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番外編
番外編 命を繋ぐ1
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カスカード公国の首都ニュアージュにあるその教会は石でできた教会だ。
町の少し外れの、住宅街の一角に建っている。
四角い塔につけられた鐘は、朝、昼、夕の決まった時間に鐘を鳴らし時刻を知らせてくれる。
子供たちは、鐘が鳴ったら家に帰るよう言い聞かされるらしい。
昨今では、教会に足を運ぶ人はとても減ってしまった。
けれど、子供が生まれた時、神様の祝福を受けたいと言う若い夫婦はいるし、結婚式や葬式とは切っても切れない関係だ。
私はここ、ニュアージュにある名もなき女神様の教会で結婚式を挙げることになっている。
春の訪れを待って、私たちはそれぞれの実家に結婚する旨の報告をした。
そして、式をユルリッシュ=デュクロ司祭の元で執り行いたいことも。
私の両親は賛成してくれたけれど、あちらのご両親は難色を示された。
それはそうよね、だって、マティアスは王子だし。
男性側の地元で式をやるのが普通だし、しかも王子となれば親戚だけではなく政府要人やその他外国の要人も呼ばなくてはいけないものね。
まあ、それは私も大して変わらないのだけれど、カスカード公国とフラムテール王国では国力も、領土もなにもかも違いすぎる。
渋るあちらのご両親を説得するのは容易な事ではないと思ったのだけれど。
「さすがにカスカードの首都で式をやるとなると……」
「えぇ、癒しの聖人と呼ばれるユルリッシュ=デュクロ司祭が式を執り行いたいと仰ってくださいまして。父上もご存じですよね。
あの方は結婚式や葬式などには一切立ち会ってこなかったそうです。その時間で沢山の人が救えるからと。自分にしか出来ないことがあるからと。ですが、今回、デュクロ司祭様が初めて結婚式を執り行うと言うのですよ。とても貴重なことです」
貴重とか、初めて、というものに人間はとことん弱い。
それはマティアスのお父様も同じらしく、渋い顔から驚きの顔へと変わった。
「癒しの聖人が……だがしかし……」
「デュクロ司祭様のいらっしゃる教会で、デュクロ司祭様の祝福を受けられるんですよ。こんな機会、二度とありませんよ」
などと言って言いくるめ、式を私の国で行うことを了承させた。
それが、いまから三か月ほど前の出来事だ。
本来なら結婚式の準備に半年から一年ほど時間を掛けるものなのだけれど、デュクロ司祭に残されている時間を考えたらそんな悠長なことは言っていられなかった。
おかげでドレスが仕上がったのが結婚式の一週間前だった。
首都ニュアージュとプレリーをいったい何度行き来しただろうか。
今日から私たちはニュアージュに滞在し一週間後の結婚式に臨むことになっている。
私の実家にある私の部屋。
私は仕上がったドレスの試着をしていた。
雪のように白いドレスは、後ろがとても長くて正直動きやすいとは言い難い。
幾重にも生地が重なったスカートの下にパニエを仕込むと、スカートのふくらみが増す。
胸元が大きく開いているのは正直恥ずかしい。
白い手袋は長くて、肘の上まで覆っている。
靴は踵が少し高くて、転ばないかが心配だった。
すべてが白い。
私の金色の髪を覆うのは白いベール。それに白い宝石をちりばめた宝冠を被って。
花嫁の完成だ。
「いかがですか?」
私にドレスを着つけてくれた仕立て屋さんの女性が、鏡越しに微笑んで言った。
どうとおっしゃられましても。
「すみません、こういうドレスを着るのは久しぶりすぎて……違和感が……」
そう、違和感がすごい。
仕立て屋さんは不思議そうな顔をして、
「あら、そうのですか?」
と言って首をかしげた。
家を出て二年以上。
私はドレスを一切着てこなかった。
実家にいるときはドレスを着る機会は何度もありましたし、そもそもマティアスと年に一度会うときはドレスだった。
彼にドレスを贈られたこともある。
けれど家を出たらドレスを着る機会は全くなかった。
神官の服が正装だったし。
それにこんなに生地をふんだんに使ったドレスはさすがに着たことはない。
というか後ろ、長すぎませんか?
これ引きずって歩くの大変じゃないかな……
などと悩んでいると、扉を叩く音が聞こえてきた。
あ、忘れていた。
私に付いている侍女が扉を開けて、中に迎え入れたのはマティアスだった。
彼もまた、別の部屋で衣装合わせである。
彼の為に仕立てたスーツも色は白だった。
マティアスは普段白い服を着ないので違和感がすごい。
私は何度か瞬きを繰り返した後、思わず吹き出し、
「何か変ですね」
と言った。
彼は私に歩み寄り苦笑して、
「酷いなあ。そんなに違和感あるかな」
と言い、自分の姿を鏡で見た。
すっと背筋を伸ばし、立つ姿は正直様にはなっている。
私よりずっと背が高いし、なんといってもスーツを着なれている感じはある。
そもそも私と年に一度会うときはいつもスーツでしたし。
ちょっと癖のある白金の髪は、窓から差し込む日の光を浴びてきらきらと輝いている。
こうしてみると、髪の毛伸びたな、マティアス。
彼もそれが気になるのか前髪を撫でながら、
「切らないと……」
と呟いている。
「普段暗い色の服ばかりじゃないですか。だから白い服は違和感がすごいです」
「確かにそうだかも。
ねえ、エステル」
彼は私を振り返り、春の太陽のような優しい微笑みを浮かべ私の手をそっと取った。
「君はとても綺麗だよ」
と、とても恥ずかしいことを言う。
「あら、お熱いですね」
そんな仕立て屋の女性の茶化す声が聞こえてくる。
私はと言うと、恥ずかしくて下を俯いてしまった。
マティアスは平気な顔で恥ずかしい言葉を言う。人前であろうとなかろうと。
いつもなら何も言い返せないところだけれど、さすがに私も学習している。
私は顔を上げて、彼の方をじっと見つめ、
「あ、あ、当たり前です! 花嫁と言うのは綺麗だって決まっているんですから」
と言い返した。
声がやや裏返っただけで済んだのは上出来だと思う。
私が言いかえしたのが意外だったのか、それとも別の理由かはよくわからないけれど、一瞬驚いたような顔をした後、マティアスさんは微笑んだ。
「そうだね。それでも俺にとって、君は最高に綺麗だよ」
あ、無理。
頭が真っ白になり、私は何にも言い返せなくなってしまった。
どうしてこの方はこうも恥ずかしい言葉を数回しか会ったことない人の前で言うことができるのだろう?
「見ているこちらが恥ずかしくなってしまいます」
仕立て屋さんの声が何だか遠くに聞こえる。
「大きさは大丈夫そうですね。当日が楽しみです」
それならよかった。
体型維持はさり気に大変でしたよ。
私は何とか顔を上げ、仕立て屋さんの方を向いた。
「……歩く練習、してもよろしいですか?」
練習しないと、この服と背の高い靴を履いてちゃんと歩ける自信が無いです。
絞り出すような声でなんとかそう尋ねると、快く承諾してくれた。
町の少し外れの、住宅街の一角に建っている。
四角い塔につけられた鐘は、朝、昼、夕の決まった時間に鐘を鳴らし時刻を知らせてくれる。
子供たちは、鐘が鳴ったら家に帰るよう言い聞かされるらしい。
昨今では、教会に足を運ぶ人はとても減ってしまった。
けれど、子供が生まれた時、神様の祝福を受けたいと言う若い夫婦はいるし、結婚式や葬式とは切っても切れない関係だ。
私はここ、ニュアージュにある名もなき女神様の教会で結婚式を挙げることになっている。
春の訪れを待って、私たちはそれぞれの実家に結婚する旨の報告をした。
そして、式をユルリッシュ=デュクロ司祭の元で執り行いたいことも。
私の両親は賛成してくれたけれど、あちらのご両親は難色を示された。
それはそうよね、だって、マティアスは王子だし。
男性側の地元で式をやるのが普通だし、しかも王子となれば親戚だけではなく政府要人やその他外国の要人も呼ばなくてはいけないものね。
まあ、それは私も大して変わらないのだけれど、カスカード公国とフラムテール王国では国力も、領土もなにもかも違いすぎる。
渋るあちらのご両親を説得するのは容易な事ではないと思ったのだけれど。
「さすがにカスカードの首都で式をやるとなると……」
「えぇ、癒しの聖人と呼ばれるユルリッシュ=デュクロ司祭が式を執り行いたいと仰ってくださいまして。父上もご存じですよね。
あの方は結婚式や葬式などには一切立ち会ってこなかったそうです。その時間で沢山の人が救えるからと。自分にしか出来ないことがあるからと。ですが、今回、デュクロ司祭様が初めて結婚式を執り行うと言うのですよ。とても貴重なことです」
貴重とか、初めて、というものに人間はとことん弱い。
それはマティアスのお父様も同じらしく、渋い顔から驚きの顔へと変わった。
「癒しの聖人が……だがしかし……」
「デュクロ司祭様のいらっしゃる教会で、デュクロ司祭様の祝福を受けられるんですよ。こんな機会、二度とありませんよ」
などと言って言いくるめ、式を私の国で行うことを了承させた。
それが、いまから三か月ほど前の出来事だ。
本来なら結婚式の準備に半年から一年ほど時間を掛けるものなのだけれど、デュクロ司祭に残されている時間を考えたらそんな悠長なことは言っていられなかった。
おかげでドレスが仕上がったのが結婚式の一週間前だった。
首都ニュアージュとプレリーをいったい何度行き来しただろうか。
今日から私たちはニュアージュに滞在し一週間後の結婚式に臨むことになっている。
私の実家にある私の部屋。
私は仕上がったドレスの試着をしていた。
雪のように白いドレスは、後ろがとても長くて正直動きやすいとは言い難い。
幾重にも生地が重なったスカートの下にパニエを仕込むと、スカートのふくらみが増す。
胸元が大きく開いているのは正直恥ずかしい。
白い手袋は長くて、肘の上まで覆っている。
靴は踵が少し高くて、転ばないかが心配だった。
すべてが白い。
私の金色の髪を覆うのは白いベール。それに白い宝石をちりばめた宝冠を被って。
花嫁の完成だ。
「いかがですか?」
私にドレスを着つけてくれた仕立て屋さんの女性が、鏡越しに微笑んで言った。
どうとおっしゃられましても。
「すみません、こういうドレスを着るのは久しぶりすぎて……違和感が……」
そう、違和感がすごい。
仕立て屋さんは不思議そうな顔をして、
「あら、そうのですか?」
と言って首をかしげた。
家を出て二年以上。
私はドレスを一切着てこなかった。
実家にいるときはドレスを着る機会は何度もありましたし、そもそもマティアスと年に一度会うときはドレスだった。
彼にドレスを贈られたこともある。
けれど家を出たらドレスを着る機会は全くなかった。
神官の服が正装だったし。
それにこんなに生地をふんだんに使ったドレスはさすがに着たことはない。
というか後ろ、長すぎませんか?
これ引きずって歩くの大変じゃないかな……
などと悩んでいると、扉を叩く音が聞こえてきた。
あ、忘れていた。
私に付いている侍女が扉を開けて、中に迎え入れたのはマティアスだった。
彼もまた、別の部屋で衣装合わせである。
彼の為に仕立てたスーツも色は白だった。
マティアスは普段白い服を着ないので違和感がすごい。
私は何度か瞬きを繰り返した後、思わず吹き出し、
「何か変ですね」
と言った。
彼は私に歩み寄り苦笑して、
「酷いなあ。そんなに違和感あるかな」
と言い、自分の姿を鏡で見た。
すっと背筋を伸ばし、立つ姿は正直様にはなっている。
私よりずっと背が高いし、なんといってもスーツを着なれている感じはある。
そもそも私と年に一度会うときはいつもスーツでしたし。
ちょっと癖のある白金の髪は、窓から差し込む日の光を浴びてきらきらと輝いている。
こうしてみると、髪の毛伸びたな、マティアス。
彼もそれが気になるのか前髪を撫でながら、
「切らないと……」
と呟いている。
「普段暗い色の服ばかりじゃないですか。だから白い服は違和感がすごいです」
「確かにそうだかも。
ねえ、エステル」
彼は私を振り返り、春の太陽のような優しい微笑みを浮かべ私の手をそっと取った。
「君はとても綺麗だよ」
と、とても恥ずかしいことを言う。
「あら、お熱いですね」
そんな仕立て屋の女性の茶化す声が聞こえてくる。
私はと言うと、恥ずかしくて下を俯いてしまった。
マティアスは平気な顔で恥ずかしい言葉を言う。人前であろうとなかろうと。
いつもなら何も言い返せないところだけれど、さすがに私も学習している。
私は顔を上げて、彼の方をじっと見つめ、
「あ、あ、当たり前です! 花嫁と言うのは綺麗だって決まっているんですから」
と言い返した。
声がやや裏返っただけで済んだのは上出来だと思う。
私が言いかえしたのが意外だったのか、それとも別の理由かはよくわからないけれど、一瞬驚いたような顔をした後、マティアスさんは微笑んだ。
「そうだね。それでも俺にとって、君は最高に綺麗だよ」
あ、無理。
頭が真っ白になり、私は何にも言い返せなくなってしまった。
どうしてこの方はこうも恥ずかしい言葉を数回しか会ったことない人の前で言うことができるのだろう?
「見ているこちらが恥ずかしくなってしまいます」
仕立て屋さんの声が何だか遠くに聞こえる。
「大きさは大丈夫そうですね。当日が楽しみです」
それならよかった。
体型維持はさり気に大変でしたよ。
私は何とか顔を上げ、仕立て屋さんの方を向いた。
「……歩く練習、してもよろしいですか?」
練習しないと、この服と背の高い靴を履いてちゃんと歩ける自信が無いです。
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