街の小さな印刷屋さん

アール

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③無人の機械

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翌日、学校が休みだったウレンサは山の印刷所にもう一度行きました。

あのガシャガシャと無人で動く大きな機械が気になって仕方なかったのです。

あんな機械があるのかとワクワクしました。

ウレンサはあのおじいさんが出てくるまで印刷所の裏にある木箱のところで待っていることにしました。

ジリジリと太陽が地を照らす中でようやくあのおじいさんが出てきました。

ウレンサはさっと隠れておじいさんが馬車に乗って山を降りていく様子をじっと眺めていました。

少し立った後、ウレンサはようやく印刷所の正面に立ちました。

ドキドキしながらドアを開けました。

ガラガラガラ。

ドアを開けると大きな機械がガシャンガシャン、パサッパサッと昨日と同じように動いていました。

でもやっぱり誰もいません。

不思議に思ったウレンサは機械の近くによってみました。

紙が出てくるところから機械の中を除いても暗くて何も見えません。

ウレンサは小屋の奥の部屋にも入ってみました。

取手のついたドアをギィと開けるとそこは小さな部屋でした。

質素なベッドがあり、机があり、本棚がありました。

どうやらここはあのおじいさんの部屋でした。

その時、小屋の正面のドアがガラガラと開いて、

「ストップ。ストップ。一旦やめい。」という声が聞こえてきました。

あのおじいさんが帰ってきたようでした。

ウレンサは奥の部屋のドアを閉め、ドアが開かないよう押さえながら、壁に耳をあてました。

「すまん。すまん。今日印刷するぶんを間違えっておった。今日はこっちの聖書を印刷してくれい。」

どうやらおじいさんは誰かに話しかけているようでした。

すると、別の声で

「えー。もう40冊も印刷しちゃったよ。」

やっぱりここにはあのおじいさんとウレンサ以外にも誰かいるようでした。

その後、何回か会話のやりとりが聞こえ、またガラガラガラとドアが動く音がしました。

どうやらおじいさんはまた山を降りたようでした。
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