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それだけは(美咲SIDE)

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転職前の有給消化を利用して、冴子と二人でお泊り旅行に出かけた時の事。
勿論、いつもと違うシチュエーションでいちゃいちゃするのが主な目的ではあったけど、面白半分に冴子に着せた、ある物の所為で私はしばらく「ダメ」になりそうなぐらい打ちのめされた気分になった。

*-*-*-*-*-

かつて温泉旅館へ出かけた時に冴子と二人で色浴衣を借りて着た事があったけど、その時よりもずっと前から、冴子にきちんとした和服を着せたらどれだけ似合う事だろうと思い描く事は多々あった。

冴子本人はそんな、ちゃんとした和服は持っていないと言う。
だから私はいつか--勿論私の見立てを前面に押し出した形にはなると思うが、冴子にきちんとした和服を買ってあげたいと思っていたのだ。

本当に冴子のサイズに合わせて仕立てるとなればそれ相応の値段はかかってしまうけど、今回は冴子に内緒で、しかもコスプレ気分満点の、半ば遊びのようなつもりで新古品の長襦袢を用意してきている。
しかも色は真っ赤な物でさながら遊廓のワンシーンでも再現できてしまいそうな、そんな代物だ。

今回取っているのは広めの和洋室タイプの客室だけど、気持ちが前のめりになり過ぎて、部屋に入って荷物を整理している最中から、私は冴子にその存在を知らせてしまった。
…単に、我慢できなかっただけだと思う。

長襦袢一枚だけだからさほどかさばるでもなし、現物を見ても冴子は一瞬、それが何なのかわからないといった風情だった。

「こんなの持って来ちゃった」と妙に自分一人だけ盛り上がっているのはどうも恥ずかしくもあって、冴子にそれを見せた所冴子は「今着てみましょうか」などと言っていきなり服を脱ぎ始めてしまう。

今でなくても、と思ったけど強く止める理由も見当たらなくて黙っていたら冴子はみるみるうちに裸になり、真っ赤な長襦袢を手に取り広げたかと思うとそれを素肌に羽織って見せた。

私はなんとなく畳敷きの床に座って事の成り行きを見守るしかなかったのだけれど、青々とした庭園の景色を透かしたガラス窓を背にした冴子が、裸体に真っ赤な長襦袢だけを羽織った状態で、私と目線を合わせるように横座りしてにじり寄って来た時、私は何故だか急に、恥ずかしさや怖さにも似たような、でもそれらとは微妙に違う気持ちがこみ上げてくるのを感じる。

相手が私だからこうも素直にしているのだろうとは十分理解できているはずなのに、真昼の陽光の中でそんな冴子の姿はあまりにも無防備であり、更に言うとあまりにも妖艶で、文字通り目の保養どころか目の毒だとさえ思うぐらいなのだ。

「…お姉さま?」

畳みに腰紐や伊達締めが転がっているのだが、実際これらはほどいたのではなく結んでいないだけの事なのに、この情景だけを切り取れば、まるで私が冴子の着ものを脱がせてそれらをほどいたような錯覚すら覚える。

だらりと開いた襟の間には冴子の深い胸の谷間が覗いているし、そんな冴子が横座りの姿勢で前屈みになり私の顔色を伺っているのだから堪らない。

「あ…この方がいいですか」

何を思ったか、冴子はハーフアップにしていた髪もほどいて全てありのままに下ろしてしまう。
自分の髪をちょっと指ですくように整えながら私の方を見るのだが、その時ようやく私は、自分の手が自身の鼻と口元を覆っている事に気が付いた。

…鼻血が出るかもとかそういう事を思ったのか、そうでないのかすらもわからない。
ただ単に自分の表情を、冴子に見られたくないと思ったのかもしれない。
挙句そんな私は、冴子をまともに凝視する事もできないぐらいに当てられてしまい、どうしたらいいのかわからないほど狼狽えていた。

「…イマイチでしたか」

無邪気に聞くな、と言いたいのに言葉が口から出て来ない。
かろうじて首を横に振ったけど、それから出た言葉は自分でも全く予期しないものだった。

「…それだけは、絶対にダメだから」
「え?…」

「だから、私以外の人の前でこの恰好したら、絶対ダメだからね」
「……」

にじり寄るようにしながら心配そうに私の顔を覗き込んでいた冴子だが、その言葉に一瞬きょとんとしたかと思うとその後すぐ笑顔になった。

「それなら、良かったです」

何が良いのだと思うが、冴子としてはおそらく私が想像した通りかそれ以上に自分の事がエロく見えたかどうかが重要らしい。

私は、あまりに当てられると身体は案外動かないものなんだ、とその時初めて経験したけど、冴子がその恰好のまま私の身体にすがりついて来たので、もはや極力乱暴にならないように冴子に触れる事だけを意識せねばと思考を切り替える事にした。

「…お姉さま」

そう言いながら、冴子本人も若干スイッチが入ってしまったらしく、黙っていても私を見る目には「何でもします」と書いてあるように見て取れる。

それでもいきなり核心に触れてしまうのはあまりにも勿体なくて、とりあえず私は冴子の頭を引き寄せるようにして、なんとなくその唇を味わった。

…平日の昼間から、しかも着いたばかりの旅先の部屋で何をしてるんだろう、なんて事もほんの少し思わないでもないけれど、どう過ごそうとそれは私たちの自由だ。

…ダメ、と言いたくなるぐらいに冴子のその恰好はヤバイんだ、とそっと冴子に伝えると、冴子は素直に嬉しいといった顔をする。
本人は、あまりこれの破壊力を理解していないのかもしれないと思うが、いくら言葉を尽くしてもあまり意味がないようにも思われた。

シチュエーションも、何もかも、背徳的の一言に尽きる。
大人げないとはわかっていても、冴子がいやだと言うぐらいにいやらしい刺激でその身体を満たしてやりたくなる気持ちは押さえられなかった。

洋室サイドに元々設えられているダブルベッドに冴子を導き、私自身は眼鏡を外してブルゾンを脱ぎ捨てる。
時間が惜しくて上半身はブラウスを着たまま、下半身だけはさっさと偽竿を付けて冴子に抱きついた。

「昼間にエッチするのって、なんでこんなに興奮するんだろうね」
「…ずっと、その時間はお仕事をしてきているからじゃないですか?」
「……」

自在に大きさも形も変えられないから、偽竿を付けたままで挿入しないように抱きつくと、結果的にそれは冴子の花弁に沿うように、冴子の股間に挟まった恰好になる。
そのまま軽く擦っているのも、される側としては割と気持ちいいはずだ。

冴子をベッドに押し倒すと、満を持してと言う訳でもないが、真っ赤な襦袢がはだけて冴子の大きな、しかしきちんと張りのある胸が露わになる。
その景色も強烈に卑猥だ。

「…いきなり入れても大丈夫なワケ?」
「…はい、多分もう大丈夫です」

言いながら自分の指で花弁をまさぐる冴子もまた、意識はしていないだろうが誘っているようでその姿だけ見ているとかなり刺激されてしまう。

「…何確かめてるのよ」
「だって、濡れてないと…入れにくいかなと思って」

私は思わず吹き出してしまう。冴子は真面目に言っているので、笑うのは失礼なのだろうけど。

「それこそ私の仕事でしょ?」
「…」

そうは言ったが実際問題こっちはひどく濡れているので、むしろ偽竿が外れはしないか心配になったぐらいだけど。
私は心のどこかで、それをしたら終わる気がするような錯覚に囚われながら、露わになった冴子の胸を両手で揉んだ。
揉みながら自分の膝で冴子の股間をぐりぐりと刺激したりして。

「あ…んっ」

多分私の顔があまりに真剣だったか、鬼気迫るものだったかしていた所為で、冴子は小さく喘ぎながら尋ねてくる。

「一枚羽織っただけなのに、そんなに違うんですか…っ」
「全然違うわよ、冴子だってわかってるでしょ?」
「……」

手近な所には鏡がなくて、私は「後で見ればいい」と言いながら冴子の姿をいくつか写真に収めた。
また撮るかもしれないと思いながらベッドの上にスマホを転がして、それから冴子の胸の先端にかぶりつく。

「…あんっ」

細い悲鳴が室内に響くが、そこには高揚の色が濃く混じっている。

「あ、あ…っ、お姉さまぁ」

ほんの一瞬だけ、使われていない腰紐で冴子の手首を縛りたいという衝動が頭をもたげたのだけれど、今回はスルーする事にした。
代わりに身体を屈めて冴子の花弁の割れ目に偽竿を突っ込みながら、冴子の乳首を継続して舐め回した。

「…あ、あ…っ」

はだけた赤い襦袢の上で、私の生み出す動きとは別種の動きで冴子の腰が跳ね回る。
半ば私に抑え込まれているので自由に動かせる訳ではないだろうけど、それでも抑え切れないように、何かから逃げるように冴子の身体は揺れた。

「…気持ちいい?」

乳首から顔を離して、冴子の顔にぐっと近づき尋ねてみる。

「気持ち、いいです…っ、あ…ん」

「冴子、簡単にイかないでね…イってもいいけど、止めないから」
「は、い…っん…あぁん」

ベッドに肘をついてその先の掌で冴子の胸をまさぐりつつ、冴子の耳や首筋に舌を這わせていると、冴子の手が伸びてきて私のブラウスをはだけさせ下着も緩められた。

「あ、はぁ…お姉さまだって」
「?」
「その恰好も、してる事も…見てるだけでもすごく興奮します」

冴子は私が割とかっちりした服装をしている所を好むようだけど、今もそういう事なのだろうか。
言う側の冴子の方がよほど、問題にするべきぐらいにいやらしい姿をしていると言うのに。

抗議の意味合いも込めて冴子を一瞥するが、そういう視線をよこされる事もまた、冴子には性的興奮の材料になるようだと、冴子本人から聞かされて知ったのは出会ってからかなり経ってからの事だ。

相手を興奮させるという点に関しては、今の冴子は--本人としては不本意だろうけど、こちらが軽く苛立つぐらいに度を越している訳で。
それらも全てわかった上で、冴子は私に「好きなように」させる事を望むのである。

「…冴子が上になって、自分で入れて」
「…はい」

態勢を入れ替えた時にまた私は軽く後悔する。
さっき当てられた時と同じように、冴子が真昼の庭園を透かした窓を背に、こちらに向く恰好になっている事に気付いたからだ。

せっかくある程度コントロールできると思った所だったのに、私は何故か愕然とした。

それでも冴子は従順に、襦袢を羽織った恰好のままで私の腰をまたいで自らの膣内に偽竿を沈めていく。

私の方は紛れを求めて、冴子の意図しないタイミングで腰を突き上げたりしながら、とにかく冴子の反応に意識を集中するようにした。

「あ、あ……っん」

冴子が「どうですか」と襦袢を羽織って私ににじり寄って来た時よりはるかに危機感を覚えた。
私の繰り出す腰の動きに合わせて、当たり前だけど冴子の身体も、それに沿うようにある襦袢も揺れる。
揺れる襟の隙間から、冴子の胸の谷間やら、場合によってはその先端までが時折見え隠れするのは本気でじっと見続けてはいられない気になり、私は思わず目を細めていた。

「ん、あんっ」

今確かに冴子の膣内に偽竿を入れて動かしているのは自分であるはずなのに、この光景に加担しているのが自分である気が全くしない。
既視感とは逆の、現実感のなさに私は困惑しながらも、他にどうする事もできなくて、冴子の乱れる様子をじっと眺める事しかできなかった。

…これが自分の作り出している光景なのだと確かめる意味も込めて、激しく冴子の内部を穿てば冴子の身体は大きく跳ねて、羽織っているだけの襦袢から肩先が露出する。
そこからはもう制御がきかなくなってしまい、私は冴子の手首を握ってその上半身をこちらに引き寄せた。

倒れ込んできた冴子の身体をがっちりホールドして、腰を激しく使う。

「んぁ、あん…そこは…っあ」

助けを求めるように冴子が私の首にしがみついて来た時、冴子の真っすぐな黒髪が私の頬にかかった。
それが刷毛のように私の鼻先や首筋をくすぐってくるのは意図しての事ではないにせよ、今の私にはそれさえも挑発のように感じられて、理由もなく「負けるものか」と鼓舞させられる。

「…これもいいの?冴子」
「…ん、あはぁ、ん…いいですっ」

わかっているのに何度も言わせるのは趣味が悪いと思いながらも、どうしても冴子にそれを言わせたくて仕方なくなっている。
…本当に感じる事にのみ集中している時の冴子は、聞かなくたって自分から、そんな言葉を連発するのを私はもう知っているからだ。

「そう…いやらしいわね」

言いながら、どっちがだよと自分に突っ込んでしまいそうになるのだが。
冴子は喘ぎながら、恨めしそうに私の方をちらりと見て、それから甘えた調子でうめきながら私の耳や首筋にぺろりと舌を這わせてきた。

相変わらず腰は激しく動いて冴子の膣内を執拗に擦り立てているけれど、私は冴子のそんな愛撫のお返しにと言わんばかりに冴子の背中やお尻を、丁寧に撫でまわしてやった。
直にではなく、しっかりとした正絹の襦袢を通しての愛撫だから、いつも以上にそれは柔らかく冴子の肌に伝わっている事だろう。

冴子が気持ち良さそうに「んん」とうめいて身体をよじる。
けれども私の身体から離れようとはしないのが良い。

密着した下半身には冴子がこぼす愛蜜が垂れ落ちてきていて、冴子の昂ぶりを確実に伝えてきている。

「冴子」

言いながら顔を向けると、冴子は自分から唇を重ねてきた。
待ち切れないといった様子で私の唇を食み舌を絡ませてくるのがとてつもなくいやらしくて、私の身体からも力が抜けてしまいそうになる。

冴子のうめき声が私の口内に吸い込まれて行き、代わりに鼻にかかった甘い吐息と、舌を絡ませる時に鳴る水音が小さく、でもものすごく近くに聞こえる。

冴子の方もとろけそうな表情で行為に夢中になっているのだとわかり、私は安堵と共に言いようのない征服欲が満たされる感覚を覚えた。
…だからもっと、冴子を感じさせたくなる。

「……ん…っふぅ…」

油断しきっているであろう冴子の背中を撫でる延長の動きで、私は冴子の羽織っている襦袢の裾を手で跳ね上げた。
一瞬にして冴子のお尻が露出した事を、冴子自身も感覚的に理解している事だろう。

それでも気付かぬふりで私の唇に吸い付いてきているのは、きっと羞恥をごまかすために違いない。

誰にも見られていないはずなのに、冴子は確実に恥ずかしいという感覚を得て身体を硬直させている。

「…嫌?恥ずかしいの?」

ほんの少しだけ唇を離して優しく問いかけるけど、冴子はそれを絶対に肯定などしない。
それをわかっていてまた言わせようとしている自分のあさましさに、いよいようんざりしそうになった。

冴子は小さく首を横に振って「そんな事、ないです」と伏し目がちに答えてまた私にしがみついてくる。
私は改めて冴子の背中に腕を回しながら、一際激しく腰を上下に動かした。

「ひぃぁぁっ」という冴子の甲高い声と共に、冴子の上半身が起き上がろうとする。
けれどもそこは私の腕がしっかり抱えているから、逃げるに逃げられず冴子は激しいピストン運動を身体で受け止める他にない。

私は、空いた片方の手を伸ばして露わになった冴子のお尻をさするように撫でていった。
冴子は観念したように再び私に身体を預け、されるままに膣内を犯される事を受け入れる。
…初めからそれ自体受け入れてはいるのだろうけど、それでもやっぱり絶頂が近くなると、一瞬逃げの姿勢を取りそうになるのは、女の本能なのかもしれない。

「…イっちゃいそうなんでしょ、冴子」
「は、はい…だってこんな…っ、あ、あぁぁっ」

この光景を上から、または冴子のお尻の側からどれだけ見たいと思っているか、冴子は気づいているだろうか。
これを、できる事なら誰かに撮って欲しいと一瞬思ったけど、そうなれば私以外の人間がこれを目にする事になる訳で、そんな事は到底容認できる物ではない。
悔しさのあまり強引に冴子の膣内を穿つ力に制御がきかなくなって、冴子が「あぁぁっ」と声を上げて絶頂しても、しばらく動きを緩める気にはなれなかった。

それでもやっぱり自分の中の欲望は薄れていかないものだから、私は冴子の下から抜け出し、代わりに冴子を四つん這いの恰好にさせる。
羽織った襦袢をお尻まで剥かれた冴子の姿をようやく拝む事ができ、私はほっとしたのも一瞬、思った通りメチャクチャにいやらしいその光景に陶然とした。

絶頂したばかりの冴子の膣内から引き抜いた偽竿は全体にてらてらと濡れ光っており、粘液の一部は先端から雫となって落ちていく勢いだ。
それが本物の男性器のように見えて、雫をこぼすのも惜しいような気持で私は余裕もなく冴子のお尻に手を添えつつ再び偽竿を挿入していく。

「はぁん」と冴子がさきほどとはまた違ったトーンで喘ぐ。

…本当はもう少し眺めてから、何ならちょっとお尻の穴も観察したり指で弄ったり、あるいは花弁を舐めたいとも思っていたはずなのに。
あらゆる思考が一瞬飛んでしまい、こんな焦った感じになってしまったがもう仕方ない。

「また、そんな…っ、激しくされたら…ぁ…」

冴子は枕に半分顔を埋めながら艶のある悲鳴を漏らす。
声がこもり過ぎないように、と思った瞬間、私は思考するのも忘れて冴子の襟の真後ろに伸びる衣紋抜きに手を掛けていた。

衣紋抜きは、肝のの首の後ろの所からきちんと襟が抜けた状態をキープする為のパーツなのだけれど、そこを掴むのは嗜虐的行為かもしれないと躊躇する間を、私は持てなかった。
そんな自分をけっこうな勢いでショックに思いながらも、実際には冴子の襦袢はきっちり着つけている訳ではないのだから、単に襟が引っ張り上げられて襦袢が脱げそうになるだけの事で済んだのは不幸中の幸いとも言えた。

「……」

それでも私が冴子の襦袢の一部を引っ張っているのは冴子にも気付かれるに決まっていて、冴子は緩慢な動きで顔を横に向けてくる。

…こんな風にいきなり挿入するんじゃなくて、色々愛撫してじっくり楽しみたかったのにとか、勢いに任せて衣紋抜きを掴んでしまった事とか、頭の中には「台無し」という言葉が一瞬のうちに駆け巡る。
冴子はそれに気づいていて、そしていつも私が嗜虐的行為に及んでしまったかもしれないと後悔している瞬間を見逃さない。

冴子はほんの少しの間だけ虚無に近い表情を見せていたが、それは長くもたなかったようで、程なく「はぁ」と熱い吐息をこぼした。
そこでようやく私は自身が今している行為を再認識する。
単に衣紋抜きを掴んだだけではなくて、下半身では相変わらず偽竿で冴子を貫いているのだという事を。

私はいたたまれないような気持になりながらもどこか寂しい気がして、冴子の背中に密着するように身体を寄せながら、前に回した手で冴子の胸先を探り当てて指先で弄ぶように弄った。

「…あ、あっ…ん」

冴子が再び高みへと昇っていく。
私は気を取り直して、偽竿の先端が、側面や裏筋が冴子の膣内のどこを擦っているのか、そこに意識を集中させた。
自身の堪え性のなさに辟易しながらも、そんな風になるほど冴子は私を興奮させてくれたのだ。
返す手段はこれ以外にない。

「…お姉さま、また、いっちゃう」

切れ切れに訴える冴子を、自分にできる精いっぱいの優しい笑顔で私は見届けた。
冴子が一際いい反応をする場所を擦って、そして冴子が特に良がる触り方で乳首を愛撫し続ける。

「お姉さま」と何度か口にしてから、冴子はただあんあんと喘いでは「いく」という言葉を小さく叫ぶ。

何度か絶頂したと思われる冴子の身体を抱き止めるように支えてやりながら、苦しいはずの四つん這いの恰好を辞めさせて冴子を仰向けに寝かせると、冴子はそれでも私にしがみついて離れようとしなかった。

キスしたがってるのかな、と思い手探りで偽竿を外して、乱れたブラウスや下着を脱ぎながら冴子の方に顔を向けると、案の定冴子は甘えた調子で私の唇にそっと自身の唇を重ねてきた。

…本当はもっと生々しい感じでしたいくせに。
冴子は遠慮しているのだなとわかり、こちらからあえて前戯並みに激しくキスすると、冴子は驚きつつも喜んでそれに応じた。

どうしても肌と肌を密着させたくなった私は、冴子の襦袢も肩から外して脱がせていく。
するりと身体から脱げ落ちた襦袢を下敷きにして、私と冴子はようやく裸で抱き合い、二度目の交わりに向けて激しく唇を重ねるのだった。
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