息子の運命、父の執着。3

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side 亮太

睡眠と外食。

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父さんと一緒に包まる掛布に一人で包まる。

涙は止まってくれそうに無い。

「・・・ひとりはやだ・・・パパ・・・寂しい・・・」

そのまま泣き続けて、気付けば眠ってしまっていたらしい。

目を覚ますと、昼前になっていた。

何だかいい夢を見た気がする。

温かく包まれる感覚に意識がふわふわ浮上し、

優しく頭を撫でられる感覚に、もう一度意識が沈んでいった様な。

よく眠れたせいか、何故か気分が軽くなってる。

うーん、と猫のように背伸びをして起き上がる。

・・・お腹空いた。

リビングダイニングに出ると、コンシェルジュがランチメニューを置いていってくれていた。

俺が家に居るってバレてる?

急いでスマホを見ると、父さんから

『学校から連絡来たよ。
体調は大丈夫かい?
いつでもいいから、何か食べられそうになったら食事を摂りなさい。』

とメッセージが来ていた。

父さんは母さんの産んだ息子おれを溺愛している。

だから俺を疑ったりしない。

胸がまたチリチリする。

でも、心配してくれたんだ。

『心配かけてごめんなさい。
薬を飲んで昼まで寝たら、治ったみたい。
でも学校は休むね。
父さんも俺の心配しないでお仕事頑張って。』
とメッセージを送る。

父さん、嘘ついてごめんなさい。

俺の事心配してくれてありがとう。

大好き。




 ◆◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆




仮病で学校を休んでから、なんとなく父さんを避ける日々を過ごしていた。

もう2週間SEXしていない。

さみしい。

でも俺が始めたことだから『さみしい。』も『SEXしたい。』も自分からは言い出せない。

夜も、父さんに背を向けて眠っている。

こんな態度じゃその内、父さんに愛想尽かされるかも・・・とよけい不安になったが、やめ時が分からない。

そしたら最近、寝るときに父さんが背中うしろから抱き締めてくれるようになった。

「おやすみ。」って後ろ頭にキスしてくれて、優しく撫でてくれる。

メンタルが不安定な俺は、そんな些細なことでも嬉しい。

俺、今凄く幸せ。

もう十分かも。

父さんは、母さんの代わりならSEXしてくれる。

俺、ずっと母さんの代わりでいいかも。

父さんロスの混濁した思考回路で、諦めにも似た気持ちを持つようになっていた。




 ◆◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆




その週の金曜日、お昼に市井弟と飯食ってたら、父さんから
『今日は外食しようか。』
とメッセージが届いた。

『うん。分かった。今日も図書室で勉強してからラボに行くね。』

と、急いで返信する。

17時まで図書室で勉強してから父さんのラボへ。

父さんは、すでにラボの玄関ホールで待っててくれた。

「父さん!俺、前より来るの遅れた?ごめんなさい。」

「ふふ、いや、私が亮太を待って居たかったんだよ。
時間通りだ、行こうか。」

と促されるまま、すぐにラボを後にした。

少し行くと、ラボの方から知らない人の声で「唐所長!」って聞こえた・・・気がした。

(割としっかり聞こえた。)

立ち止まり振り返る。

チラッと父さんを見上げると、「ん?」と優しく微笑まれたので『気のせいだな。』と思う事にした。

「今日もイタリアン?」

「いや?今日はちょっと特別でね。」

そう言って父さんは俺を連れて、再び歩き出した。







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