僕の恋、兄の愛。3

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市井弟の成功談

幕間 プロポーズ(?)当日、学校にて。

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◆ ◆◆ 3時間目 数学Ⅲ ◆◆ ◆

「んへ~♪
今日~は♪お外でご夕飯~の♪」

「「「「「・・・。」」」」」

授業開始と共に流れる市井健介の謎の歌。
ソレは鼻歌から始まって、少しづつ音量が上がり、遂に歌詞が聞き取れるまでになった。
『誰かツッコめ!』
クラスメイトの心は1つになり、その視線は隣の席の唐亮太に集まっていた。

コレを打破できるのは隣の席のだけだ!
お願いします!

「(こんな時だけ一致団結しやがって・・・。)」

「へへ~♪
兄さんとご夕飯~の♪」

「・・・。
イチケン。」

「んへんへ~♪
りょーちんも一緒~の♪
お出かけヤッホ~の♪」

「イチケン、」

「ふんふん~♪
お腹もいっぱい~の♪
夢いっぱ~い~の♪」

「おい。」

「んふふふふ~♪
僕の心に~♪」

「授業中、授業中だぞ。」

「ふふふ、ふんふん♪
大きな夢~♪」

「イチケン!」

「ふわ!ビックリした~。
どしたの、りょーちん?
授業中だよ~?」

「ソレはコッチのセリフだ。
イチケン思考だだもれてんぞ。」

「んえ~?」

「そうね。」

「げ、マッセ・・・増田先生。」

数学教諭、増田先生マッセンの乱入に、唐元生徒会長は狼狽えた。

だが『なぜ歌うイチケン放置判断なんだ増田先生マッセン(数学教諭)!!』とずっと思っていたクラス一同はちょっとホッとした。

「ありがとう、大丈夫よ、唐くん。
引き継ぐわ。
さて、市井くん。」

「はい。増田先生。」

「今は授業中ですね。」

「はい。数Ⅲの授業中です。」

「受験勉強の息抜きにご家族と外食もいいけれど、今は授業に集中して下さいね。」

「えっ!
先生何で僕の今日の予定を知ってるんですか!?
まさか兄さんが学校に連絡を!?」

「市井くんの予定を知ったのは今です。
それにご家族との予定を学校に連絡する義務はありませんよ。」

「えぇ?じゃぁ何で先生が僕の今夜の予定を?
まさかエスパーですか!?」

「今、歌っていましたよ。
クラスの皆さんも聞いていました。」

「えぇ~♪
先生ってばまたまた~♪」

「マッ、増田先生。」

「はい、松戸くん。」

「時々見られるイチケンのアレは、歌じゃ無くて独り言です!」

「歌でも独り言でも、授業妨害なら同じです。
どっちでもい・・・独り言?ソレはソレでどうなのかしら??
市井くんは無意識に歌ってたって事ですね?」

「無意識の独り言です!」

「独り言・・・ありがとう、松戸くん。
そうね、やっぱり。
・・・市井くん、受験勉強、疲れていませんか?」

「・・・?
先生、僕元気で~す♪」

「そうかしら?」

「はい~♪」

「・・・市井くんを見てると、時々、時々凄く心配になるときがあります。
心当たりありませんか?」

「ええ~♪
分かりました!
大学合格するよう勉強頑張ります!
勉強ヤッホ~♪」

「・・・自分では分からないのかも知れないわね。
唐くん。」

「はい。」

「市井くんの事、よろしく頼むわね。」

「ぇ・・・はい。」

「えぇ!?
僕大丈夫ですってば~♪」

「・・・そうね。
今日はご家族との外食で息抜きをして、ゆっくり休んで下さいね。」

「イチケン。
取り合えず授業に集中しろ。」

「はぁい♪」

「授業を再開します。
皆さん、切り替えて。」

「「「「はい。」」」」

((((・・・イチケンの歌が頭から離れない・・・。))))

今日のイチケンはいつもの3割増でオカシイ、と特別進学コースとくしんの生徒・教師の間でヒソヒソされた。

そして増田先生マッセンは健介を受験ノイローゼと判断。

「市井くんの事は、ご家族にお伝えしないと。」

伊豆の両親が学校から連絡を受けて騒動が広がったのはまた別のお話。





めでたしめでた・・・










※次回ガッカリ回です。


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