僕の恋、兄の愛。3

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弟くんと指輪の出会い編◆友人視点◆

ある日の百鶴学園高校①

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◆◆ ◆特別進学コースの教室◆ ◆◆
      (自習時間)



(・ω・)じぃっ。

・・・コッチ見てんなイチケン。

(・ω・)じぃぃっ。 

超見て来るなイチケン。

(・ω・)じぃぃぃぃっ。

自習とは言え授業中だぞ、コッチ見んな。

(・ω・)じぃぃぃぃぃっ。

無視だな。

(・ω・)じぃぃぃぃぃぃっ。

・・・。

(・ω・)じぃぃぃぃぃぃぃっ。

駄目だ、コレじゃ俺も集中できん・・・仕方ない。

「どうした、イチケン。」

チラッと隣の席のイチケンに視線を合わす。

「ねぇねぇ~、りょーちん。」

イチケンは速攻で食いついてきた。

超待ってたもんな。

「解けん問題でもあったか?」

「うぅん。
あのね~サリリンと~、まっつんさぁ~。」

自習を配慮したのか小声だ。

「あ?佐梨と松戸?」

自習中だと配慮するなら、話しかけずに勉強しろ!と思わん事もないが、こいつイチケンは疑問が解決しないと他が手に着かないタイプだから仕方ない。

「最近ウキウキだね~?」

イチケンの前の席の松戸が小さく反応する。

「あぁ。だろうな。」

「りょーちん、理由知ってるの~?」

少し離れた席の佐梨を伺うが、佐梨の方には聞こえていないようだ。

「・・・イチケン知らないのか?」

松戸が、コチラの会話を気にしているのが見える。

自習の手が止まりそうだ。

「イイことあったの~?
第一志望校に受かったの~?」

「無茶言うな、まだ9月半ばだぞ。
皆、第一志望に向けて戦ってる。
イチケンも戦え。」

「だって~。
夏休み明けてからルンルンじゃん~?」

遂に松戸のペンが止まった。

振り返りたいのか、頭が動いている。

「いや・・・、アイツらホラ、左手の薬指、見たろ?
察しろよ。」

「オソロの指輪の事~?
それは知ってる~♪」

松戸の体がソワソワ動き始めた。

話に入るタイミングを測っているんだろう。

イチケンはそれに気付いてない。

「それな。」

「?」

松戸の席が自分イチケンの前で、コッチの会話が松戸に筒抜けなのを分かってて、この話題を俺に振った・・・訳じゃ無いのがイチケンだ。

松戸、俺は気付いていても誘わんぞ。

自習中だ、お前は勉強しろ。

「寧ろ、それでだろ。」

「??」

・・・と言うかイチケンの頭の横にクエスチョンマークが見える、気がする。

佐梨と松戸、夏休みを経て新学期から突然のペアリング。

夏休み中に付き合うことになって買ったか、以前から付き合ってて何かの切っ掛けでペアリングしだしたって事だろうが。

何故分からん。

「な。理解できたか??」

「???」

他のクラスメート達も松戸と佐梨がペアリングしだしたのに気付いている。

だが、その話題にはあまり触れない。

別に『受験の本番年に浮かれやがって。』というやっかみで無視している訳では無い。

確かに受験生としては皆がライバルだけど、このクラス、特別進学コースは秀才と天才・・・つまり奇人変人が集まっているのだ、良い意味で。

お陰で、“受験とは、自分との戦いである。”と割り切ってるヤツが多い。

そんな個性派揃いのクラスメイト達は、『価値観は違っていてこそ素晴らしい!その分お互いの視野が広がる!』と、結構仲がいい。

そうして、クラス内カップルは温かく見守られるのだ、今のコイツらの様に。








※ 出演メンバー(その内出て来る人も居ます。)
 市井 健介 =イチケン
  唐   亮太 =りょーちん
 松戸  秀   =まっつん
 佐梨 カスミ=さりりん
 水戸 由香里=ゆかもん

あだ名一覧。
皆が皆、あだ名で呼び合ってる訳ではありません。
ややこしくてすみません。

※百鶴は3学期制の学校です。

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