に帰るときっちりフルコースの昼食が用意されていた・・・


 前世同様、今生もミリアの世話を心得ている王弟殿下である。


「明日から神殿へ通うとなると、騎士団の鍛練は大丈夫なんですか? 」


 相変わらずメルをモフモフモフと左手は忙しせわしなく愛でているミリア。その横でダニエルもウンウンと首を縦に振っている。


「あ~、そうだな。騎士団は朝の鍛錬だけは続けて、その後神殿教育って事になるだろうな。メルがいれば直ぐ行けるしな」

「はい、御主人様」


 髭をピクピクとさせて返事をする白猫。


「馬とか馬車よりは安全ですねえ」

「まあ、それもあるが、それよりメルの転移魔法じゃないと。馬や馬車なんかじゃ目立つだろうから、お前とお前の家の名誉に傷がつく事も考えられる」

「名誉? 」

「お前は何年も前から聖女候補で神殿に通っているのは周知の事実だ。それが、今度は俺が聖王候補としてしゃしゃり出る事になってみろ。周りの奴らがどう思うよ」


 小首を傾げるミリアにダニーが


「姉さまの聖女としての資格が失われたとかを疑う者が出てくると言うことです」

「そんな事あるかしら? 」

「ダニーの言う通りだ。ここ百年聖女も聖王も候補すら現れていないだろ? 滅多に現れない者が一時に二人も現れるなんて考えもしない奴らの方が大多数だ」

「あ~。確かに」

「お前は、一般的貴族子女の様に社交もほぼして無い。周りに情報も流れてないからな。お前の名誉を引きずり落とそうとする奴らが、ここぞとばかりに湧いて出るだろうな。もちろんアークライド侯爵家に対してもだ」


 うーん、貴族エゲツないな・・・


「面倒くさいだろうが、お前はこれまで通り馬車で行くようにな」


 出入り口近くに待機中のマーサとセバスチャンをそっと見ると、小さく頷いている。

 隣の席のダニエルも深く頷いていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



残念ながら、コレって●●なのよね~


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