僕の恋、兄の愛。3

文字の大きさ
上 下
25 / 27
弟くんと指輪の出会い編◆友人視点◆

ある日の百鶴学園高校③

しおりを挟む

実は百鶴学院高校ウチ特別進学コースとくしん同士が受験年に付き合い出すのはそう珍しい事じゃない。

“2人一緒に志望校に受かって、大学生活も一緒に楽しもう!”とお互いのヤル気を鼓舞する為だ。

ウチのクラスとくしん限定で、“受験年に付き合い始めたカップルは第一志望校に受かる。”なんてアホなジンクスまである。

クラスメートの『温かく見守る。』も毎年見られる伝統的光景なのだ。

なんだその伝統。

「ちげーって、全部聞けよ、唐!
俺の誕生日夏休みじゃん?
塾の前にスタバで予習してる時にさぁ、
『俺の誕生日、長期休みのど真ん中でツレに忘れ去られっから、家族しか祝ってくんねえの。』
って言ったら、カスミがわざわざ祝ってくれて!
しかも!俺の誕生日になった瞬間に
『誕生日おめでとう!私、松戸が好き!』ってメッセ来たんだよ!!
そりゃ俺も好きー!ってなんじゃん!」

「おぉ~♪」

「話が長い。
話を端的に纏めるのも知識だぞ、松戸。」

「うっせー唐。
んでな、イチケン!
俺はココで奮起した訳よ!
まず、夏休みの模試だ!
俺マジでメッチャ勉強頑張って、A判定出したんだ!」

「うん~。
・・・?
指輪関係なくなってない?」

「俺、ずっとA判定だけどな。」

「うっせぇ唐。
んでな、ココからだイチケン!
夏休み明け直前に、『お陰でA判定出せた!
付き合おうぜ、俺達!!』ってカスミにメッセしたんだ!
更に!新学期初日にペアリングを送ったんだぞ!」

「うん~。
あ、指輪~。」

「つまりな、イチケン。
佐梨と松戸のウキウキは、『同じ指輪趣味の同士発見ヤッホー。』じゃ無くて、『俺達付き合ってるんだぜヤッホー。』だ。」

「!!!
成る程~。
アレ?んん??」

「まぁ聞けって唐。
俺達のどっちかが大検落ちて浪人になろうもんなら、片方は大学生活満喫、片方は再受験に向けて再び多忙だ!
接点無くなんじゃん?
カスミと俺の志望校の偏差値で言えば、俺の方が浪人リスクは高い。
カスミが大学生で、彼氏の俺が浪人生とかカッコワリー!
一緒に受験パスして大学生活満喫しようぜ!って意味で、このペアリングは俺の決意表明なんだぜ!」

「うん~??」

「松戸。話が長い。
つまり。
佐梨と松戸のお揃いメーカーのリングは、恋人定番の“ペアリング”ですよ、っつー話だ。
よく買いに行く暇あったな、ギリギリ松戸。
勉強しろよ。」

「ん~???」

「売れない芸人みたいな呼び方すんな、首席ヤロー。
勉強してるわ。
ペアリングは、勉強の休憩時間にネットでポッチしたんだよ!
どれがカスミに似合うか超サーチしたんだぞ!」

「あのn・・・「「分かったか?イチケン。」」

「んん~??」

「「どうした?」」

「ねぇ~?ペアリングって何~?」

「「そこからか!」」

「もう!
イチケンさっきから全然着いて行けてなかったわよ!
イチケン、ペアリングだけど、ゼ〇シィみてみ、キレイ系デザインだけどメッチャ載ってるから。」

俺の前の席の水戸が振り返って会話に参加してきた。

自習中だ!と思わなくもないが、水戸も話に混ざりたくて集中力が切れてるんだろう。
仕方ない。

「ゆかもんも持ってるの~?
噂のペアリング~?」

「噂ってw
まぁねー♪」

「彼氏いるのか水戸。」

「去年の夏からねー♪」











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

条件付きチート『吸収』でのんびり冒険者ライフ!

ヒビキ タクト
ファンタジー
旧題:異世界転生 ~条件付きスキル・スキル吸収を駆使し、冒険者から成り上がれ~ 平凡な人生にガンと宣告された男が異世界に転生する。異世界神により特典(条件付きスキルと便利なスキル)をもらい異世界アダムスに転生し、子爵家の三男が冒険者となり成り上がるお話。   スキルや魔法を駆使し、奴隷や従魔と一緒に楽しく過ごしていく。そこには困難も…。   従魔ハクのモフモフは見所。週に4~5話は更新していきたいと思いますので、是非楽しく読んでいただければ幸いです♪   異世界小説を沢山読んできた中で自分だったらこうしたいと言う作品にしております。

婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。 そこはど田舎だった。 住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。 レコンティーニ王国は猫に優しい国です。 小説家になろう様にも掲載してます。

「ばらされたくなかったら結婚してくださいませんこと?」「おれの事が好きなのか!」「いえ全然」貴族嫌いの公爵令息が弱みを握られ令嬢に結婚させら

天知 カナイ
恋愛
【貴族嫌いの公爵令息が弱みを握られ、令嬢と結婚させられた結果】 「聞きましたわよ。ばらされたくなかったら私と結婚してくださいませんこと?」 美貌の公爵令息、アレスティードにとんでもない要求を突きつけてきた侯爵令嬢サイ―シャ。「おれの事が好きなのか?」「いえ、全然」 何が目的なんだ?と悩みながらも仕方なくサイ―シャと婚約したアレスティード。サイ―シャは全くアレスティードには興味がなさそうだ。だが彼女の行動を見ているうちに一つの答えが導かれていき、アレスティードはどんどんともやもやがたまっていく・・

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

斑目 ごたく
ファンタジー
 「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。  さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。  失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。  彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。  そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。  彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。  そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。    やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。  これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。  火・木・土曜日20:10、定期更新中。  この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

僕の恋、兄の愛。4

BL
『息子の運命、父の執着。4』で、市井兄が結構苦労したので、報われるのがいいかなと思って作りました。 ホントは『息子の運命、父の執着。4』の番外編になりそうだったのですが、主役も違うし、別物としてあげることにしました。 何故か今回も苦労する市井兄。 アッレー? 長いですが内容は短編です。 エロくは無いです。 誤字脱字も申し訳ないです。 いつかちゃんと時系列に並べて纏めようと思っています。

傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】 https://ncode.syosetu.com/n1741iq/ https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199 【小説家になろうで先行公開中】 https://ncode.syosetu.com/n0091ip/ 働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。 地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?

処理中です...