息子の運命、父の執着。

番外編

過去１

亮太は中学１年生になってすぐ誘拐された。

犯人からすぐに私宛に犯行声明と身代金の要求がきた。

少しでも早い救出を、とすぐ警察に届け出た。

ところが身代金を用意し、警察を配備して犯人と交渉しようとしたところに、マスコミが押し寄せた。

誰かがマスコミに誘拐をリークしたのだ。

マスコミと世間にかき回され、警察は惑わされる。

亮太の救出が後手に回った。

誘拐から２５日程度経った頃、大学の研究室の私宛に、ある企業から封書が届いた。

社外秘の印を押してあるソレを、何も聞かずに届けてくれた市井くんは相変わらず優秀だ。

ウチに詰めている警察官に、企業と共同研究している薬の重要機密情報が届いた事を告げ、社外秘印と企業名を伝える。
人命に関わる薬物研究の緊急要件なのでどうしても30分抜けたい旨も伝える。

警察も、ソレが本当にその企業からのものから確認し、もしも犯人からの連絡が入った場合すぐ戻ると約束してから、離席の了承を得た。

書斎に隠り封筒を開ける。
封筒にはDVDディスクが１枚と請求書が入っていた。

表面にタイトルは無い。
PCにDVDをセットすると、丁度その時、私のスマホが鳴った。

『この度は弊社のサービスをご利用頂きありがとうございます。』

「仕上がりはどう？」

『ご依頼通り、１ヶ月で仕上げてご覧に入れます。』

「ありがとう。専門店に依頼してよかったよ。感度は？」

『亮太様の最高感度を引き出してございます。』

「すぐイクのはつまらないな。」

『極限までの我慢も仕込ませて頂きました。』

「勝手にイかないのはいいが、お強請りが早いとつまらない、我慢してから泣きつくようにしておいて。」

『かしこまりました。』

「セックスを見境なく強請られるのは困る。」

『ご安心下さい。亮太様の理性は壊しておりません。元々慎ましやかな方です。ご心配には及びません。』

「そうだね。それと、普段は普通の子として過ごさせたい。
性奴奴隷とバレない警戒心と羞恥心は必要だ。」

『弊社の性奴隷は社会生活におきまして、一般人に擬態して生活できるよう教育しております。』

「私への依存心は強く、他人への不信感も欲しい。」

『亮太様の場合、生活全般に対する常識や学習能力などはねじ曲げず、“ご主人様”に対する忠誠心や依存心、情愛を深く深層意識に植え付けました。
その際に“父親パパ”に対する執着は更に強くしてございます。』

「いいねストーカーみたいだ。」

『弊社の性奴隷はご主人様に対して迷惑行為は絶対に致しません。』

「助かるよ。」

『ほかに、ご要望はございますか？』

「亮太の恥じらう姿が見たいから、羞恥心は残して。
あと、５年後に向けての催眠も深く掛けてくれ。」

『かしこまりました』

「支払はこの請求書？」

『はい。誘拐の身代金は警察を通してお返しいたします。
ご利用料金は、同封致しました振込用紙から指定口座へのお振り込みでよろしくお願いします。』

「分かった。」

『この度、弊社では、先生が開発中のお薬の作用・副作用・後遺症などを検討致しました。
将来的に弊社での有用性が極めて高いと判断し、ご利用料金は５割引とさせて頂きます。』

「随分気前がいいね。」

『勝手ながら、開発段階の試供薬提供のお礼も兼ねさせて頂いております。』

「他の客からクレーム来ない？」

『あの薬のお陰で調教が時短となり、忠誠心も深い、とご好評頂いております。』

「そう。」

『この度は弊社をご利用頂きありがとうございました。』

「ああ。私は、今から例の薬でこれから５年、君を忘れることになるから。
思い出す状況は環境、亮太の再誘拐。
聴覚刺激つまり音声、君の声。
キーワード、“唐正義教授”×３回だ。
５年後の亮太の再誘拐は予定通りに。
後は君の声とキーワードだ。
手間を掛けさせてすまないが、よろしく。」

『かしこまりました。それでは、お客様方がご健勝でありますよう、お祈り申し上げ、次のご利用をお待ちしております。失礼致します。』

「ああ。また５年後に。」