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17 誕生日はいつ?
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そんな夏休みの予定のやり取りの後から、シュウさんから何度かメッセージが届いた。
今まで殆どやり取りはなかったのに、急にどうしたんだろうか。
水曜日、どこで飯を食うか、って話から始まりゲームの話とか誕生日の話にもなった。
俺は四月生まれでもう誕生日が過ぎている。だから煙草吸うし、酒も飲めるんだけど。
『そっか。もうすぎちゃってるんだ。ちょっと残念だな』
『シュウさんはいつなんですか?』
『九月二十三日だよ』
そうか。名前が秋星だから秋生まれだよな。
って、九月ってことは夏休み中じゃねえか。
……なんかした方がいいのかな。
誕生日って何するんだ? 友達の誕生日はメシ奢るくらいだしな。なんかあげたりとかしたことねえよ。
何あげたらいいかも分かんねえしな……
あと三か月か……まだ時間あるし、そんとき考えりゃいいか。シュウさんのこと、よくわかんねぇ状態でプレゼントなんて決められるわけねぇしな。
一日の講義を終えてアパートに帰りながら俺は、頻繁にスマホを見てしまう。
でもスマホはなにも着信しない。
昼休み中と講義の後の休み時間にシュウさんとメッセージのやり取りをしたけど話題が一旦終わったし、なんかくるわけねえのに。
他愛のない雑談を送ってくるような人でもねぇだろうしな。
それは俺も同じだが、なんか来ないかと心のどこかで期待してしまう。
自分からなんか聞くべき? って何をだよ。
結局何にも思いつかず、俺は首を振りスマホをベッドの上に放り投げて課題をやろうと椅子に腰かけた。
火曜日の夕方四時。
バイトに出勤すると、ゲーム筐体の周りに高校生らしい集団がいた。
そして、大きなぬいぐるみを嬉しそうに抱える女の子が俺の横をすり抜けていく。
ここんち、クレーンの設定がけっこう甘くて、景品取れやすいんだよな。
人の姿がまばらな売り場を通りレジに入る。
「神代君、お疲れ様ー」
そう言って俺に笑いかけてきたのは、主婦のバイトさんだ。
「お疲れ様です」
言いながら軽く会釈すると、彼女は、
「じゃあ帰るねー」
と言い、手を振りレジを出た。
平日の夕方ってけっこう暇なんだよなあ。
一週間はまだ長い。
暇だからレジもひとり体勢なことが多い。
俺がレジに入って十分ほどした頃、武藤さんがレジにやって来て俺の隣に立ち言った。
「神代君、だいぶ顔色いいね」
「え、あ、ま、まあ……」
武藤さんの言葉に俺は曖昧な返事をする。
確かに変な渇きは感じなくなったし、課題もゲームもする余裕ができた。
それもこれもシュウさんに出会ったおかげなんだけど……んなの言えるわけがねえ。
「まだ若いから、お酒の限界量とかわかんないよねえ」
つうかこの間の抱き着いた話とか恥ずかしすぎるんだけど?
全部酒のせいだ。そう思っておこう。
そしてしばらく俺は酒飲まねえ。
少なくとも人前では。
「神代君、夏休みってどこか行ったりする?」
「え? な、夏休み?」
驚き俺は、武藤さんの方を向く。ここでも夏休みの話題出るのかよ?
彼は正面を向いたまま言った。
「うん。ほら、高野君と話していたんだけど、夏休みどこか行かないかって」
高野は俺と同い年のアルバイトで、武藤さんを交えてよく飯に行ったり飲みに行ったりするヤツだ。
「どこかってどこっすか」
「それはこれから決めるんじゃないかなあ。皆で休みを合わせるとなるともう決めないとだからね。会員制のスーパー行きたいって、高野君が言ってたけど」
それはちょっと心惹かれるかもしれない。
「俺が会員証持ってるって言ったからさー」
言いながら、武藤さんは笑う。
「え、まじっすか」
アメリカの有名スーパーで、どの商品もアメリカサイズででっかいって噂のスーパーだ。ちなみに俺は行ったことがない。
高野が行きたいって言う気持ちわかるわ。
それならここから車で三十分くらいだしな……
「それで色々買ってきて一緒に家で飲み会とかかなあ」
「でもあそこって売ってるものみんなでかいっすよね」
「三人じゃ食べきれないかなぁ。あとふたりくらいいないとって思うけど、うちにそんなに人呼べないし、一枚の会員証で一緒に入れるのふたりだけだしなあ」
そう言って、武藤さんは笑う。
シフトのこと考えたらもう夏の事考えなくちゃいけねえ時期なんだなあ。
八月には夏祭りがあって、その日は出勤しないとだし。ヒロとの約束があるし、シュウさんともきっとなんかあるよな……
やべえ、ちゃんと予定考えないとじゃんか。
……夏休み俺、バイトできるかな。なんか無理な気がしてきた。でもしねえと金が辛いんだよな……
今日、休み時間にプールの短期バイト見つけて応募したんだけどな。
「行けそうだったら行こうって話だからよかったら」
「それは心惹かれるんで行きたいです」
考えるよりも先に言葉が出てくる。
年会費かかるから大学生同士じゃ行く機会なんてなさそうだもんなぁ……
何したい、てわけじゃねぇけど行ったことねえ場所ってのは心惹かれる。
「行くとしたら平日でお盆は避けないとだから、八月末か九月になると思うけど」
「わかりました」
夏休みかあ……考えたらちょっとテンション上がってきたかも。
バイトの休み入れねぇとだからちゃんと予定、考えよ。
今まで殆どやり取りはなかったのに、急にどうしたんだろうか。
水曜日、どこで飯を食うか、って話から始まりゲームの話とか誕生日の話にもなった。
俺は四月生まれでもう誕生日が過ぎている。だから煙草吸うし、酒も飲めるんだけど。
『そっか。もうすぎちゃってるんだ。ちょっと残念だな』
『シュウさんはいつなんですか?』
『九月二十三日だよ』
そうか。名前が秋星だから秋生まれだよな。
って、九月ってことは夏休み中じゃねえか。
……なんかした方がいいのかな。
誕生日って何するんだ? 友達の誕生日はメシ奢るくらいだしな。なんかあげたりとかしたことねえよ。
何あげたらいいかも分かんねえしな……
あと三か月か……まだ時間あるし、そんとき考えりゃいいか。シュウさんのこと、よくわかんねぇ状態でプレゼントなんて決められるわけねぇしな。
一日の講義を終えてアパートに帰りながら俺は、頻繁にスマホを見てしまう。
でもスマホはなにも着信しない。
昼休み中と講義の後の休み時間にシュウさんとメッセージのやり取りをしたけど話題が一旦終わったし、なんかくるわけねえのに。
他愛のない雑談を送ってくるような人でもねぇだろうしな。
それは俺も同じだが、なんか来ないかと心のどこかで期待してしまう。
自分からなんか聞くべき? って何をだよ。
結局何にも思いつかず、俺は首を振りスマホをベッドの上に放り投げて課題をやろうと椅子に腰かけた。
火曜日の夕方四時。
バイトに出勤すると、ゲーム筐体の周りに高校生らしい集団がいた。
そして、大きなぬいぐるみを嬉しそうに抱える女の子が俺の横をすり抜けていく。
ここんち、クレーンの設定がけっこう甘くて、景品取れやすいんだよな。
人の姿がまばらな売り場を通りレジに入る。
「神代君、お疲れ様ー」
そう言って俺に笑いかけてきたのは、主婦のバイトさんだ。
「お疲れ様です」
言いながら軽く会釈すると、彼女は、
「じゃあ帰るねー」
と言い、手を振りレジを出た。
平日の夕方ってけっこう暇なんだよなあ。
一週間はまだ長い。
暇だからレジもひとり体勢なことが多い。
俺がレジに入って十分ほどした頃、武藤さんがレジにやって来て俺の隣に立ち言った。
「神代君、だいぶ顔色いいね」
「え、あ、ま、まあ……」
武藤さんの言葉に俺は曖昧な返事をする。
確かに変な渇きは感じなくなったし、課題もゲームもする余裕ができた。
それもこれもシュウさんに出会ったおかげなんだけど……んなの言えるわけがねえ。
「まだ若いから、お酒の限界量とかわかんないよねえ」
つうかこの間の抱き着いた話とか恥ずかしすぎるんだけど?
全部酒のせいだ。そう思っておこう。
そしてしばらく俺は酒飲まねえ。
少なくとも人前では。
「神代君、夏休みってどこか行ったりする?」
「え? な、夏休み?」
驚き俺は、武藤さんの方を向く。ここでも夏休みの話題出るのかよ?
彼は正面を向いたまま言った。
「うん。ほら、高野君と話していたんだけど、夏休みどこか行かないかって」
高野は俺と同い年のアルバイトで、武藤さんを交えてよく飯に行ったり飲みに行ったりするヤツだ。
「どこかってどこっすか」
「それはこれから決めるんじゃないかなあ。皆で休みを合わせるとなるともう決めないとだからね。会員制のスーパー行きたいって、高野君が言ってたけど」
それはちょっと心惹かれるかもしれない。
「俺が会員証持ってるって言ったからさー」
言いながら、武藤さんは笑う。
「え、まじっすか」
アメリカの有名スーパーで、どの商品もアメリカサイズででっかいって噂のスーパーだ。ちなみに俺は行ったことがない。
高野が行きたいって言う気持ちわかるわ。
それならここから車で三十分くらいだしな……
「それで色々買ってきて一緒に家で飲み会とかかなあ」
「でもあそこって売ってるものみんなでかいっすよね」
「三人じゃ食べきれないかなぁ。あとふたりくらいいないとって思うけど、うちにそんなに人呼べないし、一枚の会員証で一緒に入れるのふたりだけだしなあ」
そう言って、武藤さんは笑う。
シフトのこと考えたらもう夏の事考えなくちゃいけねえ時期なんだなあ。
八月には夏祭りがあって、その日は出勤しないとだし。ヒロとの約束があるし、シュウさんともきっとなんかあるよな……
やべえ、ちゃんと予定考えないとじゃんか。
……夏休み俺、バイトできるかな。なんか無理な気がしてきた。でもしねえと金が辛いんだよな……
今日、休み時間にプールの短期バイト見つけて応募したんだけどな。
「行けそうだったら行こうって話だからよかったら」
「それは心惹かれるんで行きたいです」
考えるよりも先に言葉が出てくる。
年会費かかるから大学生同士じゃ行く機会なんてなさそうだもんなぁ……
何したい、てわけじゃねぇけど行ったことねえ場所ってのは心惹かれる。
「行くとしたら平日でお盆は避けないとだから、八月末か九月になると思うけど」
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夏休みかあ……考えたらちょっとテンション上がってきたかも。
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