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ニ章.転生聖女と転生聖王

三●●トリオ再び

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 半月前のデビュタント・バルは大変な騒ぎ(主に王宮側が)になったが、貴族学園は春の長期休暇も終わり、本日から学業や学生同士のコミュニティ作りに精を出す日常へと戻る。

 それに合わせて第一王子アレクシスと側近候補達は昨日学園の寮へと戻った。

 王立貴族学園の最上階の一角に生徒会の執務室に件の三人が集まり、今日から始まる日常業務のチェック中のようである。


「あ~、今日から又学園生活か~。平和だ・・・」

「やる事はいっぱいあるんですけどね。平和と言えば平和ですねえ」


 相変わらず執務机に書類の束を置き、仕分けをするクロード。


「はあ~・・・」


 そんな中、机に座ったものの一人ため息を付き、肘を付くハリー。


「どうしたんだよ。ため息なんかついて」

「いや、そりゃあため息もつきたくなるだろ。たった四才の差しかないのに、あの剣技! 」

「ミゲル殿下のですか」


 眼鏡をクイッと中指で上げるクロード。


「あんなに近くで見てたのに、太刀筋が見えなかった・・・クッ」

「まあ、『剣聖』の称号は伊達じゃ無いですねえ。実感しました」

「ミリアンヌ嬢が羨ましい! 何であんなに殿下と仲良しなんだ? 殿下に抱き寄せられて、守られて。しかも令嬢から飛びついてもお咎めなしで、頭を撫でられて・・・」

「ハリー・・・お前、ちょっと気持ちワリィよ・・・」

「俺も弟子入りしたいっ! 」


 うがあ~と雄叫びながら赤髪を掻きむしるハリー騎士見習い・・・


「まあまあ、ハリー、気持ちは分からなくも無いですけど、落ち着いて」

「そうだぞ、叔父上は騎士団で鍛錬してるから会えるだろ? 」

「それが意外に会えないんだよ~ 俺は第二騎士団所属だからさ~ 殿下は第一なんだよ。稽古場所が兎に角、遠いんだよ・・・」


 机に突っ伏すハリー。


「俺は叔父上が羨ましいぞ。何であんなに親しいんだよ? 何かな、城の近衛達が叔父上の離宮にミリアンヌ嬢が通うらしいって言ってたんだよな~ 」

「えっ、羨まし過ぎる。ぐぐ・・・」


 何処からかハンカチを取り出し、ギリギリとソレに噛みつくハリー。


「だよなあ~ 」


 会話をする二人に冷たい目を向け


「二人の言ってる『羨ましい』が根本的に違いますけどね」


 と言いながらペラリと捲った書類に大きくバツを入れ『差し戻し』と書かれた箱に放り込むクロード。

 ジロリとクロードを睨むアレク王子。


「近衛騎士達の言ってたことは、王宮侍女とかの噂じゃないからな! 叔父上に確認が取れてる内容を態々近衛の詰め所まで出向いて聞き出した情報なんだからな! 」

「それくらい熱心に決裁にも目を通して下さい」


 そのままクロードにジロリと睨み返された。


「・・・スマン」


 そのやり取りを机に肘をついたまま見ていたハリーは


『アレクの嫁はクロードじゃねえと務まらねえんじゃないか?』


 と、口に出しかけて黙り込んだのであった。


××××××××××


 「なにはともあれ、アークライド侯爵閣下とティーダー卿の機転で助かったのは事実ですから、あの二つの家に大きな借りが出来たのは間違いないですね」


 俯向いたままサインをするクロードの言葉にピタリとペンを止めた王子。


「侯爵閣下は王子妃に御令嬢を推挙するどころか、全くもってアレクに興味を示しませんでした。そしてティーダー卿はティリア嬢の兄上です。受爵されていて自領を持った方ですが侯爵家の嫡男であり、後々ティーダー侯爵家の当主になることには変わりはありませんからね」

「それって、ティリア嬢が王子妃コースってことじゃね~の? 」


 ハリーが首を傾げる。


「まあ、覚悟しといた方が良いんじゃないですかね? 」


 眼鏡を外して眉間を揉むクロード。


「ウ~ン、ティリア嬢なあ~・・・ 」

「嫌いじゃ無いんだけど」

「「あの髪型なあ~・・・ 」」


 アレクとハリーの声が揃うのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



結局そこに帰結するんよな~(笑)

若いと見た目に左右されるもんよ。うむ。
 

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