醜い私にはなんの価値もないのですね。わかりました。 ～ゴブリン女と呼ばれて～

婚約破棄 ～ベラドンナ視点～

あのむかつくマリーがゴブリン病にかかったと聞いて、私はざまあみろと思った。
小躍りして喜んだね。

あのぶりっ子女、ちょっと若くて家柄が良いってだけでチヤホヤされて、昔から気に入らなかったんだ。

だいたい、私は自分より若い女はみんな嫌いなんだ。その中でもあのマリーは特に気に入らない。

女ってやつはもっと悪どく、男を利用していかなきゃだめなのに。
あの女ときたら、馬鹿正直に良い子ちゃんぶりやがって。

それで男達はコロッと騙されるんだからね。本当に、バカばっかりだよ。

いくら気が弱くて善良な女のフリをしたって、あいつだって裏で舌を出してるのに違いないんだ。
ああムカツク。

トライブ様があの女と婚約なされたって聞いた時は卒倒しそうになった。

あの泥棒猫、私からトライブ様まで奪うつもりかってね。
憎くて憎くて、どうかしちまうかと思った。

だから、そんなあいつがゴブリン病になって、醜くなって、ざまあみろってわけさ。

どんなに心がキレイだって、女は結局見た目がすべてなんだよ。
たとえマリーが誰よりも優等生でお淑やかな女だとしたって、あんな顔じゃただのバケモノにしか見えないんだ。
本当にいい気味だよ。



あの女がゴブリン病にかかったと聞いて、トライブ様は婚約破棄を言い渡すと仰った。

婚約破棄を告げる時、私はどこか別の場所で待っていろと言われた。
けど、我慢できなかった。
どうしても、あの女の悔しがる顔を見たかったんだ。それで私は偶然を装って無理やり同席することにした。

残念ながらあの女は仮面をつけてやがった。
だけど、仮面越しでも動揺するのがよくわかった。
私がトライブ様にくっついてみせる度に小さく震えてたんだ。
もうほんとに最高な気分だったね。楽しくて、何度も見せつけてやった。
あの女、しまいには声も震えだしちまいやんの。もう最高。



ただ、あの女が、あんまりにもあっさりと引き下がったのは気に入らない。
かちんときた。

私なら絶対にもっとゴネる。

泣いてみせて、追いすがって、なんなら脅迫してでもゴネ尽くしてやるのに。

それをあの女は、あっさりと「はい、わかりました」ですって？

トライブ様のことなんてどうでもいいっていうの？

本当に、むかつく女だよ。

また今度、改めて、しっかりといじめてやる。
いまの自分がどれだけ惨めなのか、しっかりとわからせてやらなきゃならない。

どうしてくれようかね。

あの女は、私がトライブ様にくっついて見せたら、面白いように反応していた。

なるほど、それなら……

今度はもっとちゃんと、じっくりと見せつけてやろう。