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妖精から魔法少女へ

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恵比寿の美咲さんの部屋へ帰った日の余韻は私の中に色濃く残ってしまった。
美咲さんは「禁欲」と解釈していたけれど、特にそれを意識したわけではなく、ただ単に数日間そういう気になれなかったというだけの事だった。

生理でもないのに、いや生理であろうとなくならない欲求なだけに、私にとっては珍しい事である。
本来そういう事へ逃げ込む場合もあるけど、今回はそれこそ、そういう事によって美咲さんとギクシャクしてしまった感があるだけに、逃げ場としての自慰という風には思えなかった。

数日帰らなかったのも、何かを思ってという訳ではなく、どうしたら良いか考えているうちにだらだらとそうなってしまったというだけの事である。
以前と違い自分の中に焦りがなくなったからか、その数日間さえも、美咲さんの動向が気になって仕方ないという事もなかった。

いっそ何事かあってもらっても構わないというか、その方が自分にとっては免罪符になる気さえしていたと思う。

そんな事もあって、しかもあの部屋に戻った瞬間はやっぱり私たちはギクシャクしていて、およそそういう雰囲気ではないように思っていたけれど、やっぱり美咲さんを前にするとあれこれと身体に刻まれた記憶は蘇ってきて、条件反射のように自分の内側が熱くなるのを感じていた。

それに、余裕のつもりでいても、美咲さんの身体にはどうも何事かあった気配を感じてしまって、それはそれで仕方ないながらも悔しい気もしたりして、そんな事も影響していたかもしれない。

ただ美咲さん本人はちょっと疲れているような風に見えたから、申告通り「普通に寝る」というのが一番良い、と私も思っていたのだ。

でも実際は、その数日間のブランクを取り戻すかのように美咲さんに身体を求められて、その時間の半分以上は記憶も怪しいぐらいである。
美咲さんの中に、あんなにも強烈な欲望が潜んでいたなんて考えもしなかった。
本当に、男性に求められるかのように荒々しくされたけど、全然嫌ではなくてむしろ私は満たされていくように思った。

「あれ」は無機物だから萎えるという事はない。
美咲さんがしたいと思えば理論上永久に行為は可能である。
そういう感覚は、男性との時には感じる事のない不思議なものだ。

私はいつも、その時間がもう終わってしまうかもしれない、という時少し寂しい気持ちになる。
そりゃ毎回のように意識を失うほどまでなんて現実的ではないし、簡単にそうなれるわけでもない。時間がかかるのだ。
それでも美咲さんは私の身体のあらゆるポイントを理解していて、それでいて手軽にそこを刺激して切り上げるなんて事もしない。

自分の「底」を知るような交わりは結果として、その底を更に深くしてしまうような気がする。
一度経験した「底」は、次に同じ深度に至っても「底」ではなくなっているように思えてならない。

あの日の美咲さんとの交わりは正に「底」を突き抜けさせられるような、私個人にとっては滅多に経験し得ないものだったから、身体に蓄積した疲労や秘部のひりつきも含め、とにかく忘れられないものとなった。

印象に残っているのは、美咲さんにやたらと謝られた事と、それからやっぱり「あれ」で突きまくられて他の事はあまりされなかったという事だ。

その最中は痛みなんて感じなかった。ただひたすらに、ものすごく気持ち良くて、快感の波に身を任せている事しかできなかったし、ずっとそうしていたいぐらいだった。
自分から美咲さんに何かをしてあげたいとか、そんな事さえも忘れてしまうぐらいに。

…私は自分の性欲の強さを認めつつ恥じていたけれど、ただひたすらにそれをぶつけられるような行為をされたにも関わらず、嬉しいと思っている。
ある所を超えてしまうと、きっとそういう欲望は情熱のように錯覚されてしまうのかもしれない。

少なくとも私はそうだったし、だから美咲さんにもっと自分の恥ずかしい部分を晒して良いんだと思った。
満たされているつもりだったけど、やっぱりまだどこかで遠慮したり恐縮していた自分に気付く事ができた。

私があの日味わった充足感を美咲さんと共有したい、あの時私がどれだけ感動したか美咲さんにも同じように感じて欲しい。
そんな事を思うあまり、私はあらぬ方向の思い付きでまたやらかしてしまったのだけど、それは大した事にならずに済んだ。

以前美咲さんにリモコンローターで悪戯されたのを酷く恥ずかしく思って嫌がったりしたけれど、もはや今の私はそのようには思わない。
早く、この感覚が薄れてしまわないうちに何とかしようと思って、バラエティショップに赴き過激なデザインのショーツを購入したのだ。

いわゆるTバックぐらいなら、洋服に合わせて普通に身に着ける事はある。
そのショップには、例えばクロッチ部分がスリットのように割れていてショーツを履いたまま秘部を弄れるようなものがあったり、形状がショーツではなくサスペンダーのようになっていて、クロッチ部分から出ている紐を肩にかけて着用するデザインのものがあったり、シースルー素材でかつ股間に食い込むようなデザインのものなど、一口にセクシー下着と言っても様々なものがあった。

特に私の目を引いたのは、ショーツに縦一直線にゴム紐のようなものが通してあって、そこに丸い形の、パール粒のようなビーズがいくつも連ねてあるものがありそれで一ジャンルを成しているのだが、着けている本人も気持ち良くなってしまう、という趣旨に興味を惹かれた。

そのパールビーズの大きさも、大粒のものや小粒のもの、両方が混在しているもの、前から後ろまでびっしりと連なっているものなど色々あったし、更に言えばパールビーズだけで作られていて一切クロッチのないデザインもあれば、見た目普通のショーツなのに内側にパールビーズが並べられているもの、その中間のようなものなど色々だった。

「人気です」というタグの付いた商品を手に取ってみると、短いスカート状のふわふわした布が腰の周りを一周するような所に、潔く前から後ろにゴム紐一本と、そこに大粒のパールビーズ2粒、更にその前後に小粒のビーズが3つずつ連ねられていて、ビーズ自体は自由に位置を動かせるようになっている。

スカート生地は白く薄いシフォンのような素材で手触りが良い。まるでウェディングベールのようだ。
でもお尻の半分くらいしか隠れないから、ビーズが当たっている股間は前からでも丸見えになってしまうデザインで、すごくエッチだなと思った。

ビーズも色分けされていて、中央の大きな粒は黒、前後の小さな粒は純白というバランスだった。
清楚なスカート風のショーツなのに、このビーズが付いているだけで何だか全てが卑猥さを演出するもののように見えて仕方ない。
でも全体的には可愛いと思えたから、私はそれを購入した。

その、超セクシーなパールショーツを美咲さんには黙って履いて、どこかのタイミングで打ち明け驚かせようと思ったのだけれど、あろう事か想定以上にビーズが私の花弁に埋まったり表側から萌芽に擦れたりする感覚で身体が発情してしまい、そうなってから替えのショーツを持参していなかった事に気付いて倒れそうになったのだ。

トイレで真帆さんに介抱されたけれども、何故そうなっているのか知らせるのにはかなり躊躇した。
状況を言葉で説明するのもしのびなくて、真帆さんと個室に入り制服のスカートをめくってその内側を見せて、もうそれだけで理解できる状況だろうけど…私はぐちゃぐちゃに溢れた蜜と秘部もろとも、そんな下着を身に着けている事を真帆さんに晒してしまったのだ。

「どうしたの?これ」と真帆さんは探るように問いかけてくるが、私はただ「言えなかったんです」としか答えられなかった。
でも真帆さんはそれで大部分を察したらしく「鍵かけて待ってて、適任を呼んで来る」と言い残してトイレを後にした。

運の悪い事に、廊下で真帆さんは袴田部長と遭遇したらしく、「あら袴田部長」という声にぎくりとする。
…私たちの声が漏れて聞こえてしまっていなかったろうか。
私はとりあえずショーツを少し下ろして食い込むビーズを秘部から離して、改めて音がしないようにトイレの鍵を確かめた。

真帆さんを信じて待っていると、明らかに小走りで廊下を走る足音が聞こえてきて、あっという間に私の入っている個室のドアがノックされる。
息を潜めていると、「冴子?」と小さく呼ぶ美咲さんの声がした。

それで、いつぞやかのビュッフェレストランでの話ではないけど、でもあれとほとんど同じような場面をまた作ってしまったなと思いながら、そっと扉を開けて美咲さんを中に通した。
美咲さんは後ろ手で鍵をかけてから小声で「大丈夫?」と尋ねてくる。

真帆さんからどこまで事情を聞いているのかわからず、私はぼんやりと美咲さんの顔を見上げた。
多分、自浄はともかく私が何に困っているのかぐらいはわかってくれるだろうと期待して。

考えてみれば、ノーパン覚悟でこれを脱いでしまうか、もしくはコンビニにでも行って替えのショーツを買って来れば良いだけの事だったのに。
その余裕がなくなるまで耐えてしまった。
…と言うより、気付いたら割と無理になっていたのだ。

美咲さんは一瞬いぶかるような表情を見せる。
また秘書課の誰かにちょっかいを出されたのではないかと疑っているのかもしれない。

美咲さんが入ってくるまで座っていた私だが、個室に二人となればそのままではいられず今は立ち上がっている。
緩めたはずのパールビーズが再び秘部に当たり、じっとしていても大粒の黒いビーズは花弁の中心に潜り込もうとしていた。

「……っ」

目をそらして斜め下を向いてしまう。
私が腰の辺りに手をやったのを認めて美咲さんは異変に気付いたようだった。

「ただ、ここへ行けって言われて慌てて来たのよ」
「……実はその」
「?」

私はおずおずと、真帆さんにした時よりずっとのろい手付でスカートの前側をめくって見せる。
美咲さんは驚いたけど、「家から履いてたの?」とだけ聞いてきて、私はただ頷いた。

「お、驚かせようと思って…でも」
「感じ過ぎちゃったって事?」
「はい」

美咲さんがほっと息を吐く。
呆れているのか、ほっとしたのかどちらかわからない。両方かもしれなかった。

「急がせる割に夏川さん、笑ってたのよね」
「それは…その」

極力ひそひそと、声を殺して会話する。

「時間は?」
「特筆すべき予定は…ありません」
「じゃ一回イカせてあげるから」
「…え」

でも、された事はただ単に指でその場所を弄られるだけ。
パールビーズの上から軽く萌芽を押し潰されたり、わざと大粒のビーズを2個とも花弁の内側に押し込んだりされた。
声が大きくならないよう、私は一生懸命自分の指を噛んで喘ぎ声をこらえる。
「それだと痛いし跡が付く」と美咲さんに言われて、私の指は根本まで口の中に押し込まれた。
拳を噛んでいるような状態になり息苦しくなってくる。

「…でも、気持ちいいんでしょ?」

私は閉じていた目を開いて美咲さんを見た。
気が付くとパールビーズだけでなく美咲さんの指も、私の秘部に挿入されている。
秘部に挿入されていない残りの指が自然と外側の小さなビーズを押さえる形となり、自分がこぼした蜜が潤滑剤となってそれらの粒をころころと転がされた。

「…くふっ、ふぅ…んっ」
「…イキそう?」

言われてまた、私は自分が目を閉じていた事に気付いてもう一度美咲さんを見る。
美咲さんは身体を屈めて私の顔の傍まで顔を近づけていた。

美咲さんの身体が揺れていて、指の出し入れをしているのが美咲さんなんだと視覚からも思い知らされる。

「手、外して」

美咲さんの、挿入していない方の手は私の腰を押さえてトイレの壁に押し付けている。
私の身体を固定させて、倒れたりしないようにしてくれていた。

言われるままに、息を止めながら自分の口に当てていた手を離すと、すかさずキスされる。
それこそ、声が我慢できなくなるかと思ったけど、美咲さんはわざと強く唇を押し付けながら私の舌全体に密着させるように舌を絡めて来た。

…ほんの数日前あれだけ激しく貫かれた余韻の残る身体では、そんな事だけでも意識が吹っ飛びそうになる。
どうにか、意識を繋ぎ止めようと私は頑張って目を開きここが会社のトイレなんだという事を忘れないように気を散らした。

それでももう、一分とたたず果てを見るだろうと予感している。
…まずい、蜜ではないものまで溢れ出る、そう思った時にはもう遅かった。

「……」

トイレの床に、ビシャッという音がするほど私は何か液体を放出してしまった。
その音で急激に意識と感覚が引き戻されて、私の顔は青くなっていたのではないかと思う。

「ごめんなさい何か…出ちゃった…」
「ううん」

こんな粗相をしている私に恐ろしく優しいキスをくれる美咲さんに、今度は涙が出そうになった。
そんな、包まれるような優しいキスと抱擁に私の身体は一気に弛緩して、もう一度何かの液体が溢れて床にビシャッという音を立てた。

…失禁したのかもしれない、でも確かめる勇気もない。
しばらく美咲さんは私の身体を抱きしめて、ついばむようなキスを繰り返してくれていた。
徐々に私が落ち着いてくると、そっと身体を離していく。

「泣くのは顔が腫れるから我慢しないとダメよ」
「は、はい…」
「漏らすのは別に構わないけどね」
「……」

恥ずかしいけど、下を向いてしまうと正にその光景が目に入ってしまうから、私はうつむく事もできなかった。
とりあえず自分の股間まわりをペーパーで拭こうとすると、美咲さんはデリケートゾーン専用の拭き取りシートを貸してくれた。
私も、生理の前後などにはよく使っている。

「…あと3時間くらいだから、ノーパンで過ごすかどこかで買ってくるかして、しのぎなさい」
「…はい」
「できれば買って来てあげたいけど、予定が入ってるのよ」
「大丈夫です」
「床はそのままにして、汚れてたって言って掃除してもらうようにするから」
「すみません」
「ごめんね、もう行かないと」
「後は大丈夫です、行ってください」
「うん」

美咲さんは洗面所で手を洗い少し口紅を直してトイレを後にしたようだった。
私は一人残った個室で、脱いだビーズショーツをハンカチに包んだ。
一つ深く呼吸をすると、「冴子ちゃん?」と真帆さんの声が聞こえてくる。

…戻ってきたのだろうか。いや、美咲さんが廊下に出て来るのを待っていたのかもしれない。

「もう、大丈夫です」
「ほんと?一応、急いで替えのものを買って持って来たけど」
「本当ですか?」
「少しだけ扉を開けてくれる?渡すから」
「…はい、何から何まで申し訳ございません」
「いいのよ♪」

少しだけドアを開いて真帆さんから品物を受け取る。
…さっきの「いいのよ」は、ただ単に気にするなという意味合いよりも、私の弱みを握ったぞという含みもあるように感じてしまったのは気の所為だろうか。

ショーツを履き替えてようやく個室を出ると、真帆さんはまだ近くにいた。
ぼんやりとそれを見ながら手を洗っていると、「顔が、ほら」と指摘される。

言われてようやく鏡を見ると、顔どころか髪まで何だかおかしな事になっていた。
美咲さんにも真帆さんにも髪は触られていないはずだけど、多分自分で高等部を壁に押し付けていたのだろう。
とりあえずはみ出した口紅は拭き取って、髪もおかしくない程度に直す。

「あとね、袴田部長が『手が空いたら来い』って」
「はい…すぐに行きます」
「まだちょっと待って」
「え?」
「冴子ちゃん、表情に出やすいから」
「……」

それでわざわざ私が出てくるのを待っていたのか。
袴田部長…さっきトイレの前に居たから何か不穏さを感じているかもしれない。
その事は確かめるまでもなく真帆さんも思っているだろう。

真帆さんの「大丈夫」をもらうまで、少しトイレで時間を潰した。
多少袴田部長を待たせても、そうした方がいいと私も思った。

「あの、真帆さん…この事は」
「勿論口外しないわよ」

でも、顔が笑っているから、ちょっと信用できない気がする。
私が何とも言えない表情をしていると、真帆さんは「やっぱり訂正するわ」と言い直した。

「亜里沙にだけは、喋っちゃうかも…」

それはつまり、二人だけの秘密の会話の中でネタにされるという事か。
もうそれぐらいは仕方ないと思って私は「いいですよ」と答えた。

「それにしてもアレ……どこで買ったの?ネットショップかな」

何だ。アイテムそのものに興味があったのか。
私はバラエティショップの店名と場所を伝えた。

「じゃ今度行ってみようかな」
「是非」

冗談っぽく返したつもりだが、そう伝わっているだろうか。

「冴子ちゃん、一人で行ったの?…勇気あるなあ」
「それは…まあ」

激しい交わりの余韻が強すぎて、美咲さんへのアピールを焦ったからという理由は言えない。

「あの、あと…床を」
「うんうん、すれ違いざまにちらっと聞いて頼まれたから、大丈夫」

美咲さんと真帆さんは役職者と秘書という関係性とは言え、どれだけ連携の良さを発揮しているのかと感嘆する。

「そんなに恥ずかしがる事ないんだからね、私だって、その…最中に漏らしちゃう事あるし」
「…えっ!?」

それってそんなにみんな普通にしている事なのだろうか。正直驚きだ。

「大人だって怖い夢とか見て漏らす事だってあるじゃない?」
「それはそうかもしれないですけど…」

そういうのと、性的な快感に伴って漏らすのは違う気がするのだが。

「あ、あとどうでもいい情報だけど、それを、好きな人に見られるのってちょっと興奮するんだなって最近わかっちゃった♪」
「……」

そんな楽しそうに言われてしまうと私が未熟者のような気がするので、常識的にどうかという話題はばかばかしくなってくる。

「もう行きましょう」
「はい」

私は丸めたハンカチをポケットに押し込んで、真帆さんと一緒に一度秘書課に戻り、改めて身だしなみを整えてから袴田部長のもとへと向かった。

*-*-*-*-*-

その日の夜は勿論、美咲さんにこの件をたっぷり弄られた。
私がこれを履くに至った経緯から、パールショーツの入手方法に至るまでひとしきり喋らされて、「それなら二人で行けば良かったのに」とまで言われてしまった。

…美咲さんとそんな所へ行くなんて、恥ずかし過ぎる。
まだ自分一人の方がはるかにましだ。
それなのに美咲さんは、私が一人でそういう店へ行った事を水臭いと言って注意してきた。
…配慮が配慮として、と言うかなかなか気持ちを理解してもらうのは難しい。

だけど、一時のギクシャク感はすっかりなくなって、その夜も美咲さんは--あの夜ほどじゃないけど、余らせたのかと思うぐらいの欲望をぶつけて来てくれた。

私が変な事をして煽るのが良くないのだ、などと言いながらも、昼間のうちから溜め込んだと思われる欲望は熱く激しかった。

昼間失禁した事さえも美咲さんの興奮のスパイスになっているのか、また執拗に蜜穴の奥深くを掻き回され、穿たれ、萌芽もめちゃくちゃにこね回され擦られた。

私は昼間できなかった分もまとめて吐き出すように、いつも以上に大きく喘いで美咲さんの欲望を受け止め、また美咲さんの欲望をもっと欲しいと思ってそれを求めた。

「これ以上煽らないでよ」と困ったように言われたけど、私にはどうにもできない。

「…どうして煽るといけないんですか」
「……」

美咲さんは返事の代わりに軽く舌打ちして、私を黙らせるぐらいに激しく貫いてくる。
私はそれ以上何も言えなくなってしまって、また美咲さんのされるがままに身体を預けた。

…あの数日間のブランクを経ただけなのに、私たちは以前よりもずっと激しい交わりを繰り返すようになった。
勿論これに飽きたら、また貝合わせや舐め合う事もするだろうけど。

とりあえず今は、あの数日分…はもう取り戻すぐらいしてしまったけど、お互いとにかく性急に交わる事ばかり求めてしまっている。

美咲さんも、こういう風に毎日のように私と交わっている方が、コンディションが良さそうに見えた。
少なくとも私が数日ぶりにここへ戻った時に比べても、肌の感じなんかは良くなっている気がする。
だから多少無理したって、痛くなったって、私はいくらでも美咲さんの欲望の受け皿になるのだと決めている。
こちらから止める事なんて、絶対するものかと思っている。

その翌日。
仕事が引けて社のエントランスを出ると、見覚えのある人物に遭遇した。

「冴子さん」
「…晴香ちゃん?」
「冴子さんを待ってたんです」

何の予告も連絡もなかったから私はびっくりする。
何より、晴香ちゃんの髪型に私は驚いた。

「それ……」
「あ、似合ってないですか?」
「ううん、すごく可愛い」
「良かった」

晴香ちゃんの、あの特徴のあるサラサラの長い銀髪は、今は耳の下あたりで短く切り揃えられている。
軽く内側にカールさせているから、何かのアニメに出てくる魔法少女のようだと思った。

「怒らないで、なんか…妖精が魔法少女になった感じ」
「…みんなそれ言うんですよね」

気を悪くさせたろうか。慌てて「ごめんね」と言うけど、晴香ちゃんは顔を赤くしながら「いいんです」と言った。

…そうだ、この娘は数少ない、私を本気で思ってくれている娘なのだ。
きっと、私の「可愛い」という言葉に緊張しているのだなと思った。

「それで、どうしたの?」
「その、なんか今更なんですが、冴子さんだけでなく…その、あの方に謝ろうと思って来ました」
「…え?そんなの、いいよ」
「良くありません、…私も一度はそう思いましたが、やはりじっくり考えて、きちんと姿を見せて謝らなければと思いました」

変に真面目で意固地な所は晴香ちゃんらしい。
どうせ、断っても引き下がるつもりはないだろう。
きっと、美咲さんが出てくるまでここで待つつもりなのだと思った。

「あ、でもお姉ちゃんに見つかるとその…」
「…だよね」

私が受付勤務の頃同期で、いつも一緒に過ごしていた佐藤友紀は、晴香ちゃんの実姉である。
私が秘書課へ異動した後、友紀は営業部へ異動した。
多分毎日遅く帰っているだろうけど、とても律儀で几帳面な所があるから、晴香ちゃんに対しても厳しく接しているらしい。
私はそんな晴香ちゃんから友紀への愚痴を聞く事も多かった。

晴香ちゃんが謝りたいと言っているのは、私と美咲さんの間に誤解らしきものと亀裂らしきものを生むきっかけとなった、あの自撮りオナニー動画の事を言っているのだろう。

別に晴香ちゃんがした事に何か罪があるわけじゃない。
晴香ちゃんが悪いのなら私だって悪い。

「…ちょっと、いつ頃終わるのか、聞いてみるね」

私はスマホを取り出して美咲さんにメッセージを送った。
少し待ったけど、返事がなくこれは時間がかかるかもなと思った時に短い返信があり、もうじき上がるとの事だった。

「じゃあ、このまま待っていて良いでしょうか」
「まあ、…うん」

何と返事すれば良いのかわからず、口ごもってしまう。
晴香ちゃんの方は何か覚悟でも決めているらしく、実に落ち着いた様子だ。
髪型が魔法少女になったからなのか?と全く関係ない事を考えていると、美咲さんがエントランスに姿を現した。

そしてすぐに私たち二人を見つけると、すたすたとこちらに向かってくる。
晴香ちゃんは美咲さんから目をそらさずに、しかも自らも歩を進めて美咲さんの前に立ち、頭を下げた。

「…謝りに来ました、ごめんなさいっ」
「……」

美咲さんは思わず周囲に目を走らせる。
誰かに目撃されないかを気にしているのだとわかった。

頭を上げようとしない晴香ちゃんに、私はそっと声をかけて姿勢を戻させる。
顔を上げた晴香ちゃんは真っすぐに美咲さんを見つめている。
美咲さんも、それからは晴香ちゃんから目をそらさなかった。

「ご迷惑を…おかけしましたよね?」

晴香ちゃんが尋ねると、美咲さんは「まあ、そうかもね」と笑顔で答える。

「私が勝手にした事とは言え、その…冴子さんの気を引こうとしているのは確かですし、でも結果的に冴子さんにも迷惑をかけてしまいました」
「…冴子には謝ったの?」
「いえまだ…」
「…そう」

「私は別にいいから」
「冴子さん、ごめんなさいっ」

今度は頭を下げっぱなしにはしなかったけど、やはり晴香ちゃんは謝罪してきた。
…でも、それだけのためにここまで来たのだろうか。なんとなく腑に落ちない。

「…冴子、言ったよね?覚えてる?」
「…何でしたか」
「まあ、とりあえず移動しましょうか」

美咲さんはタクシーを拾って、なんと晴香ちゃんも同行したまま恵比寿の自宅へ帰ろうとしている。
私が「えっ」と思っても、どうとも尋ねようがない。
それになぜか晴香ちゃんも、そうなる事が当然であるかのように動揺している様子はなかった。

…何か、私だけが事態を理解できていないのだろうか。
晴香ちゃんの言う「謝罪」の意味合いが、この二人の間では通じているようなんだけど。
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