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15 もっと知りたい
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これ以上シュウさんの家にいたら俺、どうなるか分かんねえ。
そう思った俺は、家でメシを喰うと主張するシュウさんに、外で喰いたいと言い張り少し歩いたところにあるイタリアンレストランで夕飯を食べることにした。
「夕食代は出すよ」
って言われたものの、シュウさんだってひとり暮らしだしそんなの甘えていられねえので割り勘にしてもらった。
レストラン前でシュウさんと別れるとき、彼は俺の頬に触れて言った。
「また今度。連絡するから」
触れられた場所が熱く感じる。
シュウさんの言葉に一瞬悦びを感じ、そんな自分に戸惑いを覚えて俺は頷き、そのまま俯いてしまう。
また今度……っていつだろう。来週の日曜日? そうだ、俺、来週の土曜日はバイト、朝から夕方まで入ってるけど日曜日は休みなんだ。
会いたいって言うか? 俺から?
迷ってそして、俺は目を伏せて言った。
「あの……俺……来週の日曜日、バイト、休みなんです……」
それだけ言って俺は黙り込む。だからどうしたいんだ、俺。自分から言い出したもののその先を言えない。
黙ってしまった俺に変わり、シュウさんは俺に顔を近づけ耳元で囁く。
「じゃあ、土曜日にうちに来る?」
甘く響く声に、俺の心臓が跳ね上がる。
やべえ俺……来週と言わず今からでも泊まる、と言う言葉が喉まで出かかり、その言葉を無理やり飲み込む。
「漣君」
優しくて、でもどこか人を従わせる響きを持つ声で呼ばれて俺は、顔を上げてシュウさんを見つめた。
俺の顔のすぐそばにあるシュウさんはとても優しい笑みを浮かべていた。
「土曜日、うちに泊まる?」
問いかけに俺は考えるよりも前に頷いて答えた。
「そうしたら漣君、着替えとか持ってうちにおいで。あと、平日、どこかで夕方から会おうか」
「あ……はい」
初めて俺は、日曜日以外にシュウさんに会えるんだ。俺の望んでいた通りに。
「じゃあ、またね」
そう告げて、シュウさんは俺から離れて微笑み手を振る。
そんな彼の姿に俺の胸は締め付けられ、思わず俺は胸に手を当てた。
Subな自分を受け入れられなくても俺は、彼に染められていく。
今週のバイトは、火曜、金曜、土曜日に入ってる。
家に帰るとすぐにシュウさんからメッセージが届いた。
『バイトはいつが休み?』
『月水木です。でも、月曜日は講義の終わりの時間的に辛いですけど』
『じゃあ水曜日がいいかな。せっかく同じ大学なんだから、大学で待ち合わせでもいいかな』
『わかりました』
そして、大学の一画にあるチェーンのカフェで待ち合わせすることになった。
俺が通っている理工学部の校舎からはちょっと遠いんだよな……たぶん十分くらいかかる。
その店は大学の近所の人も利用できるようになってて、正面の門の近くにあるんだよな。
シュウさんが昼休みに会おうって言い出さないのは俺の通う学部と、シュウさんが通う教養学部はかなり距離があり十分以上かかるからだろうな。
まあさすがに俺も昼休み会いたい、って言うつもりはねえし……っていうかたぶん俺、彼の前ではどうなるかわかんねえしあんな姿、友達に見せらんねえから。
六月十九日月曜日。
気分も身体もだいぶ楽だけど……月曜日の朝から講義って言うのはそれだけで怠い。
俺は欠伸をしながら無駄に広い講義室に入り、俺に向かって手を振るヒロを見つけて彼の元へと向かった。
「よ! 漣、おはよー」
妙にテンションたけえなこいつ。
「よっすー、お前月曜の朝からテンションたけえな」
言いながら俺はヒロの隣に座る。
「そりゃ、彼女といい感じになったからさー」
と、にやにやして言う。
あー、そういうことか。でもこいつ、乙女かよってくらいすぐ恋して、フラれてめそめそするタイプなはずだけど……大丈夫か?
こいつは見た目こそ金髪にピアスと派手で、合コン開いたりする派手好きにみえるけど……しょせん理系男子だ。それはけっこう無理して作っているキャラなはず。本人は認めねえけど。
「そんな浮かれて大丈夫かよ? またすぐフラれるんじゃね―の?」
そう俺が言うと、ヒロは一瞬真顔になった後、ふるふると首を横に振った。
「んなことねえよ! 今度は大丈夫だっての」
今度は、と言うところを強調するあたり今までの出来事に関して色々と察してしまう。
「ならいいんじゃね」
まあ正直、人の恋路なんてどうでもいいけど。
俺は俺の事で精いっぱいだ。
「ンな事よりお前はどうなんだよ?」
ずい、と迫ってきてヒロが真顔で言う。
「別に。俺はバイトもあるし大学で忙しいし、別に彼女とかいらねえよ」
そう、彼女は特に欲しいと思っていない。
昔はそう思っていた時期もあるけど、今はそんな事ひとかけらも思わねえ。
こんなにも変わるのかよ?
Subであるってことは俺の嗜好まで変えるのか……?
「俺だってバイトも大学もあるけど、私生活は充実させたくね? だいたい理系学部だし女子少ねえから出会いも少ねえし」
確かに理系だから女子学生は少ない。
でも俺は女子に今興味ねえし……ってことを言うわけにもいかず、考えて俺は、無難な答えを探す。
「そうだけど、付き合うって金掛かるし、俺に今そんな余裕ねえもん」
するとヒロは俯き、
「確かに金掛かるけど……それ言ったら元も子も……」
なんて呟いている。
俺もヒロも親元を離れてひとり暮らしだ。
余裕のある生活なんて送ってない。
仕送りもあるとはいえ、それだけで生活できるわけじゃねえしな。
……そう言えば、シュウさんてバイトしてんのかな。
ひとり暮らしだし、実家は離れてるんだろうからバイトはしてるか。すんでるマンションはちょっと広くて家賃高そうだからもしかしたら資産家とかあるかもだけど。
俺もシュウさんもそういう自分の話、してねえや。
もっと知りたい、岩田秋星という人物の事を。
そう思った俺は、家でメシを喰うと主張するシュウさんに、外で喰いたいと言い張り少し歩いたところにあるイタリアンレストランで夕飯を食べることにした。
「夕食代は出すよ」
って言われたものの、シュウさんだってひとり暮らしだしそんなの甘えていられねえので割り勘にしてもらった。
レストラン前でシュウさんと別れるとき、彼は俺の頬に触れて言った。
「また今度。連絡するから」
触れられた場所が熱く感じる。
シュウさんの言葉に一瞬悦びを感じ、そんな自分に戸惑いを覚えて俺は頷き、そのまま俯いてしまう。
また今度……っていつだろう。来週の日曜日? そうだ、俺、来週の土曜日はバイト、朝から夕方まで入ってるけど日曜日は休みなんだ。
会いたいって言うか? 俺から?
迷ってそして、俺は目を伏せて言った。
「あの……俺……来週の日曜日、バイト、休みなんです……」
それだけ言って俺は黙り込む。だからどうしたいんだ、俺。自分から言い出したもののその先を言えない。
黙ってしまった俺に変わり、シュウさんは俺に顔を近づけ耳元で囁く。
「じゃあ、土曜日にうちに来る?」
甘く響く声に、俺の心臓が跳ね上がる。
やべえ俺……来週と言わず今からでも泊まる、と言う言葉が喉まで出かかり、その言葉を無理やり飲み込む。
「漣君」
優しくて、でもどこか人を従わせる響きを持つ声で呼ばれて俺は、顔を上げてシュウさんを見つめた。
俺の顔のすぐそばにあるシュウさんはとても優しい笑みを浮かべていた。
「土曜日、うちに泊まる?」
問いかけに俺は考えるよりも前に頷いて答えた。
「そうしたら漣君、着替えとか持ってうちにおいで。あと、平日、どこかで夕方から会おうか」
「あ……はい」
初めて俺は、日曜日以外にシュウさんに会えるんだ。俺の望んでいた通りに。
「じゃあ、またね」
そう告げて、シュウさんは俺から離れて微笑み手を振る。
そんな彼の姿に俺の胸は締め付けられ、思わず俺は胸に手を当てた。
Subな自分を受け入れられなくても俺は、彼に染められていく。
今週のバイトは、火曜、金曜、土曜日に入ってる。
家に帰るとすぐにシュウさんからメッセージが届いた。
『バイトはいつが休み?』
『月水木です。でも、月曜日は講義の終わりの時間的に辛いですけど』
『じゃあ水曜日がいいかな。せっかく同じ大学なんだから、大学で待ち合わせでもいいかな』
『わかりました』
そして、大学の一画にあるチェーンのカフェで待ち合わせすることになった。
俺が通っている理工学部の校舎からはちょっと遠いんだよな……たぶん十分くらいかかる。
その店は大学の近所の人も利用できるようになってて、正面の門の近くにあるんだよな。
シュウさんが昼休みに会おうって言い出さないのは俺の通う学部と、シュウさんが通う教養学部はかなり距離があり十分以上かかるからだろうな。
まあさすがに俺も昼休み会いたい、って言うつもりはねえし……っていうかたぶん俺、彼の前ではどうなるかわかんねえしあんな姿、友達に見せらんねえから。
六月十九日月曜日。
気分も身体もだいぶ楽だけど……月曜日の朝から講義って言うのはそれだけで怠い。
俺は欠伸をしながら無駄に広い講義室に入り、俺に向かって手を振るヒロを見つけて彼の元へと向かった。
「よ! 漣、おはよー」
妙にテンションたけえなこいつ。
「よっすー、お前月曜の朝からテンションたけえな」
言いながら俺はヒロの隣に座る。
「そりゃ、彼女といい感じになったからさー」
と、にやにやして言う。
あー、そういうことか。でもこいつ、乙女かよってくらいすぐ恋して、フラれてめそめそするタイプなはずだけど……大丈夫か?
こいつは見た目こそ金髪にピアスと派手で、合コン開いたりする派手好きにみえるけど……しょせん理系男子だ。それはけっこう無理して作っているキャラなはず。本人は認めねえけど。
「そんな浮かれて大丈夫かよ? またすぐフラれるんじゃね―の?」
そう俺が言うと、ヒロは一瞬真顔になった後、ふるふると首を横に振った。
「んなことねえよ! 今度は大丈夫だっての」
今度は、と言うところを強調するあたり今までの出来事に関して色々と察してしまう。
「ならいいんじゃね」
まあ正直、人の恋路なんてどうでもいいけど。
俺は俺の事で精いっぱいだ。
「ンな事よりお前はどうなんだよ?」
ずい、と迫ってきてヒロが真顔で言う。
「別に。俺はバイトもあるし大学で忙しいし、別に彼女とかいらねえよ」
そう、彼女は特に欲しいと思っていない。
昔はそう思っていた時期もあるけど、今はそんな事ひとかけらも思わねえ。
こんなにも変わるのかよ?
Subであるってことは俺の嗜好まで変えるのか……?
「俺だってバイトも大学もあるけど、私生活は充実させたくね? だいたい理系学部だし女子少ねえから出会いも少ねえし」
確かに理系だから女子学生は少ない。
でも俺は女子に今興味ねえし……ってことを言うわけにもいかず、考えて俺は、無難な答えを探す。
「そうだけど、付き合うって金掛かるし、俺に今そんな余裕ねえもん」
するとヒロは俯き、
「確かに金掛かるけど……それ言ったら元も子も……」
なんて呟いている。
俺もヒロも親元を離れてひとり暮らしだ。
余裕のある生活なんて送ってない。
仕送りもあるとはいえ、それだけで生活できるわけじゃねえしな。
……そう言えば、シュウさんてバイトしてんのかな。
ひとり暮らしだし、実家は離れてるんだろうからバイトはしてるか。すんでるマンションはちょっと広くて家賃高そうだからもしかしたら資産家とかあるかもだけど。
俺もシュウさんもそういう自分の話、してねえや。
もっと知りたい、岩田秋星という人物の事を。
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