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親心(ラッセン陛下視点)
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今日、正式に私の養女に迎えたシエルが側近であるガイウスと挙式する。
せめて苦労を掛けた分、シエルには幸せになってほしいものだ。
シエルを幸福に出来る人間を伴侶にと、何度も身辺調査を行い、その結果ガイウスならばとシエルに伝えた時のことは、一生忘れられないだろう。
あれほど喜んだ姿を見たことはない。生まれた時からシエルを知っている私でさえ予想だにしなかった。
思えば亡き王妃の忘れ形見だからと息子のラウルを甘やかして、そして私は育て間違えた。いつしかラウルは人を見下すことが当たり前の高慢にして愚かな男へと育ってしまった。
若いころは間違えることも勉強だと思っていた節もある。今にしてみれば甘い考えだったのだ。
だから、あのような最後をラウルが迎えたことも受け入れねばならい。
結果的に姪のシエルが養女として自分のもとへ来たことで、少なからず私は救われたのだろうと思う。
ただシエルには可哀そうなことをした。
王妃教育のために王宮に訪れるシエルの姿を秘かに見ていたが、いつも寝不足の様子で眠い目を必死にこするたびにマナーの教師に怒られていた。
聞けばラウルと同じで勉学は得意ではないらしい。将来の皇太子妃としてどうかと思うが、まだこの段階ではラウルのこともあるからと、私自身は成長と共に徐々に皇太子妃らしくなればと楽観視していた。
しかし弟は違ったのだ。
昔から隙あらば皇王の地位を狙っていたことを知らぬわけではない。さすがに大病を患ってからは、別人のように家臣として私に忠誠を誓うようになったが・・・。
弟夫婦は私に似ているというだけでシエルを冷遇していたらしい。
そのことを知ったのは、貴族たちが通う学園へラウルと一緒に同い年のシエルが入学して間もなくのこと。
以前から国境沿いに位置する鉱山の所有権をめぐってトラブルの絶えなかった隣国と、本格的に戦が始まるという時だった。
その当時すでにボンクラ皇太子などという不名誉な異名が付けられていたラウルが皇族に課された戦役を拒絶して、わざと腕を骨折した上に「この腕では戦えないし学業に専念したいから戦にはいかない」と宣った事件が引き金となった。
皇族が誰も戦場に赴かないのでは、アルテミス皇国軍に属する騎士団や末端の兵士たちの指揮に関わる。
ましてや皇太子が隠しているとはいえ、わざと怪我までして戦役逃れをする。当然ながら、王宮の上から下まで蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
弟も身体が丈夫とは言えない。更にいうなれば弟は文官向きだ。甥のレックスも喘息もちで戦場での過酷な環境に耐えうる体ではない。
こんな状況では、私自ら出陣するしかないではないではないか。
苦悩する私に「シエル様がいるではないですか」と悪魔の囁きをしてきたのは、長年私に尽くしてきてくれた眼鏡の宰相であった。
「12歳で剣聖となったとか。シエル様ならばラッセン陛下の代わりも務まりましょう。」
どのみち皇太子としての資質に欠いたラウル殿下が出陣しても犬死するだけだと暗に言われ、返す言葉に詰まったことは今でもはっきり覚えている。
重苦しい空気が流れる中、戦場に出陣するよう促した私にシエルが告げたのは、ラウルとの婚約破棄ではなく白紙撤回だった。
相変わらず、眠そうな顔をしながら「私はもう限界なのですわ。」と目の下の隈を指さしつつ自分の置かれた現状を訴えるシエルに、今更ながらに弟夫婦の心ない仕打ちの数々を知り、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
何より、決して仲が良い兄弟ではないが兄である自分に似ただけで冷遇するとは何事だ。
その場でラウルとの婚約白紙が決まった。
シエルの覚悟は固く、もしかしたら他に好いた男がいるのではないか?とも思ったが、あえてその時は聞く事はなかった。
そして、シエルはトロイア砦をはじめとする要所へと皇族代表として出陣する事になったのだ。
一度戦場で怪我をしたと聞いた。だが発熱しながらも機転を利かせて、上手く窮地を乗り越えたと騎士団長から知らせが来た。
さすがに12歳で剣聖となった訳ではなかったのだろう。アルテミスの戦女神の名は国内にとどまらす、国外にも知れ渡っていった。
その一方で息子のラウルは、取り返しのつかない大馬鹿者に成長していった。
最近では明らかに私を避けている様子が見られる。片親としては心中複雑だが思春期なのだから当たり前の反応とも言えた。
怪我さえ治れば、すぐさま戦場に送り出すつもりでいたが、ふとある深夜に宰相の言葉を思い出した。
ラウルは皇太子の資質に欠いていると。
ならば、どうすれば良いというのか?
とっさにシエルの顔が浮かんだ。だが今結論を出すべきではない。
シエルには戦場から戻ったら、暫く休ませると約束していた。あの睡眠を欲してやまない姪は「1日20時間寝るわ」と妙に高いテンションで睡眠の素晴らしさを熱く語っていた。
弟よ・・・。どんな生活送らせてきた?
シエルの生い立ちを知れば知るほど腹が立って仕方ない。
どうせなら、レックスという跡取りがグランフィールド公爵家にはいることだし、ラウルとの縁組みが無理なら私の養女にしてしまおうか。
きっとガイウスとかいう黒騎士の青年を私の側近に引き抜けば、シエルも懐いているそうだし、何とかなるだろう。
プラチナブロンドの髪と性別さえ除けば自分ソックリのシエルが、何だかんだで私は可愛いのだ。
ラウルがシエルを断罪しようとしたとき、ようやく自らのとるべき道が分かった。
王妃よ・・・。不甲斐ない父親ですまない。
私はラウルを切り捨てる覚悟を決めた。
弟はグランフィールド公爵家から新たな女皇王がでると喜んだが、レックスを切り捨てる事には難色を示した。
想定内だったため、今まで調べさせた数々のシエルに対する仕打ちを問い詰めると、あっさり手の平をかえした。
アルテミスの戦女神と呼ばれるまでになった実の娘を冷遇していたと知れれば、軍からの非難は避けられないだろうな?と釘をさしたことも大きかろう。
あの子は実力でグランフィールド公爵家から出ることに成功したのだ。
だが私はシエルに嘘をついた。あの子は休みたがっていた。きっとあの華奢な身体に不似合いな大きな羽の休める場所が正確にはシエルは欲しかったのだ。
自由を与えると言ったのに・・・。
なのに自分は皇太女として、次代のアルテミス女皇王としての道を歩ませることとなる。
まるで籠の鳥のようだ。
ならば、せめてもの償いとしてシエルには最愛と思える伴侶を与えようではないか。
シエルの視線の先を辿れば、赤毛の男が嫌でも目に入る。こんな男が息子だったなら、どんなにかよかっただろう。
好いた女のために難関の王宮官吏職の試験に最年少で合格して、さらには戦場までついて行くとかあり得んだろう・・・。
いや、もう今日から義理の息子になるわけか。
幸せそうなシエルの花嫁姿を前に、どうしてか死んでいったラウルの姿が重なる。
ラウルとシエル。私の可愛い子ども達。
願わくば2人の結婚式を見てみたかった。孫を抱いてみたかった。
それが叶わなかったからこそ、私はシエルの為に神に祈ろう。
「末永く幸せに。」
そのラッセン陛下の呟いた言葉を聞く者は神以外いなかった。
シエル皇太女とガイウスが婚姻を結んだ姿を見届けて、政からも身を引いて数年後のこと。
アルテミス皇国国王ラッセンは静かに病で息を引き取ることとなる。
最後は二人の間に生まれた孫息子ラウルを大事そうに抱きしめながら亡き王妃と息子のもとへ逝ったという。
せめて苦労を掛けた分、シエルには幸せになってほしいものだ。
シエルを幸福に出来る人間を伴侶にと、何度も身辺調査を行い、その結果ガイウスならばとシエルに伝えた時のことは、一生忘れられないだろう。
あれほど喜んだ姿を見たことはない。生まれた時からシエルを知っている私でさえ予想だにしなかった。
思えば亡き王妃の忘れ形見だからと息子のラウルを甘やかして、そして私は育て間違えた。いつしかラウルは人を見下すことが当たり前の高慢にして愚かな男へと育ってしまった。
若いころは間違えることも勉強だと思っていた節もある。今にしてみれば甘い考えだったのだ。
だから、あのような最後をラウルが迎えたことも受け入れねばならい。
結果的に姪のシエルが養女として自分のもとへ来たことで、少なからず私は救われたのだろうと思う。
ただシエルには可哀そうなことをした。
王妃教育のために王宮に訪れるシエルの姿を秘かに見ていたが、いつも寝不足の様子で眠い目を必死にこするたびにマナーの教師に怒られていた。
聞けばラウルと同じで勉学は得意ではないらしい。将来の皇太子妃としてどうかと思うが、まだこの段階ではラウルのこともあるからと、私自身は成長と共に徐々に皇太子妃らしくなればと楽観視していた。
しかし弟は違ったのだ。
昔から隙あらば皇王の地位を狙っていたことを知らぬわけではない。さすがに大病を患ってからは、別人のように家臣として私に忠誠を誓うようになったが・・・。
弟夫婦は私に似ているというだけでシエルを冷遇していたらしい。
そのことを知ったのは、貴族たちが通う学園へラウルと一緒に同い年のシエルが入学して間もなくのこと。
以前から国境沿いに位置する鉱山の所有権をめぐってトラブルの絶えなかった隣国と、本格的に戦が始まるという時だった。
その当時すでにボンクラ皇太子などという不名誉な異名が付けられていたラウルが皇族に課された戦役を拒絶して、わざと腕を骨折した上に「この腕では戦えないし学業に専念したいから戦にはいかない」と宣った事件が引き金となった。
皇族が誰も戦場に赴かないのでは、アルテミス皇国軍に属する騎士団や末端の兵士たちの指揮に関わる。
ましてや皇太子が隠しているとはいえ、わざと怪我までして戦役逃れをする。当然ながら、王宮の上から下まで蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
弟も身体が丈夫とは言えない。更にいうなれば弟は文官向きだ。甥のレックスも喘息もちで戦場での過酷な環境に耐えうる体ではない。
こんな状況では、私自ら出陣するしかないではないではないか。
苦悩する私に「シエル様がいるではないですか」と悪魔の囁きをしてきたのは、長年私に尽くしてきてくれた眼鏡の宰相であった。
「12歳で剣聖となったとか。シエル様ならばラッセン陛下の代わりも務まりましょう。」
どのみち皇太子としての資質に欠いたラウル殿下が出陣しても犬死するだけだと暗に言われ、返す言葉に詰まったことは今でもはっきり覚えている。
重苦しい空気が流れる中、戦場に出陣するよう促した私にシエルが告げたのは、ラウルとの婚約破棄ではなく白紙撤回だった。
相変わらず、眠そうな顔をしながら「私はもう限界なのですわ。」と目の下の隈を指さしつつ自分の置かれた現状を訴えるシエルに、今更ながらに弟夫婦の心ない仕打ちの数々を知り、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
何より、決して仲が良い兄弟ではないが兄である自分に似ただけで冷遇するとは何事だ。
その場でラウルとの婚約白紙が決まった。
シエルの覚悟は固く、もしかしたら他に好いた男がいるのではないか?とも思ったが、あえてその時は聞く事はなかった。
そして、シエルはトロイア砦をはじめとする要所へと皇族代表として出陣する事になったのだ。
一度戦場で怪我をしたと聞いた。だが発熱しながらも機転を利かせて、上手く窮地を乗り越えたと騎士団長から知らせが来た。
さすがに12歳で剣聖となった訳ではなかったのだろう。アルテミスの戦女神の名は国内にとどまらす、国外にも知れ渡っていった。
その一方で息子のラウルは、取り返しのつかない大馬鹿者に成長していった。
最近では明らかに私を避けている様子が見られる。片親としては心中複雑だが思春期なのだから当たり前の反応とも言えた。
怪我さえ治れば、すぐさま戦場に送り出すつもりでいたが、ふとある深夜に宰相の言葉を思い出した。
ラウルは皇太子の資質に欠いていると。
ならば、どうすれば良いというのか?
とっさにシエルの顔が浮かんだ。だが今結論を出すべきではない。
シエルには戦場から戻ったら、暫く休ませると約束していた。あの睡眠を欲してやまない姪は「1日20時間寝るわ」と妙に高いテンションで睡眠の素晴らしさを熱く語っていた。
弟よ・・・。どんな生活送らせてきた?
シエルの生い立ちを知れば知るほど腹が立って仕方ない。
どうせなら、レックスという跡取りがグランフィールド公爵家にはいることだし、ラウルとの縁組みが無理なら私の養女にしてしまおうか。
きっとガイウスとかいう黒騎士の青年を私の側近に引き抜けば、シエルも懐いているそうだし、何とかなるだろう。
プラチナブロンドの髪と性別さえ除けば自分ソックリのシエルが、何だかんだで私は可愛いのだ。
ラウルがシエルを断罪しようとしたとき、ようやく自らのとるべき道が分かった。
王妃よ・・・。不甲斐ない父親ですまない。
私はラウルを切り捨てる覚悟を決めた。
弟はグランフィールド公爵家から新たな女皇王がでると喜んだが、レックスを切り捨てる事には難色を示した。
想定内だったため、今まで調べさせた数々のシエルに対する仕打ちを問い詰めると、あっさり手の平をかえした。
アルテミスの戦女神と呼ばれるまでになった実の娘を冷遇していたと知れれば、軍からの非難は避けられないだろうな?と釘をさしたことも大きかろう。
あの子は実力でグランフィールド公爵家から出ることに成功したのだ。
だが私はシエルに嘘をついた。あの子は休みたがっていた。きっとあの華奢な身体に不似合いな大きな羽の休める場所が正確にはシエルは欲しかったのだ。
自由を与えると言ったのに・・・。
なのに自分は皇太女として、次代のアルテミス女皇王としての道を歩ませることとなる。
まるで籠の鳥のようだ。
ならば、せめてもの償いとしてシエルには最愛と思える伴侶を与えようではないか。
シエルの視線の先を辿れば、赤毛の男が嫌でも目に入る。こんな男が息子だったなら、どんなにかよかっただろう。
好いた女のために難関の王宮官吏職の試験に最年少で合格して、さらには戦場までついて行くとかあり得んだろう・・・。
いや、もう今日から義理の息子になるわけか。
幸せそうなシエルの花嫁姿を前に、どうしてか死んでいったラウルの姿が重なる。
ラウルとシエル。私の可愛い子ども達。
願わくば2人の結婚式を見てみたかった。孫を抱いてみたかった。
それが叶わなかったからこそ、私はシエルの為に神に祈ろう。
「末永く幸せに。」
そのラッセン陛下の呟いた言葉を聞く者は神以外いなかった。
シエル皇太女とガイウスが婚姻を結んだ姿を見届けて、政からも身を引いて数年後のこと。
アルテミス皇国国王ラッセンは静かに病で息を引き取ることとなる。
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