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一章.聖女と出会いと王宮と

吾輩は●●である。名前はまだ無い。

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 『パッカーン』


 間の抜けた軽快な音と眩しい光と共にカラフルな卵の殻が割れ、中から丸いボールが飛び出した。


 「うわああああー」


 自分の顔の真正面に飛び出して来たボール状のモノを思わずレシーブしてしまうミゲル。


 「あらあらー」


 次にミリアに向かって@人外美形が更にトスしてしまう。


 思わずアタックしそうになったミリアだったが、ちょっと思いとどまりボールをキャッチした・・・

 ミリアの手の中を三人が覗くと、フワフワとした長毛種の白いネコが目を回してひっくり返っている。


 「「「猫が生まれた?」」」


 首を傾げる三人。

 猫をぷらーんとミゲルが持ち上げる。


 「雄だ・・・」

 「ねえ、背中に羽が生えてるわよお~」

 「もふもふ・・・」


 小さな鳩のような翼を持った白い猫。


 「メルヘンか、これ?」


 思わず呟くミゲルの言葉で猫の髭がピクっと動き、カッと目を開いた。


 「吾輩の名前、確かに賜りましたあ~」


 猫がいきなり喋るのを見て、押し黙った三人は悪くない・・・ と思う。


××××××××××
 

 「じゃあさあ、何にも覚えてないのよね」

 「はあ。全く記憶に御座いません・・・」


 何処かの政治家のような返事をする白猫。
 今は苔むした岩の上にチョコンとお座りをしている。


 「魔王にならなかったら、魔獣の卵なのかしら? でも、魔力反応が闇属性じゃないわよね~」


 首を傾げる大神官@若者仕様。


 「しこたま聖属性の魔力を注ぎ込んだから、属性変化しちゃったのかしらあ~」

 「無きにしも非ず・・・ ですかねえ」

 「もふもふ・・・」

 「ミリー、アンタどうしちゃったのよ、さっきから『もふもふ』しか言ってないわよ・・・」


 ミリアンヌの顔を覗き込むと、目がハートになっているのにちょっとだけ引いた二人。


 「ミリーひょっとして、猫が好きだったの?」


 斜め四十五度の角度でウルウルの瞳で見上げるミリアンヌ。


 「ちょっとそれ止めてよね~殺傷力あり過ぎだわよ・・・」

 「うっ美少女攻撃半端ねえ・・・」

 「だって。可愛いから~」


 魔王になるはずだった魔獣? をぎゅむぎゅむと抱き潰す勢いで抱っこするミリアンヌ。


 「・・・ だずげでぐだざいいぃ~」

 「ほらあ~ 白にゃんこ、死んじゃうわよ。アンタ馬鹿力なんだから~」

 「ミリア、離せってば、死んじまう」

 「ううう。カワイイ~ ハアハア」

 「そうだった。ミリアは可愛いもの好きだったわ・・・ 弟で実証済みだったわ~」


 はあ~ とため息を付く大神官。


 「でもさ、この猫ミゲルを主人に決めちゃったしねえ」

 「「えっ何で?」」

 「だってさっき主従契約しちゃったでしょうが。名前付けて・・・ メルヘンだっけ?」

 「ハイ。吾輩の名前はメルヘンであります。御主人様に名付けをしていただきました~」


 ストンと岩の上に戻り、ビシッという感じで胸を張る白猫。


 「ええぇ~ あれ、名前になっちゃったんだ・・・」


 口に手を当ててオロオロするミゲル。ソレを見てぷ~っと膨れるミリアンヌ。


 「もふもふが奪われた・・・」

「アンタ分かってる? コレ魔王かもしれないのよ・・・」

 「膨れても可愛いって・・・ 美少女の破壊力・・・」


 地面に突っ伏してミゲルが悶えていた。


 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



中身ゴッツイ人程、可愛いもの好き・・・ダヨネ
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