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降り注ぐ愉悦(美咲SIDE)

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「来週の月曜日に帰ります」

…今時、書き置きとは。驚いた。
でもそれ以上に、あまりにもあっさりと、冴子が居なくなった事にも驚いている。
反面、こういう事はまあこれからも時折あるのかもしれないとも思っている。

…ご丁寧な事に、冴子は会社も休んで、本当に私の前から消えたのだ。
今日が水曜日だから、つごう6日間、居ないという事になる。
私は、冴子に電話したり、メッセージを送るという事はかえって野暮な気がして、どうにも手を動かせないでいる。

「梨々香が一緒なの」
「は?」

いざ出勤してみて冴子が来ない事を知った私は、執務室でしばらく呆然としていた。
そこへ容子がやって来て、開口一番告げたのがそれなのである。

「って言うか…冴子が来ないの、知ってた訳ね」
「美咲さんの、上役だから…一応ね」
「……」
「悔しそうな顔、しちゃって」

顔に出たのは不本意だが仕方ない。

「さすがに冴子ちゃんの替わりとまではいかないだろうけど、総務の子二人に声をかけたから、貴女のサポートは要所要所になっちゃうけど、勘弁してね」
「わかった…」

それよりも。
冴子とあの梨々香というメイドが一緒とは、どういう事か。

「美咲さんったら全然気づいてなかったの?梨々香の事」
「……そんなには、変だと思わなかったけど」
「あら、結構鈍感なんだ…美咲さん」
「……」

今度は悔しさが表情に出ないよう一応努力した。

「もったいぶるのは私の性分じゃないし、一通り話し手おくけど…冴子ちゃん、家出中でしょ?梨々香がそんな冴子ちゃんを一人にしておけないからって、傍について回ってるのよ」
「ちょっと、貴女はそれで平気なの?」
「…別に?って言うか美咲さん、冴子ちゃんに連絡してないんでしょ?」
「……」
「怖いの?」
「…まさか」

正直言えば、怖い。
冴子が消えた理由はおおよそ想像がつくけれど。
多分、私に顔向けできない事があって、一時的に本当に顔を合わせないという判断をしたのだろう。理由があるならそれは間違いなく、冴子が誰かの身体を求めたという事だ。

「冴子が居なくなったのは別に今回が初めてじゃないし」
「…困った娘ね、まったく」

それは事実なのに、容子に言われると微妙に腹立たしい。
そこで自分の面倒くささにも腹が立った。

「まあ…梨々香がいる限り、全然連絡が取れない訳じゃないし、目立った事があれば貴女にも共有するから」
「…ありがとう」

そして同時に自分は不器用なのだなと改めて思った。

「梨々香は冴子ちゃんが嫌がるような事はしないはずだから、そこも安心してもらって良いわ」
「……」

そういう、聞き分けのいい娘だからこそ冴子にとっては問題なのだ。

「あ、そうそう…だから来週の月曜日まで、梨々香をそちらのお部屋には行かせられなくなったから」
「…そうね、わかった、と言うか…かえってお世話されてるみたいだし、悪いわね」
「…悪いと思うなら……」

容子が控えめに、でもにやりと笑う。
トレードマークであるタイトな黒のロングワンピースの裾がひらりと揺れて、容子がこちらに一歩近づいた。
…いつも思うけど、多分彼女は髪の色は生来のままなんだろうが、服の色との比較でほんの少し髪は明るい色に見え、肌も白く見える。
身長に対しては小ぶりの頭に、そんな髪が肩口までの長さで切りそろえられており、自身の鎖骨にかかったりかからなかったりして、いわゆる鎖骨チラ見せ状態がいつもの容子のスタイルだ。
大きな瞳はまるで少女のように好奇心に輝きくるくると表情を変える。それが、肌艶とも相まって彼女を恐ろしく若々しく見せているのだ。

「何、冴子をちゃんと捕まえておけって事?」
「違うわよ」
「じゃあ、何」
「……愛美までそっちに行かせる訳にはいかないんだから、週末だけでもうちに来たら?美咲さんどう見ても、その身体で家の事なんてできないでしょうから」
「……考えとく」
「こういう時は、甘えておくものよ♪」

何だろ、この余裕。
養女とは言え、彼女の娘もまた家出同然に帰らないはずなのに。

「……あの年頃だもの、無茶な経験の一つや二つ、あって当たり前だと思わない?」
「そう…かもね」
「美咲さんは、してなさそうね、そういうの」

貴女は現在も継続中って所なんでしょと言いかけて言葉を飲み込んだ。
容子の寛容さに、多分私は嫉妬している。ましてやあの、二宮冴子と真面目に付き合う上で、その覚悟は必須スキルと言っても良いものなのに、私はそれを持ち合わせていないから。
私なんかよりも、容子の方がよほどわかっているのだろう。素直にそこは認めるしかなかった。

仕事をしていて過剰とも言えるほど思考しストレスを蓄積して、いわゆる脳疲労がピークに達した状態で、冴子と身体を重ねる事には--勿論悦びもなかった訳ではないが、正直な所しんどいと思う日もあった。
冴子が消えたタイミングからして、いかにもそれを見透かされていたような気さえして、だから怖いと思う。

*-*-*-*-*-

「すみません、資料お待たせしました!専務」
「いいのいいの、急ぎではないし」
「あ、ありがとうございます!」

資料を頼んでいるのはこちらなのだから、御礼を言うべきは私なのだ。
なのに何故だか会話の最後は、秘書替わりの総務社員の「ありがとうございます」で締めくくられている。

容子は、従業員皆に自身を「容子社長」と呼ばせる事を徹底しているが、私は特にそういう事はしていない。
だからなんとなく私は単に「専務」と役職名で呼ばれているし、特にそれに違和感は覚えていない。

でも…何だ、これは。
秘書替わりの二人の社員の態度がおかしい気がするし、それ以外の従業員の様子も普段とどこか違う気がしてならないのだ。
例えるなら…そうだ、冴子にエステの施術をプレゼントされた時の状況に近いように思う。

私が自分でコーヒーを注ぎに行こうとすればカップを奪われるように持ち去られ、打ち合わせに向けて資料の束を持って歩けばそれもまた奪い取られ、果てはノートパソコンでさえも誰とも知らず「お持ちします」などと、たかだか会議室への移動にすぎないのにも関わらず、いちいち誰かが出てきて世話を焼こうとするのだ。
そうかと思えば先ほどカップを奪っていった社員が執務室に現れたかと思うとガチガチに緊張した様子で、「ど、どうぞ」などとコーヒーを供するまではまだ良いとして、私がそれに口を付けて不通にカップを置くまで、異様に凝視されるのだ。それはどうやらコーヒーが不味いと言われたらどうしようという不安の表れのようであったが。

ほっとした様子で執務室を出ようとするその娘を呼び止めると、「はいっ」と飛び跳ねるぐらいの勢いで振り返られた。
極力、怖がらせないようにと思い私は席から立ってその娘と少し距離を取りつつ尋ねる。

「ちょっと、聞きたいんだけど…何かみんな、私にびびってるとかそういう感じ?…なのかな」
「ち、違います…!」

では何故か、という疑問が顔に出たらしく、彼女は「皆、専務に憧れているから…だと思います」と、他人事のように応える。
怖がられていなかった事に安堵したものの、それがどうして、冴子のいるいないでこうも様子が変わるのかが謎だった。

「…あの、ご存知ないですか?専務は」
「…何?」
「二宮さんの事、みんな…羨ましいって思ってるけど、でも秘書業務自体、誰も二宮さん以上にはできないよねって、そう思ってるし、言ってるんです」
「……」
「二宮さんがお休みで、みんな自分が代わりをやりたいと思ってたけど、同じようにできないだろうなって、そういう事なんじゃないかと」
「そっか、ありがとう、教えてくれて」
「でも…今日データフォルダへのアクセス権も一時的に付与していただきましたけど、二宮さんはやっぱり凄くきっちりされていて…何の迷いもなく資料も探せましたし、やっぱりさすがです。私の手が遅くってご迷惑おかけしてしまいましたけど」
「ううん、大丈夫だから」
「……」

何かテンパっているからなのだろうけど、優しい言葉をかけられた彼女は瞳をうるうるさせて泣き出しそうな勢いである。

「…そんな顔しないで、こっちが焦るから」
「すみませんっ」

私はほんの少しだけど可笑しくなり、思わず声には出さずに笑ってしまった。
…前の勤務先でも、何だか似たような事があった気がするから。

でも冴子と一緒にここへ移って来て、そういう視線や態度に晒される機会はめっきり減ったのだと思う。
そしてそういう空気を私が好まずやりにくさを感じるタイプなのだとわかっている冴子が、それを遮断、もしくは緩和してくれていたのだろう。

それでもこういう空気に直に触れた時、冴子は何か嫌な気持ちになっていたのだろうか。それともむしろ、彼女らに共感しつつも、気苦労を感じていただろうか。

「そんな事の一つや二つ」は、冴子のような娘になら尚更、あっておかしくないしなければ不自然なのかもしれないと思い始める。

今の私が言える立場ではないかもしれないが、冴子はストレスコントロールが上手い方ではない。比較的安直に、人肌を求めてしまうのはそれの現れだとも思う。
でも別に、冴子のそういう部分をむやみに矯正するのは良い事ではないと私は思っていた。自分の感情は別として。

毎度の事だが、冴子は自分の容姿が人並み外れて優れているからこそなのか、自分とは違うタイプの、優れた容姿を持つ娘に弱いしそういう娘にやたらと興味を持たれやすい。
そういう者同士、どこかに通じる要素があって、半ば一目惚れされた結果自分も急速に惹かれてしまうのだろうか。そこの過程までは理解しきれていないのだが。

容子の場合は、誰彼構わず引き寄せる魔性にも似たものがあるのだろうけど、冴子の場合はストライクゾーンが狭くて深い気がする。
惹かれ合ってから、後戻りできない所まで進展するのにおそらく数日とかからないのではないか。それは私がそうだったから、と言う事だけが理由なのだが。

この所の冴子はおそらく自制していたろうし、それは私への気遣いであったのだろう。
自然な姿ではない冴子に対して、それでも私は何も言えなかった。

…何だか色々な事に疲れを感じて、容子の申し出を頑なに断るのも大人げないような気がしてくる。
何よりも、情けないが冴子の居ない部屋に帰って、平常心を保てるかどうか自信がなかった。

オフィス全体の空気はどこか浮ついているのに、それに反して私のテンションは微妙に下がっていく。
冴子はおそらく、宣言通り数日で戻るのだろうが、私はどんな顔をして冴子を迎えれば良いのだろうか。

*-*-*-*-*-

「あ…っ、ん」

冴子と梨々香が今頃どこで何をしているのかは知らないが、それを考えると果てしなく落ち込むような気がして、仕事が引けると私は容子の屋敷へと向かった。
一旦自宅に戻り着替えだけを持って、車で屋敷に到着すると、すぐに夕食が供されお風呂も貸してもらえた。
どうせサンプルなどが有り余っているだろうと思いスキンケアの類は持参しなかったが、それは予想の通りだった。

とにかく眠ってしまいたくて来客用の寝室--と言っても、それはものすごく広い部屋なのだが、環境が変わった所為なのか、冴子が居ない所為なのかなかなか眠れずにいた所へ、案の定と言うべきか、容子に襲われる事になった。
抵抗するのもばかばかしくなって、私はそれを受け入れる。むしろ積極的にそれを望んでいたかもしれない。

「美咲さん…私の事、ずるいと思ってる?」
「…そんなの、思ってない。ずるいのは多分私だから」
「そう…」

あえてなのか、容子は私の目線まで身体を移動させる事はせず、私の足元あたりでベッドの布団に潜り込んだまま私の身体をさすっている。

「でも…冴子ちゃんが自分から消えたんだから」
「…うん」
「…美咲さんの、エッチな喘ぎ声…聞きたくってしょうがないの」
「……」
「言われたでしょ?冴子ちゃんにも」
「…まあ、何度か」
「美咲さん、いっぱい聞かせて…」

続く言葉はなかったが、容子は「そのためなら、いくらでも弄ってあげる」とでも言わんばかりに、その顔を私の秘部に近づける。

ベッドサイドにある小さなスタンドライトの明かりだけが灯った室内はほとんど影に覆われているが、それでも容子からは私の表情や身体のラインは視認できているだろう。

秘部には唇が触れてくるのか、それとも指なのかと思っていたが、接触したのはそのどちらでもなく、おそらくは容子の唾液が、花弁の割れ目あたりに落ちた感触があり私は意外な刺激に硬直した。
それと同時に、布団に隠れて見えないのだが、容子の口から涎が垂れ落ちる絵面をまともに見せつけられずに済んだのはむしろ良かったかもしれない、などと考えている。もろに見せつけられたら卑猥すぎてこちらの顔が真っ赤になりそうだからだ。

「ん…」

容子は鼻を鳴らしながら私の秘唇に舌先を絡ませる。
控え目な水音に混じって聞こえる容子の息遣いの方がよほどいやらしい響きではないのかと思いながらも、こちらも呼吸が荒くなり、体温がどんどん上昇するように感じた。

「あ…っ、あぁ」

口淫をされてこうも切ない気分になる事はこれまでにあっただろうか。
舌先で花弁を軽く弄られているだけなのに、自分でもわかるくらいにどくどくと蜜がこぼれ出てしまうのだ。
しかし容子の口元もそれ以外の場所にもそれは溢れ出る事がない。つまり容子がそれらを掻きとり飲み下しているのだろう。
これでもかというほど淫蜜はどんどん量産されているのに、愛撫ではそれを一切感じさせない。まるでほんの少し前から口淫が始まったばかりのようにすら感じてしまい、何か終わりのない行為に突入している感覚に襲われた。

「容子さ…ぁん、あんっ、あ、あ…はぁ」

信じられない事だけど、膨れ上がった萌芽にも、ましてや敏感になりつつある乳首にさえ触られずして私は達してしまっている。

「あ、あ…っ、あぁ」

そんな自分のよがり声にじっと聴き耳を立てられているのかと思うと猛烈に恥ずかしいが、それでも声は抑えられない。
いちいち申告せずとも達した事は伝わっているのだろうと思い、私は何も伝えずただ与えられる愉悦に身を委ねた。

「…っ、あぁ」

イったはずなのに、やっぱりどこにも淫蜜がはみ出していない。先ほどと変わらず、まるで今さっき始めたばかりのような錯覚に陥ってしまう。

「あぁっ、あ、あ…ん」

容子の舌愛撫は実に静かだ。それに先ほどから特に奥まで侵入するでもなく、同じペースで花弁をチロチロと舌先で弄っているのは変わらない。
…それなのに、私はどうした事だろう。一人でどんどん高みへと駆け上がっていくように、何度も絶頂が止まらないのだ。

「あ……っ、また…あぁん」

自分の嬌声がどんどん甲高く、鋭く、そして大きくなっている事に気付いても、それをもう自制できる状況にはなかった。

「よ、容子さんっ…、まだ…するの…」
「何、言ってるの…これからでしょ」
「…あぁぁ、ん、はぁ…」

容子の声は普段に比べてずっと低く落ち着いているように聞こえた。
それは私が高い声で騒いでいるから相対的にそう感じただけとは言い切れないほどの差を感じる。

「…美咲さん、これだけで…何回もイっちゃってるの?」
「…わかってるんでしょ、それくらい…」
「わかるけど」

口を離すと、淫蜜が垂れ流しになりそうで不安になった。
延々と、私の恥ずかしい場所の粗相を、その口でなかった事にしてくれと願っている自分に気付く。

「こんなに…びしょびしょに濡らして、それですごいエッチな声出して喘いで…美咲さん」
「…っ」
「すっごく、いやらしい…私にそう思わせるぐらい、いやらしいのよ、貴女」
「……」

喜ぶべきなのか恥ずかしがるべきなのか、それとも怒るべきなのか。
でもこの場面においてそれは褒め言葉なのだろう。

「比べられるの、は…好きじゃないから」
「そうね、じゃ…冴子ちゃんが梨々香とどんな事してるのか、考えるのは悪趣味かしらね」
「……悪趣味でしょ」
「ふふ」

そこまで言って容子は再び口淫を再開した。やたらと長時間にわたり、無言でひたすら花弁をチロチロと舌先で弄るだけの愛撫である。

「それ、またするの…っあ、あ」
「だって、美咲さんこれ好きでしょ」
「ん、あんっ、あぁぁ…っ」

身体がもう何度も、ビクビクと痙攣しては弛緩するのを繰り返している。
容子の頭を両脚で強く挟み込んだりもしたけれど、その度に容子は両手を使ってそっと両脚を開かせる。
私はその度に、従順に脱力して容子の頭を開放するが、また時折力が入って太腿が閉じかけると、容子の手がそっとそれを制する。

いい加減力むのにも疲れてきて、しまいには全身から力が抜けていき、ますます容子の舌愛撫を敏感に一点のみで受け止めつつ、まさに観念したとでもいう心持で、容子の前に全てを晒す。

「あぁっ、いいっ…あ、く…あ、あんっ」

自分でも不規則にこぼれ出る矯正を制御できず、また途中からはその気も失せて、口元を隠す事もしなくなった。
聞きたいと言うのだから聞かせてやれば良いだろう、と開き直る。

「ねぇ…いつまで、するの…これ…っ、あ、あ…っ」
「そうね…やめろと言われるまでかしら」
「……」

容子を睨みたかったけど、もうそういう微妙な表情を作るのは無理な状態だった。
それに、事実気持ち良すぎてやめろと言える状況でもない。

「これだけ…焦らされちゃったら、まだ欲しいでしょ?美咲さん」
「あ、あ…ん、そう…」
「大丈夫、まだまだしてあげるから」
「お、お願い…もっと、して…」

今の私は文字通り、容子に翻弄されているのだが。
でも、別にどうでも良いという気になりつつある。
冴子と、梨々香が…今どうしているか、考えていない訳ではない。
だからこそ、こうして与えられる愉悦に沈み込んで、そんな事を思考できないぐらいに脳内をぐずぐずに溶かして欲しいと願う自分もいるのだ。つまり私は一方で、容子に感謝しているという事になる。

「じゃあ、美咲さん…ここ、弄るわよ」

いちいち宣言しなくて良い、と言いかけた所で、蓄積していた火種に起爆剤レベルの、いや落雷レベルの刺激が与えられ私は先ほどよりも深く長く絶頂する。気絶したかもしれないと思った。

明確に身体をびくつかせて、クリトリスで達する私の姿はばっちり容子に観察された。

「じゃ、これは?…」
「!」

容子の前歯が軽くその場所を引っかける。
一瞬にして、何もかもを暴かれたような気になり私は声も上げずに再び身体を痙攣させた。

「…本当にやばいぐらい感じると、声が出ないのね、美咲さん」
「…知らないよ、そんなの」
「…」

思わずタメ口になったが構っていられない。
それはそれで新鮮だったのか、容子は噛み締めるように頷くと、今度は私の蜜穴にいきなり指を挿入し、緩みつつも収縮の機会を待ち望んでいた場所を探っては、一番深く感じてしまう場所に指先を到達させた。

「美咲さんったら、キュンって締め付けるのね」
「だから…知らない」
「可愛過ぎて反則よ?こんなの」
「……っ、んん」
「冴子ちゃんには?…ここまで感じさせてもらえてる?」
「……」

冴子はあまり焦らすという攻め方はしない。どちらかと言うとガンガン欲望のままに攻めるタイプだ。良くも悪くも、そこに若さを感じる。
それに緩急の使い分けも十分にできる娘だ。だから私は冴子との行為について特に不満やもどかしさを感じる事はなかった。

…でも。
容子の、静かでどこか単調にもなりかねない愛撫でこうも乱れてしまい、挙句膣内のいい所をちょっと擦られただけで、自分でも怖くなるほど深く絶頂しかけている。
身体には何の負担もなく、ただ愉悦だけが降り注ぐような、贅沢な交わりは…冴子と経験したかどうか、断言しにくかった。

「あ…そうだ、約束と違ったわね」

何がだろう、と思うが容子は指先で相変わらず私の膣内をまさぐりつつ、それなのに余分な動きは一切ないままに程良くポイントを刺激してくる。

「…指二本でイかせられるって言ってたのに、口を使っちゃったから」
「……」

だんだんと、容子の言葉が耳に入ってはきても、その意味をとらえる事は難しいという状態に突入していく。

「あぁ、あ…いい、中も、いいっ」
「これが…いいの?」
「うん、も、もっと…ぐりぐりってして」

容子の吐息がものすごく熱っぽい。半ば呆れられたろうかと不安になるが、そんなのは絶対に思い過ごしだ。

「あっ、あ…あぁ」

先ほどとは異なり、淫蜜を受け止める容子の口は私の秘部から離れているので、花弁からこぼれた蜜はお尻の割れ目ばかりでなく、太腿の間までもとんでもなくヌルヌルに濡らしていて、その間でストロークする容子の手も滑るように内腿を撫でている。だから自分自身がものすごくはしたないような気分になった。

「あ、また…あん」

自分の声がかすれているのに気付く。これまでの間に私はそんなにも叫んでいたのだろうか。

ふと、今容子の股間はどんな風になっているのだろうかと思ったが、考える間もなく私は再び絶頂の波にさらわれた。
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