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温めてあげる
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ガーデンテラスを後にして、広々としたツインルームへと歩を進めていく。
華美ではないが、廊下の片隅にはシンプルなフラワーアレンジメントが飾られていたり、小さめのはめ殺しの窓から、まるで切手のように可愛らしい中庭の景色が見られた理。
「…凄い」
私は思わず、その小さな窓の前で立ち止まってしまう。
ジオラマのような、可愛らしい景色は私のお気に入りになりそうだ。
この場所には自然もあるし、小さな非日常の世界もある。それぞれ宿泊者の好みを満たせるように、限られたはずのスペースで多彩な景色を見せてくれるのだ。
私には、この小さな窓外に広がる中庭の景色が好みだけれど、美咲さんはどうだろうか。
*-*-*-*-*-
「あ、お帰りなさい」
「冴子……」
エステ利用客用の館内着姿で部屋に戻った美咲さんの表情は、私が想像していたものとはだいぶ異なっていた。
「…お姉さま、どうかしましたか」
「どう、も何も」
「…え」
大き目のソファにどかりと腰を下ろした美咲さんのもとへミネラルウォーターの入ったグラスを差し出しつつ、私も隣に腰掛ける。
…何があったのだろうか。
「冴子、私…ばれちゃったわよ」
思わず瞬きしつつ美咲さんの表情を伺う。
聞けばこういう事らしい。
美咲さん自身は、ホテル従業員はともかくエステサロンは提携業者のものだからという事で、自身の身分が知られる事はないだろうと思っていたようだが、その考えは甘かった。
サロンに入るなり関係者が全員総出でお出迎えという所から始まり、「新しくいらした専務にお会いできるなんて」だの、「実物は写真よりもずっとお綺麗ですね」だの、「こうして直接トリートメントさせていただけるなんて光栄です」だのと、美咲さんからすればお世辞を、客観的には素直な言葉を始終浴びせられたそうだ。
おまけに一般客に向けるのとは明らかに違う、妙に輝いた目で担当者から見つめられたり、本来一人でするはずの仕事を何故だか二人でされたりと、過剰とも呼べる手厚い対応をされた、との事であった。
中でも普段は眼鏡をかけている美咲さんが、施術に際してそれを外した時などは、ささやかながらも感嘆の声が上がる有様で。
「眼鏡を外されるとお顔の感じが全然違うんですね」とか、「可愛らしいお顔立ちだと思いきや、実はクールな感じで素敵です」とか、むず痒くなるような言葉を浴びせられたという事だった。
……美咲さんからすればそれは単なる、提携ホテルの経営者に対するお世辞だという認識かもしれないが、それらは普通に想定され得る反応だ。
私には、色めき立つエステサロン関係者の様子が目に浮かぶようだった。決してそれを望んでいた訳ではないけれど。
「はじめのうちは、冴子と一緒に受けたかったって思ってたけど…あんな事になるなら、私一人で良かったと思ったわよ」
「…そうですか」
美咲さんにはその心当たりがないかもしれないが、私には唯一心当たりがある。
美咲さんがこの会社に、専務として迎えられた時に出された社内報の写真。
それは容子社長との2ショットだったのだけれど、あれが凄くいい写真だったのだ。
コケティッシュで愛らしい表情の容子社長と、親しみやすいがクールな美女である美咲さんの笑顔の2ショット。
タイプの違う、美しく華やかな二人の揃った絵には少なからずインパクトがあった。
私はあの写真を見て、容子社長は美咲さんの容姿もまた、能力と同じぐらいに価値を認めて欲したのだろうと直観した。
おそらく、エステサロン関係者もあの写真を見ていたのだろう。
社長と専務が二人揃って美しい女性なのだ。従業員としては誇れる二人だし、その実物と会えるとなれば、ちょっとした騒ぎになるのも無理からぬ事だと思う。
「…かえって疲れさせてしまいましたか」
美咲さんがちやほやされるのはある意味当たり前の事だけど、美咲さん自身はその状況を好まない。
だからやっぱり宿泊先のチョイスは誤った気がして、私の気持ちは少し沈んだ。
「そんな事ない」
「……」
顔を上げようとした時、ふいに私の身体は美咲さんの腕に包まれた。
「冴子がわざわざ自腹で、予約してくれたんだもの」
「……」
「私が一声かければここに泊まる事も、施術を受ける事もできる。けどね」
「…はい」
「冴子が、あえてそうしてくれた事に、意味があるんだと思ったから、私は黙って受け取ったのよ」
「…はい」
「ありがとう」
「でも…」
いらぬ気疲れをさせた、それは事実だ。
それは私の本意ではないのだ。
美咲さんを癒すつもりで私が慰められてどうする、と思うのだけれど。
「何か…すみません、その」
「余計な事は気にしなくていいの」
美咲さんの、ピカピカに磨かれた身体がすぐ傍にあるというのに、私は力なく美咲さんの抱擁に応じる程度の事しかできないでいる。
「心配、してくれたんでしょ?」
「はい」
「…元気、もらったわよ」
「……」
その時ようやくまともに美咲さんの顔を見た。ばっちり目が合ってしまう。
美咲さんは、笑っている。
「冴子の身体でも癒してもらう予定じゃなかったっけ」
「…そうでした、ん…」
今日は全力で美咲さんに奉仕しようと決めていたはずなのに、どうしてだか今は美咲さんに抱きすくめられてキスをされている。しかもすごく積極的に。
「……」
ほんの少し唇が離れて、ぼんやりとキスの余韻に浸っていると、美咲さんは腕に力を込めて「外にいたの?少し冷えてるみたいだけど」と囁いてきた。
若干かすれた声色は、例のモードが発動する前兆だとわかるから、私の身体は半ば自動的に弛緩してしまう。
「はい」
「そう…じゃ温めてあげる」
臭い台詞だと思ったけど、美咲さんが言うと違和感がない。
そして実際美咲さんは薄着だけれど、確かに身体は温かかった。
「あ、の…お姉さま…っ」
ベッドに押し倒されて身体を密着させたまま、私は耐えられなくなるほど深く長いキスに溺れた。
美咲さんの気が済むまで放してくれそうになくて、とりあえず身を任せる。
「ん…ふ、くぅ…ん」
四肢を押さえつけられているから、動かずにいる事も、されるがままでいる事にも罪悪感はない。
故に私は、思う存分美咲さんの唇と舌の感触に意識を集中させる事ができた。
その場所はエステで施術を受けていないはずだけれど、いつだってツルツルで気持ちいい。
舐め回せばそれは柔らかく私の動きに追従しつつ、いやらしく私の舌に絡みついてくる。
…サロンで供されたのだろうか、ほんのりとハーブティーのような香りが感じられた。
たくさん舐めればその味をもっと感じる事ができそうで、私は更に美咲さんの口内を奥まで探ろうとしてしまう。
「…んふぅ」
美咲さんの吐息が漏れて、その音色に私の耳は敏感に反応する。
キスだけで既に感じてくれているのが嬉しい。勿論私も感じているけれど。
互いにしがみつくようにして身体を密着させ、わずかに擦り合わせる。
息苦しいがキスは気持ちいいし、辞める気になれない。
「ん……っ、あふ…ぅ」
本来同時に響かないはずの、くちゅりとした粘着質な水音と、吐息が漏れる音が混じり合う。
その合間に、美咲さんが「…冴子」と私の名前を呼ぶので、脳が一気に沸騰しそうになった。
美咲さんが、喜んでくれて良かった。完璧にではないかもしれないけど、多少なりとも元気になってくれて良かった。
それまで、容子社長の事を考えたり、いきなり袴田氏から電話がかかってきたりと、珍しく私の頭は忙しく動いていたから、美咲さんと話をするよりこうして身体を重ねていられる方が、思考から開放される感じがする。
…そうしていると、美咲さんの身体がどうなったのか、俄かに気になってくる。
唐突に、それを暴きたくて仕方ない衝動にかられた。
「……ん」
キスは続けたまま、私は手を伸ばして館内着ごしに美咲さんのお尻を撫でてみる。
…直接触れている訳ではないので肌の感じはわからないが、筋肉の凝りのようなものは一切ない。
特にこれといった抵抗もなかったので、私は館内着のアンクルパンツの中に手を入れてみる。
美咲さんは「あっ」と細い声を漏らしたけど、それでも私の唇から離れようとはしなかった。
…美咲さん、ショーツを履いてない。ラインが出るかもと気になったのだろうか。
肌に触れられる喜びと、その感触を確かめるように私は美咲さんのお尻を撫でたり軽く掴んでみたりする。
「あ、冴子…っ」
部屋に戻るなり眼鏡を外していたから、美咲さんの瞳がわずかに潤んでいくのも私からはしっかり見て取れた。
「お姉さま、凄く…すべすべで、なのに吸い付いてくる」
「…っ」
私の言葉を遮りたかったのか、美咲さんはまた私の唇に自分の唇を重ねてきた。
それでも私の手の動きは止まらないし、キスにかまけているのをいい事に、私は美咲さんの館内着を引き下ろしてしまう。
空気に晒されたお尻の感覚に身震いしながらも、美咲さんはいやとは言わなかった。
…中心はどうなっているのだろう。もう濡れそぼって、蜜を垂らしてしまうぐらいになっているのだろうか。
「…冴子も、脱いで」
私は頷いて、求められるままに全裸になった。美咲さんもまた、残された上着を脱ぎ捨てて裸身を晒す。
自分なりにケアはしてきたけれど、今日の美咲さんほど私の肌のコンディションは完璧ではない。
でも、今日の主役は美咲さんなのだ。私は美咲さんの身体を堪能したい、それだけだ。
「やっぱり、いつにも増してお姉さま、素敵です」
サロンで磨かれるというのは、単に美容成分を塗ってみたり、マッサージをして筋肉をほぐすという意味合いだけでなく、他人の手が自分の全身に触れる事により、身体が目覚める事を意味するのだと私は思っている。
美咲さんの身体はそうして人の手でほぐされ温められているから、そもそもの血色が良くなっているし、肌のきめも整っていた。
「お姉さま、全部…見せてください、私に」
「…ぁ」
身体を入れ替え美咲さんをベッドに仰向けに寝かせつつ両脚に手をかける。
膝を折り曲げさせ大きく開いて秘部を丸見えにした。
部屋の明かりは全く落としていないから、美咲さんの秘部も、羞恥に赤く染まる表情も、全てを見渡す事ができる。
つい先日美咲さんは私のこの恰好を見て「凄い長め」だと言ったけれど、今は全く同じ言葉を口にしたいと思った。
「ここは…触られていないですよね…」
それにしては他の場所と同じくらいに火照って艶をたたえている恥丘に、そっと指で触れてみた。
「じ、焦らさないで…よ…」
「そんなつもりは、ないんですが…」
「冴子…」
よく観察すれば、施術者の手は美咲さんの鼠蹊部まではケアしている形跡がある。
私は恥丘と同時に、鼠蹊部をなぞるように指で触れながら、そっとその中心にある花弁の縁に唇を付けた。
…さっき、唇同士でキスした時にはいきなり深くなってしまったけれど、美咲さんの花弁にはごく優しく触れては離れて、を繰り返す。
それだけしかしていないのに、花弁の隙間からは愛蜜が溢れ出てきて、唇を離す度に糸を引いてしまうほどだった。
「お姉さま、ここ…溢れてます」
「っあ、ん…だって、優しく…するから」
実際は優しくしようがしまいが、濡れるのは変わらないと思うのだが。
美咲さん自身、既に思考が怪しくなりだしているのかもしれない。
無論手抜きするつもりなどないし、過剰に焦らして美咲さんを苦しめるつもりもない。
しばらく優しい口づけを繰り返してから、私はぐっと美咲さんの花弁に吸い付いて、その隙間に舌を押し込んだ。
入れ替わりに内側から蜜がこぼれ出てくる。
…ここでも溺れそうだと思いつつ、私はあえてジュルジュルと卑猥な音を立てながら、その場所をすすり舐め回す。
そうしてうるさくする方が、美咲さんも遠慮なく喘ぐ事ができるのだ。
「冴子、冴子…っ、あんっ」
甲高く、そして甘ったるい美咲さんの喘ぎ声。
時々、無性に聞きたくなるし、誰かに聞かせるのは嫌だとも思う。
私はしつこく美咲さんの花弁をすする。クリトリスにはまだ手を出さない。
もう十分に膨らんできているのはわかっているけれど。
私はやっぱり、悔しいのだろうか。
直前まで誰かの手が触れていたであろう場所にそのまま触れる事が。
だからなのか、いきなりこんな場所を攻めてしまっている。
お尻を少し触っただけで、まだ美咲さんの胸には触れていないではないか。
その事が気になって、上目遣いに美咲さんの胸元に視線を投げると、やはりバストはケアしてもらったのだろうなとわかるような艶をたたえていた。
その頂上で乳首は充血しもろに勃起している。
触れられる事もなく放置されているにも関わらず、だ。
「…お姉さま、自分でおっぱい…揉んでみて」
「え…」
既に大きく開かれている、美咲さんの両脚を押さえる両手に体重をかけ、更に開かせる。
美咲さんは小さな悲鳴を上げるけれど、やはり嫌がりはしない。
そうして、ぱっくりと開いた花弁の間に私が顔を埋めていると、美咲さんが自分で胸を弄り始めたのか、私の口淫のリズムとはまた違ったタイミングで、あんあんと喘ぐ声が漏れだした。
「冴子…っ、そんな所ばっかり舐めて…いやらしい…っ」
「でも…気持ち良く、ないですか?」
「気持ちいいぃ…あ、んっ…あぁ」
美咲さんの手は、痛いのではないかと思うぐらいに強く自身の乳房を握りしめている。
その鈍痛が、まるで自分に乗り移ったような錯覚を覚えて、私が自分の胸を押さえたくなってしまった。
「冴子…」
美咲さんが片方の胸から手を放して私の方に伸ばしてくる。
それを私も手を伸ばして捉え、指を絡めてしっかりと繋いだ。
「…ね、冴子…こっち」
引き寄せられるように身体を上にずり上げられる。
再び美咲さんの顔が目の前に来て、また深いキスをされた。
そうしながら身体を起こして美咲さんが脚を持ち上げる。
「……」
一瞬先を読めなかったけど、美咲さんが私の片足を持ち上げようとする動作で察しがついた。
…美咲さんは、貝合わせをしたいのだと。
その行為自体はけっこう久しぶりなように思う。
互いに秘部に指を挿入し合うか、偽竿を使う事が多かったから。
「…お姉さま」
「ほら、冴子…しよう?」
いやらしい事はもう始めているのに、その言い回しはずるいと思う。
そして私はその瞬間何故か、美咲さんがこういう口調で、かつて誰かに「セックスしよう?」と囁いていたのだろうかと考えてしまった。
半ばやけくそになり美咲さんの秘部に自分のそれを重ね合わせる。
…自分でもびっくりするほど、二人ともヌルヌルに濡らしていた。
「き、気持ちいい…っあ、あんっ」
思わず腰を激しく振ってしまう。
美咲さんも陶然とした表情を浮かべつつ、私の頭を引き寄せるようにして強引に唇を重ねてきた。
「…冴子ったら、可愛い」
「……」
半分は私の口内に声が響いて、それが私の体内をまるごと振動させるかのようだった。
まずい。こうなると動きを止められる気がしなくなる。
「す、すみません…お姉さま…自分の…」
「…何?私だって気持ちいい」
「…っ、ん、ん…っ、あ…」
本当に恥ずかしい声が抑えられなくなると、美咲さんはそれをきちんと聞かせろと言わんばかりに唇を浮かせて、塞いでくれない。
「あ……っ、ん…」
「冴子、凄い…ぐちゃぐちゃになって…っん」
派手に動いて剥き出しになった萌芽が、愛蜜塗れになって擦れ合う。
的確に感じるポイントには一瞬、かすめるように触れていくのでもどかしい。
「お姉さま、もっと…動いて、一緒に…」
「冴子…」
それ以上強く押し付ける事はできないと思えるぐらいに、互いの身体を強く強く押し当てる。
腕も、上半身も全部使って、相手の身体を引き寄せ、肌という派だを密着させる。
それでも下半身には溢れ出た蜜がまとわりついて、一つになりたいのになれないかのような、もどかしさは消えない。
だからそれを打ち消すように、下半身は何度も何度も打ち付けるようにして、刺激を高めていった。
「あ、あ…お姉さまぁ」
「…冴子」
美咲さんが先に達するまで自分は我慢したかったのに、持ちそうになかった。
だから私は達しながら「ごめんなさい」と呟いてしまっていた。
「いいの、冴子…私も…っ、あぁぁ」
直後に美咲さんの身体が跳ねるように痙攣する。
私は、自分もその余韻の残る身体で美咲さんを受け止めて、なだめるように抱きしめた。
*-*-*-*-*-
今夜という時間には勿論終わりがあるけれど、美咲さんはどこにも行かない。私もだ。
なのに、すごく性急に求め合ってしまった。まるで初めて抱き合う恋人同士のように。
それは、いつもの部屋とは違う場所、シチュエーションだからなのだろうか。
「お姉さまを待っている間、テラスに居たんです」
「…うん」
一度達してなじんだ身体を寄せ合いながら、時折キスをしてぽつぽつと話をする。
美咲さんは、大抵その時私の胸を揉んだり弄ったりしているのだけど。
「一つ一つ、みんなで生み出したメニューがあって、それを見ていて考え込んでしまっていたのに、バーテンダーの方はずっと待っていてくれました」
「…そう」
「それが、嬉しかったです」
「……」
今は袴田氏の事は口にすまいと思った。
「冴子、私はね…」
何か重大な話をされるかのような導入だったけど、美咲さんが話し手くれたのは、エステでの施術内容についてだった。
「……」
「冴子も、受けたかった?」
「え、あの……」
美咲さんがそのために詳細を話し手いたのだとその時わかったけれど、私も正直そこまでゴージャスな内容盛りだくさんの施術など、受けた事はない。だから答えに詰まってしまった。
「明日で良ければ、空いてるって…言ってたわよ」
「そう…ですか」
「だからそれが冴子への御礼」
「でも…」
「レイトチェックアウトにしてあるんでしょ?私はここで冴子を待ってるから、遠慮しないで受けて来なさい」
「はい…」
3時間以上もただ美咲さんを待たせるのには気が引けた。
眠って待っていてもらうのでも全く問題はないはずなのに。
「それとも…またこういう事しちゃいそうだから、気になるの?」
「ち、違います…」
「違わないんでしょ、どうせ」
「……」
「その続きなら、部屋で…ね」
「…はい」
今この場で、再び交わろうとしている最中であるにも関わらず、美咲さんは私に明日のセックスの予定を話して納得させようとしている。
…まるで私が果てしなく貪欲である事を、間接的に突きつけられている気がして恥ずかしかった。
でも、美咲さんのその認識は間違ってはいない。
そして美咲さんにそうまでさせている事は、この上ない贅沢なのだ。
「…お姉さま」
だからと言う訳ではないけれど、目の前に美咲さんの身体があるのだから、私は少しでもそれに触れていたい。
美咲さんの素肌に指を這わせながら、ゆっくりと花弁の中心を目指していく。
美咲さんは抵抗する事なく、されるがままになっていた。
美咲さんは優しい人だ。こんな私に対してでも、それは変わらない。
仮に嫌だと思われても、私はそんな美咲さんに精いっぱいしてあげたいから、やっぱりその場所に触れるのだ。
「あ…また、溢れてきてる」
「冴子…っあ、んっ」
「舐めさせて…ください」
「うん…いっぱい、して…っ、あ、ん…」
磨き上げられた美咲さんの肌は、思った以上に私の昂ぶりを誘った。
申し訳ないが、筋肉の凝りについては今日の激しい交わりで復活してしまうに違いないのだけれど、そこは許して欲しい。
華美ではないが、廊下の片隅にはシンプルなフラワーアレンジメントが飾られていたり、小さめのはめ殺しの窓から、まるで切手のように可愛らしい中庭の景色が見られた理。
「…凄い」
私は思わず、その小さな窓の前で立ち止まってしまう。
ジオラマのような、可愛らしい景色は私のお気に入りになりそうだ。
この場所には自然もあるし、小さな非日常の世界もある。それぞれ宿泊者の好みを満たせるように、限られたはずのスペースで多彩な景色を見せてくれるのだ。
私には、この小さな窓外に広がる中庭の景色が好みだけれど、美咲さんはどうだろうか。
*-*-*-*-*-
「あ、お帰りなさい」
「冴子……」
エステ利用客用の館内着姿で部屋に戻った美咲さんの表情は、私が想像していたものとはだいぶ異なっていた。
「…お姉さま、どうかしましたか」
「どう、も何も」
「…え」
大き目のソファにどかりと腰を下ろした美咲さんのもとへミネラルウォーターの入ったグラスを差し出しつつ、私も隣に腰掛ける。
…何があったのだろうか。
「冴子、私…ばれちゃったわよ」
思わず瞬きしつつ美咲さんの表情を伺う。
聞けばこういう事らしい。
美咲さん自身は、ホテル従業員はともかくエステサロンは提携業者のものだからという事で、自身の身分が知られる事はないだろうと思っていたようだが、その考えは甘かった。
サロンに入るなり関係者が全員総出でお出迎えという所から始まり、「新しくいらした専務にお会いできるなんて」だの、「実物は写真よりもずっとお綺麗ですね」だの、「こうして直接トリートメントさせていただけるなんて光栄です」だのと、美咲さんからすればお世辞を、客観的には素直な言葉を始終浴びせられたそうだ。
おまけに一般客に向けるのとは明らかに違う、妙に輝いた目で担当者から見つめられたり、本来一人でするはずの仕事を何故だか二人でされたりと、過剰とも呼べる手厚い対応をされた、との事であった。
中でも普段は眼鏡をかけている美咲さんが、施術に際してそれを外した時などは、ささやかながらも感嘆の声が上がる有様で。
「眼鏡を外されるとお顔の感じが全然違うんですね」とか、「可愛らしいお顔立ちだと思いきや、実はクールな感じで素敵です」とか、むず痒くなるような言葉を浴びせられたという事だった。
……美咲さんからすればそれは単なる、提携ホテルの経営者に対するお世辞だという認識かもしれないが、それらは普通に想定され得る反応だ。
私には、色めき立つエステサロン関係者の様子が目に浮かぶようだった。決してそれを望んでいた訳ではないけれど。
「はじめのうちは、冴子と一緒に受けたかったって思ってたけど…あんな事になるなら、私一人で良かったと思ったわよ」
「…そうですか」
美咲さんにはその心当たりがないかもしれないが、私には唯一心当たりがある。
美咲さんがこの会社に、専務として迎えられた時に出された社内報の写真。
それは容子社長との2ショットだったのだけれど、あれが凄くいい写真だったのだ。
コケティッシュで愛らしい表情の容子社長と、親しみやすいがクールな美女である美咲さんの笑顔の2ショット。
タイプの違う、美しく華やかな二人の揃った絵には少なからずインパクトがあった。
私はあの写真を見て、容子社長は美咲さんの容姿もまた、能力と同じぐらいに価値を認めて欲したのだろうと直観した。
おそらく、エステサロン関係者もあの写真を見ていたのだろう。
社長と専務が二人揃って美しい女性なのだ。従業員としては誇れる二人だし、その実物と会えるとなれば、ちょっとした騒ぎになるのも無理からぬ事だと思う。
「…かえって疲れさせてしまいましたか」
美咲さんがちやほやされるのはある意味当たり前の事だけど、美咲さん自身はその状況を好まない。
だからやっぱり宿泊先のチョイスは誤った気がして、私の気持ちは少し沈んだ。
「そんな事ない」
「……」
顔を上げようとした時、ふいに私の身体は美咲さんの腕に包まれた。
「冴子がわざわざ自腹で、予約してくれたんだもの」
「……」
「私が一声かければここに泊まる事も、施術を受ける事もできる。けどね」
「…はい」
「冴子が、あえてそうしてくれた事に、意味があるんだと思ったから、私は黙って受け取ったのよ」
「…はい」
「ありがとう」
「でも…」
いらぬ気疲れをさせた、それは事実だ。
それは私の本意ではないのだ。
美咲さんを癒すつもりで私が慰められてどうする、と思うのだけれど。
「何か…すみません、その」
「余計な事は気にしなくていいの」
美咲さんの、ピカピカに磨かれた身体がすぐ傍にあるというのに、私は力なく美咲さんの抱擁に応じる程度の事しかできないでいる。
「心配、してくれたんでしょ?」
「はい」
「…元気、もらったわよ」
「……」
その時ようやくまともに美咲さんの顔を見た。ばっちり目が合ってしまう。
美咲さんは、笑っている。
「冴子の身体でも癒してもらう予定じゃなかったっけ」
「…そうでした、ん…」
今日は全力で美咲さんに奉仕しようと決めていたはずなのに、どうしてだか今は美咲さんに抱きすくめられてキスをされている。しかもすごく積極的に。
「……」
ほんの少し唇が離れて、ぼんやりとキスの余韻に浸っていると、美咲さんは腕に力を込めて「外にいたの?少し冷えてるみたいだけど」と囁いてきた。
若干かすれた声色は、例のモードが発動する前兆だとわかるから、私の身体は半ば自動的に弛緩してしまう。
「はい」
「そう…じゃ温めてあげる」
臭い台詞だと思ったけど、美咲さんが言うと違和感がない。
そして実際美咲さんは薄着だけれど、確かに身体は温かかった。
「あ、の…お姉さま…っ」
ベッドに押し倒されて身体を密着させたまま、私は耐えられなくなるほど深く長いキスに溺れた。
美咲さんの気が済むまで放してくれそうになくて、とりあえず身を任せる。
「ん…ふ、くぅ…ん」
四肢を押さえつけられているから、動かずにいる事も、されるがままでいる事にも罪悪感はない。
故に私は、思う存分美咲さんの唇と舌の感触に意識を集中させる事ができた。
その場所はエステで施術を受けていないはずだけれど、いつだってツルツルで気持ちいい。
舐め回せばそれは柔らかく私の動きに追従しつつ、いやらしく私の舌に絡みついてくる。
…サロンで供されたのだろうか、ほんのりとハーブティーのような香りが感じられた。
たくさん舐めればその味をもっと感じる事ができそうで、私は更に美咲さんの口内を奥まで探ろうとしてしまう。
「…んふぅ」
美咲さんの吐息が漏れて、その音色に私の耳は敏感に反応する。
キスだけで既に感じてくれているのが嬉しい。勿論私も感じているけれど。
互いにしがみつくようにして身体を密着させ、わずかに擦り合わせる。
息苦しいがキスは気持ちいいし、辞める気になれない。
「ん……っ、あふ…ぅ」
本来同時に響かないはずの、くちゅりとした粘着質な水音と、吐息が漏れる音が混じり合う。
その合間に、美咲さんが「…冴子」と私の名前を呼ぶので、脳が一気に沸騰しそうになった。
美咲さんが、喜んでくれて良かった。完璧にではないかもしれないけど、多少なりとも元気になってくれて良かった。
それまで、容子社長の事を考えたり、いきなり袴田氏から電話がかかってきたりと、珍しく私の頭は忙しく動いていたから、美咲さんと話をするよりこうして身体を重ねていられる方が、思考から開放される感じがする。
…そうしていると、美咲さんの身体がどうなったのか、俄かに気になってくる。
唐突に、それを暴きたくて仕方ない衝動にかられた。
「……ん」
キスは続けたまま、私は手を伸ばして館内着ごしに美咲さんのお尻を撫でてみる。
…直接触れている訳ではないので肌の感じはわからないが、筋肉の凝りのようなものは一切ない。
特にこれといった抵抗もなかったので、私は館内着のアンクルパンツの中に手を入れてみる。
美咲さんは「あっ」と細い声を漏らしたけど、それでも私の唇から離れようとはしなかった。
…美咲さん、ショーツを履いてない。ラインが出るかもと気になったのだろうか。
肌に触れられる喜びと、その感触を確かめるように私は美咲さんのお尻を撫でたり軽く掴んでみたりする。
「あ、冴子…っ」
部屋に戻るなり眼鏡を外していたから、美咲さんの瞳がわずかに潤んでいくのも私からはしっかり見て取れた。
「お姉さま、凄く…すべすべで、なのに吸い付いてくる」
「…っ」
私の言葉を遮りたかったのか、美咲さんはまた私の唇に自分の唇を重ねてきた。
それでも私の手の動きは止まらないし、キスにかまけているのをいい事に、私は美咲さんの館内着を引き下ろしてしまう。
空気に晒されたお尻の感覚に身震いしながらも、美咲さんはいやとは言わなかった。
…中心はどうなっているのだろう。もう濡れそぼって、蜜を垂らしてしまうぐらいになっているのだろうか。
「…冴子も、脱いで」
私は頷いて、求められるままに全裸になった。美咲さんもまた、残された上着を脱ぎ捨てて裸身を晒す。
自分なりにケアはしてきたけれど、今日の美咲さんほど私の肌のコンディションは完璧ではない。
でも、今日の主役は美咲さんなのだ。私は美咲さんの身体を堪能したい、それだけだ。
「やっぱり、いつにも増してお姉さま、素敵です」
サロンで磨かれるというのは、単に美容成分を塗ってみたり、マッサージをして筋肉をほぐすという意味合いだけでなく、他人の手が自分の全身に触れる事により、身体が目覚める事を意味するのだと私は思っている。
美咲さんの身体はそうして人の手でほぐされ温められているから、そもそもの血色が良くなっているし、肌のきめも整っていた。
「お姉さま、全部…見せてください、私に」
「…ぁ」
身体を入れ替え美咲さんをベッドに仰向けに寝かせつつ両脚に手をかける。
膝を折り曲げさせ大きく開いて秘部を丸見えにした。
部屋の明かりは全く落としていないから、美咲さんの秘部も、羞恥に赤く染まる表情も、全てを見渡す事ができる。
つい先日美咲さんは私のこの恰好を見て「凄い長め」だと言ったけれど、今は全く同じ言葉を口にしたいと思った。
「ここは…触られていないですよね…」
それにしては他の場所と同じくらいに火照って艶をたたえている恥丘に、そっと指で触れてみた。
「じ、焦らさないで…よ…」
「そんなつもりは、ないんですが…」
「冴子…」
よく観察すれば、施術者の手は美咲さんの鼠蹊部まではケアしている形跡がある。
私は恥丘と同時に、鼠蹊部をなぞるように指で触れながら、そっとその中心にある花弁の縁に唇を付けた。
…さっき、唇同士でキスした時にはいきなり深くなってしまったけれど、美咲さんの花弁にはごく優しく触れては離れて、を繰り返す。
それだけしかしていないのに、花弁の隙間からは愛蜜が溢れ出てきて、唇を離す度に糸を引いてしまうほどだった。
「お姉さま、ここ…溢れてます」
「っあ、ん…だって、優しく…するから」
実際は優しくしようがしまいが、濡れるのは変わらないと思うのだが。
美咲さん自身、既に思考が怪しくなりだしているのかもしれない。
無論手抜きするつもりなどないし、過剰に焦らして美咲さんを苦しめるつもりもない。
しばらく優しい口づけを繰り返してから、私はぐっと美咲さんの花弁に吸い付いて、その隙間に舌を押し込んだ。
入れ替わりに内側から蜜がこぼれ出てくる。
…ここでも溺れそうだと思いつつ、私はあえてジュルジュルと卑猥な音を立てながら、その場所をすすり舐め回す。
そうしてうるさくする方が、美咲さんも遠慮なく喘ぐ事ができるのだ。
「冴子、冴子…っ、あんっ」
甲高く、そして甘ったるい美咲さんの喘ぎ声。
時々、無性に聞きたくなるし、誰かに聞かせるのは嫌だとも思う。
私はしつこく美咲さんの花弁をすする。クリトリスにはまだ手を出さない。
もう十分に膨らんできているのはわかっているけれど。
私はやっぱり、悔しいのだろうか。
直前まで誰かの手が触れていたであろう場所にそのまま触れる事が。
だからなのか、いきなりこんな場所を攻めてしまっている。
お尻を少し触っただけで、まだ美咲さんの胸には触れていないではないか。
その事が気になって、上目遣いに美咲さんの胸元に視線を投げると、やはりバストはケアしてもらったのだろうなとわかるような艶をたたえていた。
その頂上で乳首は充血しもろに勃起している。
触れられる事もなく放置されているにも関わらず、だ。
「…お姉さま、自分でおっぱい…揉んでみて」
「え…」
既に大きく開かれている、美咲さんの両脚を押さえる両手に体重をかけ、更に開かせる。
美咲さんは小さな悲鳴を上げるけれど、やはり嫌がりはしない。
そうして、ぱっくりと開いた花弁の間に私が顔を埋めていると、美咲さんが自分で胸を弄り始めたのか、私の口淫のリズムとはまた違ったタイミングで、あんあんと喘ぐ声が漏れだした。
「冴子…っ、そんな所ばっかり舐めて…いやらしい…っ」
「でも…気持ち良く、ないですか?」
「気持ちいいぃ…あ、んっ…あぁ」
美咲さんの手は、痛いのではないかと思うぐらいに強く自身の乳房を握りしめている。
その鈍痛が、まるで自分に乗り移ったような錯覚を覚えて、私が自分の胸を押さえたくなってしまった。
「冴子…」
美咲さんが片方の胸から手を放して私の方に伸ばしてくる。
それを私も手を伸ばして捉え、指を絡めてしっかりと繋いだ。
「…ね、冴子…こっち」
引き寄せられるように身体を上にずり上げられる。
再び美咲さんの顔が目の前に来て、また深いキスをされた。
そうしながら身体を起こして美咲さんが脚を持ち上げる。
「……」
一瞬先を読めなかったけど、美咲さんが私の片足を持ち上げようとする動作で察しがついた。
…美咲さんは、貝合わせをしたいのだと。
その行為自体はけっこう久しぶりなように思う。
互いに秘部に指を挿入し合うか、偽竿を使う事が多かったから。
「…お姉さま」
「ほら、冴子…しよう?」
いやらしい事はもう始めているのに、その言い回しはずるいと思う。
そして私はその瞬間何故か、美咲さんがこういう口調で、かつて誰かに「セックスしよう?」と囁いていたのだろうかと考えてしまった。
半ばやけくそになり美咲さんの秘部に自分のそれを重ね合わせる。
…自分でもびっくりするほど、二人ともヌルヌルに濡らしていた。
「き、気持ちいい…っあ、あんっ」
思わず腰を激しく振ってしまう。
美咲さんも陶然とした表情を浮かべつつ、私の頭を引き寄せるようにして強引に唇を重ねてきた。
「…冴子ったら、可愛い」
「……」
半分は私の口内に声が響いて、それが私の体内をまるごと振動させるかのようだった。
まずい。こうなると動きを止められる気がしなくなる。
「す、すみません…お姉さま…自分の…」
「…何?私だって気持ちいい」
「…っ、ん、ん…っ、あ…」
本当に恥ずかしい声が抑えられなくなると、美咲さんはそれをきちんと聞かせろと言わんばかりに唇を浮かせて、塞いでくれない。
「あ……っ、ん…」
「冴子、凄い…ぐちゃぐちゃになって…っん」
派手に動いて剥き出しになった萌芽が、愛蜜塗れになって擦れ合う。
的確に感じるポイントには一瞬、かすめるように触れていくのでもどかしい。
「お姉さま、もっと…動いて、一緒に…」
「冴子…」
それ以上強く押し付ける事はできないと思えるぐらいに、互いの身体を強く強く押し当てる。
腕も、上半身も全部使って、相手の身体を引き寄せ、肌という派だを密着させる。
それでも下半身には溢れ出た蜜がまとわりついて、一つになりたいのになれないかのような、もどかしさは消えない。
だからそれを打ち消すように、下半身は何度も何度も打ち付けるようにして、刺激を高めていった。
「あ、あ…お姉さまぁ」
「…冴子」
美咲さんが先に達するまで自分は我慢したかったのに、持ちそうになかった。
だから私は達しながら「ごめんなさい」と呟いてしまっていた。
「いいの、冴子…私も…っ、あぁぁ」
直後に美咲さんの身体が跳ねるように痙攣する。
私は、自分もその余韻の残る身体で美咲さんを受け止めて、なだめるように抱きしめた。
*-*-*-*-*-
今夜という時間には勿論終わりがあるけれど、美咲さんはどこにも行かない。私もだ。
なのに、すごく性急に求め合ってしまった。まるで初めて抱き合う恋人同士のように。
それは、いつもの部屋とは違う場所、シチュエーションだからなのだろうか。
「お姉さまを待っている間、テラスに居たんです」
「…うん」
一度達してなじんだ身体を寄せ合いながら、時折キスをしてぽつぽつと話をする。
美咲さんは、大抵その時私の胸を揉んだり弄ったりしているのだけど。
「一つ一つ、みんなで生み出したメニューがあって、それを見ていて考え込んでしまっていたのに、バーテンダーの方はずっと待っていてくれました」
「…そう」
「それが、嬉しかったです」
「……」
今は袴田氏の事は口にすまいと思った。
「冴子、私はね…」
何か重大な話をされるかのような導入だったけど、美咲さんが話し手くれたのは、エステでの施術内容についてだった。
「……」
「冴子も、受けたかった?」
「え、あの……」
美咲さんがそのために詳細を話し手いたのだとその時わかったけれど、私も正直そこまでゴージャスな内容盛りだくさんの施術など、受けた事はない。だから答えに詰まってしまった。
「明日で良ければ、空いてるって…言ってたわよ」
「そう…ですか」
「だからそれが冴子への御礼」
「でも…」
「レイトチェックアウトにしてあるんでしょ?私はここで冴子を待ってるから、遠慮しないで受けて来なさい」
「はい…」
3時間以上もただ美咲さんを待たせるのには気が引けた。
眠って待っていてもらうのでも全く問題はないはずなのに。
「それとも…またこういう事しちゃいそうだから、気になるの?」
「ち、違います…」
「違わないんでしょ、どうせ」
「……」
「その続きなら、部屋で…ね」
「…はい」
今この場で、再び交わろうとしている最中であるにも関わらず、美咲さんは私に明日のセックスの予定を話して納得させようとしている。
…まるで私が果てしなく貪欲である事を、間接的に突きつけられている気がして恥ずかしかった。
でも、美咲さんのその認識は間違ってはいない。
そして美咲さんにそうまでさせている事は、この上ない贅沢なのだ。
「…お姉さま」
だからと言う訳ではないけれど、目の前に美咲さんの身体があるのだから、私は少しでもそれに触れていたい。
美咲さんの素肌に指を這わせながら、ゆっくりと花弁の中心を目指していく。
美咲さんは抵抗する事なく、されるがままになっていた。
美咲さんは優しい人だ。こんな私に対してでも、それは変わらない。
仮に嫌だと思われても、私はそんな美咲さんに精いっぱいしてあげたいから、やっぱりその場所に触れるのだ。
「あ…また、溢れてきてる」
「冴子…っあ、んっ」
「舐めさせて…ください」
「うん…いっぱい、して…っ、あ、ん…」
磨き上げられた美咲さんの肌は、思った以上に私の昂ぶりを誘った。
申し訳ないが、筋肉の凝りについては今日の激しい交わりで復活してしまうに違いないのだけれど、そこは許して欲しい。
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