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水曜日ディナー本番。
幕間③市井兄とウェイター2
しおりを挟む「凄いの~♪
ねぇねぇ、ご飯のお兄さん。」
健介がウェイターの袖を引っ張って話しかけている。
何て事だ、ウェイターと健介が親密になっている。
「はい、健介様。」
「僕もできる様になる~?」
健介に甘えられるのは俺の特権のハズなのに!
おのれウェイター!
「健介様も練習なされば、できる様になりますよ。」
「わ~い♪」
俺の嫁とイチャイチャしやがって!
健介は俺のだ!
俺の嫁だぞ!!(迷走)
「健、手品はもう十分じゃ・・・。」
「上手になったら、兄ちゃんに見せてあげるね~♪」
「・・・ありがとう。
楽しみに待っているね。」
ふふん。
今の聞こえたかウェイター!
健介がカードマジックを覚えるのは俺の為だ!!
健介の微笑みと発言に、気持ちが幾分か落ち着く。
・・・そうだよ、落ち着け、俺。
ところが、健介が突然俺の胸に抱きついて、潤んだ瞳で見上げてきた。
ど、どうした健介!
うちの子世界一!!(混乱)
俺の嫁の可愛さを見たかウェイター!
お前にはやらんがな!!(大混乱)
「兄ちゃん、僕・・・」
健介、それ以上は駄目だ!
その瞳でお強請りは駄目だ!
そんな可愛い姿をウェイターに見せ付けないで!
ウェイターが健介に惚れたら、俺ウェイターに何をするか分かんない!
俺に縋り付いたまま、涙目の可愛い健介が俺を見上げる。
その瞳を見つめている内に、冷静になった。
・・・そうだ、俺は健介をココで半時間も待たせたんだ。
やはり寂しかったんだね。
お留守番させてごめんね。
「兄ちゃん、僕、僕・・・」
ニコリと微笑みかける。
抱き締める位はいいだろう。
「随分待たせたね。
ごめんね、私の姫君。
どうしたの?」
そっと腕を回す。
「・・・もう我慢できない!
おトイレ~!」
健介は、俺を押しのけてドアに向かって走り出した。
「・・・え?」
「健介様!
お手洗いまでは順路がやや複雑ですので、ご案内致します!」
そんな健介を見て、ウェイターが素早く反応し、ヤツも駆け出した。
んん?
「ご飯のお兄さん~!お願い~!
僕場所わかんない~!
もれちゃう~!!」
あの?
「頑張ってください!
必ず間に合うようご案内致しますので!
頑張ってください!!」
健介も必死だが、ウェイターも必死だ。
・・・まぁ・・・そりゃそう・・・だな?
生理現象だもんな・・・?
「出ちゃうぅ!!」
健介の必死の形相、なんて久しぶりに見たな。
「頑張ってください、健介様!
申し訳ございません、市井様!
暫く御前失礼致しますぅぅ!!」
同じく必死の形相のウェイターが振り返り叫ぶ。
最後の『御前失礼致します。』に至ってはウェイターの姿は既に無く、ドップラー効果付きだった。
・・・他人の必死な形相なんてそう見ないから新鮮だな。
「・・・気をつけて・・・??」
・・・。
・・・何だコレ?
※大混乱
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