街の小さな印刷屋さん

④小さな印刷屋さん

ウレンサはおじいさんの声が聞こえなくなると、ドアを少し明け、そーっと無人の機械の方をみてみました。

すると、15cmくらいの丸い球が動いています。

ウレンサはびっくりしてバタっとドアを勢いよく開けてしまいました。

すると、丸い球は一斉に止まりました。

そしてよく見るとそれは手足の生えていてまるで動物のようでした。

しかも２０いや３０体くらいいます。

ウレンサが驚きで動けないでいると、その丸い球達が大きな声をあげました。
　「ぎゃー！人間がいるよ！」

丸い球達は大騒ぎです。

　「どうすんだよ。」「いやこれは大問題だろ」

とギャーギャー騒いでいます。

ウレンサはここで昨日読んだ本が頭によぎりました。

　「確か、こういう時ってだいぶやばいんじゃなかったけ。昨日の本だって訳のわからない生物に主人公が食べられていた。きっと僕もこの訳のわからない生物達に食べられてしまうかもしれない。」

こう思ったウレンサは慌てて立ち上がり、この小屋を出ようとしました。

しかし、慌てて起き上がったため、大きな機械の横でつまずいて転んでしまいました。

ウレンサは
　
「もうおしまいだ。僕は食べられる。」

そう思いました。しかし、よく見るとあの丸い球達も慌てています。

どうやら人を殺すようなそんな野蛮な生命体ではないようです。

そう思った時、一体の丸い球が話しかけてきました。

　「ねえ。君、人間でしょ。なんでここにいるの？」ウレンサはまだ状況が理解できていませんでしたが、

　「いやー。あのー。実は、この小屋に無断で入って・・・」モゴモゴしながら答えると、

　話しかけてきた丸い球もおどおどしながら

　「君、ハウネルが帰ってくるまで待っててくれる？」

そう言って、奥の部屋まで連れていかれました。

ウレンサは頭がクラクラする中部屋で一人待っていました。

　「なんなんだろう。あの生命体は。ただ、筆を持っているのもいたし、鉛筆を持っているのもいた。だとすれば、あの子達が印刷しているのかな。」

考えても考えても状況が理解できないウレンサは部屋にある質素なベッドで横になりました。

そして、数時間ほど眠ってしまいました。