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市井弟の成功談
プロポーズの行方。
しおりを挟む「あ、あぁ、そうだ健!
アレだ!
唐所長!
唐所長がね!」
僕がションボリから脱出できずに居ると、兄ちゃんの声が少し大きくなった。
・・・む?
「うん・・・所長さんが?」
(↓やさぐれ中)
所長さんお仕事しすぎで頭の毛が薄くなったの?
兄ちゃんも同じお仕事だから気を付けないとね。
頭皮ケア一緒に頑張ろ?
「唐所長が、俺達をホテルのディナーに誘ってくれたんだ。
『急なんだけど、明後日の夜に行かない?
亮太も家事の息抜きに行く予定だから弟くんもどう?』って。」
「うん?」
所長さんは、僕の親友、りょーちんのパパだ。
しかも同じタワーマンション内に住んでいる。
だからたまに、りょーちん、所長さん、兄ちゃん、僕の4人でご飯会したり、お出かけしたりしている。
明後日も4人で夕ご飯?
でも所長さんから急なお出かけのお誘いは珍しい。
言い出すのは大体僕かりょーちんだ。
でもやったぜ!りょーちんと夕ご飯♪
僕はすぐさま機嫌が回復し、そんな僕に兄ちゃんも優しく笑った。
「ホテルのレストランでの夕ご飯だそうだよ?
健は行きたい?」
明後日のご飯会会場、ホテルのレストランですか。
ホテルでお高級ディナーとか、流石りょーちんパパ!
研究所の所長さんだけある!
りょーちんとのご飯は、お互いがいっぱい食べるから楽しいのだ。
他の子だと最終的に「・・・イチケンまだ食うのか・・・」とか言われちゃうから控えめにしている。
「うん。
りょーちんファミリーとのご飯会いいよね~♪」
「じゃあ明日、夕ご飯会よろしくお願いします、って唐所長にお返事しておくね。」
「うわ~い♪」
でも兄ちゃんと2人でホテルディナーとかだったらもっと素敵だろうな~。
そんな妄想に顔がニヤける。
機嫌が直った僕に微笑んで、兄ちゃんが立ち上がってキッチンへ移動した。
「さ、夕ご飯にしよう。」
僕も立ち上がってキッチンへ急ぐ。
両親が伊豆に引っ越してから、家事は主に僕の担当になった。
兄ちゃんはお仕事忙しいし、僕は元々家事が得意だったから。
だけど、兄ちゃんが家に居るときは家事をしてくれる。「健は学業を頑張ってるんだから、家事は分担しようね。」って。
僕の旦那様は優しい。好き。
「うん♪
今夜はね~♪
筑前煮なの~♪」
「いつも美味しいお料理ありがとう。」
兄ちゃんが皿を並べる合間に頭を撫でてくれる。
んふふ~♪
僕の旦那様は格好よくてハイスペックなんだぞ。
フェイク告白騒動も無事解決したし、ルンルンだ♪
「あ、そうだ。
明後日の夕ご飯会なんだけどね、ホテルのディナー。亮太くんとは別の個室になりそうなんだ。」
兄ちゃんが湯呑みを並べながら呟く。
・・・ん?
「うん?」
「何でだろうね?
お二人様限定の個室コースを予約してるからとかかな?
隣の個室なのかな?
兎に角、別室なんだって。
曖昧でごめんね、明日唐所長によく聞いとくよ。」
「りょーちんファミリーとのご飯会なのにお部屋は別々~?」
兄ちゃんの、よく分かって無さそうな説明が耳を通り抜ける。
・・・これって・・・。
「ホテルのレストランまでは一緒に行くみたいだよ。
明後日は学校が終わったら、亮太くんと一緒に研究所においで。」
「うん、わかった・・・。」
まさか・・・。
そうだよ!
コレ、もしかして、だ!
「あぁ。亮太くん達と一緒に行くのに別々の部屋で夕ご飯なんて寂しい?
できれば亮太くんと一緒に食べたいです、って唐所長に相談してみようか?」
考え込んでいた僕を見て、兄ちゃんはそう付け加えた。
「ううん。僕平気だよ!」
2人っきりがいい!
だって!
もしかして、のヤツだよ!
「唐所長いわく、『夜景の見える部屋で、2人だけのロマンチックディナー』なんだって、健。
いい大人が『ロマンチック』って。
ちょっと面白かったよ。」(←健介は後半聞こえていません。)
兄ちゃんがニヤッと笑ってる。
ほら!やっぱり!!
これ、僕の『アニプロ作戦』成功なんじゃないの!?
サプライズ プロポーズ!!
「ホテルでロマンチックディナ~!!行く~!!」
僕のテンションは天元を突破した。
※勘違い、再来
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