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12 入らない、から★

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 甘い匂いが俺の身体に纏わりつき、理性を奪い去っていく。
 結局、俺は夏目の家に連れてこられ、裸にされてそのまま風呂に連れ込まれてしまった。
 腹の中を薬剤とお湯で綺麗にされ、湯船に手をつく俺の後ろから、ローションと共に指が突っ込まれてしまう。
 
「ひ……」

 昨日散々挿れられたとはいえ、穴は固く閉じている。
 夏目はゆっくりと指の抜き差しを繰り返し、少しずつ穴を拡げていった。
 すでに匂いにやられている俺は、そんな浅い抜き差しですぐ息を上げてしまう。
 やべえ……なんでこんな、気持ちいいとか思うんだ?
 俺、このまま夏目に突っ込まれて、あんあん啼かされてえのか? ンなわけあるかよ?
 俺は……ベータだ。オメガなんかじゃねぇのに、なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ?
 そう思うのに、纏わりついた匂いのせいで俺はすっかり蕩けてしまい、自分から腰を振っていた。

「ンん……はぁ……と、い……中、あっつい……」

 自然と言葉が溢れ出て、もっと欲しいと訴える。
 すると夏目は、俺の尻にローションをかけ、指を深く差し込み前立腺へと触れた。

「あっ……」

 前立腺を叩かれるとあっという間にペニスに熱がたまり先走りが溢れてしまう。
 この間まで、俺はこんなこと一度もしたことなかったのに。
 夏目によって知らない自分がどんどん開発されようとしているのに、恐怖を感じる。
 でも欲望の方が恐怖よりも勝り、俺は喘ぎながらもっと、もっと、とねだる言葉を口にした。

「この間よりはだいぶ中、柔らかいね。でも、全部入るにはもうちょっとかかるかなあ。君はオメガじゃないから、ここは、アルファのペニスを受け入れられるようにできてないもんね」

「う……あぁ……とい、飛衣……!」

 天井を仰ぎ見て、俺は彼の名を呼び続ける。
 イきたい。
 夏目にペニスをぶち込まれて、奥までこじ開けられたい。
 そんな欲望が、俺の心の中に広がっていく。
 俺は夏目を振り返りながら、彼にこいねがう。

「お願い、だからぁ……中、もっと欲しい……」

 すると、息を飲むような音を聞いた気がした。

「……やっばいなぁ……そんな顔で言われると、俺も我慢できないや」

 余裕のないテノールが響き、指が引き抜かれて、俺は思わず声を漏らした。

「あぁ……」

「抜いただけでそんな声だすとか……朱里って生来の淫乱なのかな」

 んなわけねえだろう。
 そう言いたいのに言葉にはならず、俺はただ腰を揺らすばかりだった。
 夏目が俺の腰を掴み、ペニスの先端を押し付けてくる。
 あぁ、挿れてもらえる。
 俺が大きく息を吐くと、夏目はゆっくりと俺の中に入ってきた。
 
「う、あぁ……」

 すぐに半分ほどが入り、苦しさに俺は呻く。
 
「ひっ……」

「やっぱりまだきついかぁ。全部入るには時間かかりそうだね。早く奥まで味わいたいんだけどけどなぁ。君は、ベータなんだもんね」

「う、あぁ……」

 そうだよ、俺はベータだ。
 どうあがいたってオメガにはなれない。
 いくらアルファの匂いに敏感だからと言っても、性は変えられるわけがない。

「でも……」

 ぐい、と夏目は腰を埋め、さらに奥へと入ろうと試みる。

「や、やめ……!」

「俺ので慣らすのも……悪くないかなぁ。玩具を使おうと思ってたんだけど、それじゃあ、もったいないね」

「む、む、むりぃ……それ以上は、無理、だからぁ……!」

 無理矢理入り込まれ、痛みに涙が滲む。
 ていうかこんなんで全部入るとかあるのかよ?
 今でもこんなに苦しくて……気持ちいいのに全部挿れられたら俺、どうなるんだ……?

「ははは、今すっごい締め付けてきたけど。何考えてるの?」

 言いながら、夏目は腰を揺らす。
 そのたびに俺の視界が白くなり、快楽が腰から全身へと広がっていく。

「何って……あぁ!」

「ほんと、こんなに俺の匂いに敏感なのってオメガ以外に見たことないよ。まぁ、濡れないから本当に君はベータなんだろうけど……正直信じがたいよ」

「ひっ……!」

 ぐちゅぐちゅと音を立てながら夏目は挿入を繰り返し、俺はひたすら喘ぎ快楽に沈んでいった。
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