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気持ちを自覚してから
First 二(R18)
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交流イベントは無事終了した。
後日スウードから手紙を受け取った。前と同じように直ぐ読んで返事をするように言われ確認する。
『明後日二十二時半○○ホテルにいる。予定が空いているなら来い。追伸 もう一通スウードに聞け。そちらは返事不要』
「了承したと伝えてくれ。あともう一通あるか」
「はい。こちらに」
読んだ手紙を返し、入れ替わりに違う封筒を受け取る。見た目は変わらない封筒だ。
「お返事承りました。では時間三十分前にお迎えに上がればよろしいでしょうか」
「いや、場所は分かるから今回はいい」
「分かりました。七○八号室です。しっかりお伝えしました。それでは失礼致します」
スウードが見えなくなると封筒を開ける。手紙らしきものは入ってないが、写真が入っていた。
ーー写真? 前言ってたやつか!?
一気に期待が膨らみ周囲を確認してから写真を取り出して見る。その写真には座るラーとバニラが写っていた。
ーーいい写真だ。ああ。いい写真。スリットから覗く脚とかセクシーだよな。それはいい。だが……バニラが……スゲー見てくる
ばっちりカメラ目線のバニラ。カメラマンを見ているのだろう。今にも動き出しそうな体勢であり、ラーよりもバニラにフォーカスされている。何より視線が気になり過ぎる。
家に帰ってから改めて見ながら精神をラーに集中させるが、どうしてもバニラが気になる。
「……はあ~~駄目だ。気が散る」
反応しそうもない為、仕方なく諦めることにする。明後日が待ち遠しく思いながら夕飯の買出しに出掛けることにした。
約束の日時になり目的のホテルへ。ホテリエに声を掛けると、ラーから事前に聞いていたらしい支配人がエレベーターへ案内しカードキーを渡してくれる。エレベーターの作動も部屋へ入室するのもそのカードキーが必要になる。エレベーターで昇り、七○八号室の前へ到着するとカードキーを通して解錠し中へ入った。
すると音を聞きつけたラーがやって来る。デザインは違うがバスローブ姿なのは変わらずである。
「支配人はついてきたか」
「いや。エレベーターから一人で上がってきた」
「そうか」
確認直後、扉の前でラーに抱きしめられる。荷物を落としてアレッシュも抱きしめ返した。せっけんやシャンプーの良い香りと温もりがじんわりと伝わってくる。
「三ヶ月ぶり。変わりないか?」
「問題ない」
ハグをして満足したのかラーから離れていきソファへ腰掛ける。
アレッシュは手を洗ってから向かいのソファへ腰掛けた。
「なあ、あの写真」
「お前が所望したから撮った。バニラの元気な様子も見れていい写真だっただろう」
「そうだけどそうじゃねえんだよ……」
「不服か」
「不服だよ。アンタ一人が写ってるのがよかった」
「他にもいくつか撮ったが全てバニラが写っている。なら今度はお前も一緒に写れ」
「そういうのでもなく……というか今普通に撮るのはダメなのか?」
「データが流出する可能性がある」
「はあ~~……」
かなり残念な気持ちで長い溜め息を吐いた。
ーーあの一枚も激レアではあるし、こればっかりは仕方ねえか……
「ああ、そうだ。大使館イベント、カミーラとダーヒーの参加許可ありがとな。中々盛況だった」
「報告は受けている。楽しげに話していたが、お前を困らせたらしいな」
「別に困ってねえんだけどな。まあ無理もないか。子供には刺激的な話だったかもな」
「刺激のある話をしてやった方が二人の為になる。そういった話をしてもらえるのは賛成だ。教養が身に付く。人の体験談というものは書籍以外では中々聞けないものだからな」
「アンタはどうだったんだ? 子供時代」
「どうということはない。前にも話したが、ガルマティンから様々なことを学んだ。毎日が目まぐるしく過ぎ、楽しい思い出などはもう覚えていない」
ーーそうか。体験を聞くような相手はもうその頃にはいなかったのか……
「歴史なんぞどうでもいいが、お前の過去には興味がある」
「ローランの可愛かった頃の話するか?」
「お前がそれを話したいなら構わないが」
「冗談。ガキの頃か。チャンバラばっかやってたな。道場じゃ神童だとか言われて自惚れてた。十歳かそこらでゴード様と会って……ああそうだ、その頃に自分の道を決めたんだった」
ーー話し出すと昔のことをどんどん思い出してくる。楽しかったことも辛かったことも、その影には必ずゴード様がいて……
「……って、なんだよ!?」
「気にするな。続けるがいい」
「気になってそれどころじゃねえよ」
腕を伸ばして胸を鷲掴みされている。夏服で薄着だ。ほぼ素肌を掴まれているような感覚だ。指全体で適度な力加減で揉んでくる。そうされたからといって気持ちがいいわけでもなく、興奮もしない。なんでこうしてくるのか疑問しか湧いてこない。
「お前の胸筋は分厚く弾力がある。なかなかいい。お前とそういう間柄になってから考えていることがある」
「何を?」
「どうしたらお前で興奮しお前を抱けるか」
「その考えは今すぐ取っ払ってもらって大丈夫だ、有り得ねえから」
ーー忘れなくていいとは言ったが、ゴード様の話は聞きたくないってか? だからこんな強引に話を変えたのか? それとも本気で……
考えただけで身震いしてくる。それこそ冗談じゃない。笑えない話だ。
鷲掴んでくる手を掴むと、そのタイミングでソファから立ち上がり近寄ってきた。手の位置が下がっていき、その手は股関に触れる。胸を鷲掴みしていた時よりも優しく、手のひら全体で揉んでくる。
「今回は私がシてやろう」
「はあ!?」
アレッシュの下衣に触れてベルトやボタンを外し、ファスナーを下ろす。ラーがしゃがんで自分の股関の前にいるという光景が信じられない。下着越しに撫でられ続けて硬くなってくると、下着からずらしていき性器を露にさせた。片手で支えながら反対の指で根元から上へ焦らすようになぞられる。
「ふふ、期待しているのか?」
「そりゃあ期待はしてる。けどこういう行為は嫌悪してるんじゃなかったのか」
「そうだな。私は奉仕などしない。だが……お前にならシてやってもいい」
「……!」
裏筋をペロッと一舐めし、先端を舌先でつつくようにチロチロと舐め始めた。滑る舌の感触が心地いい。緩く緩く扱かれながら舌の微弱な刺激にくすぐられ、尚且つラーがその場にいる事実が興奮を増幅させる。
「すごく脈打っているな……硬くなっている」
「俺のチンコのすぐ横にアンタの顔があるってだけでヤベェ。……なあ、しゃぶってみてくれよ」
「……っ」
アレッシュに言われたからなのか、ラーは先端を唇で挟む。ふにふにと優しく挟み、時折口をすぼめて先端だけを丁寧に吸い付いている。
期待よりも弱い刺激に焦れったさが高まってくる。
ーー今までのヤツにもしたこと無いってことだよな? スゲー焦らしてくるな……初めてでがっつくよりはイイが、もう少し刺激してくれても……いや、これはこれで可愛げある。それに見た目がエロい
悶々としながらじっと座っていたが、あまりにも焦れったくてラーの頭を撫でてやる。フワフワな柔らかい髪をすくように触れる。
それに反応して、ラーは睨め上げながら亀頭にしゃぶりついた。口に含んでは離し、また口に含んでと繰り返し顔を動かしている。
ーーうわっエロッ。頭の中エロいしか出てこなくなってきた。それに結構良くなってきた……気持ちいい……
せっかく気持ちよくなってきたところだったが、ラーは口を離して不満げな顔をする。
「……ふっ……ぅ……、なんて疲れる行為だ」
「もう……終わりか?」
「……顎が疲れた」
「抵抗感もあるだろうし、初めてにしてはまあまあ良かったんじゃねえの?」
「む……」
やはり凄く不満げな顔だ。不機嫌というより悔しいのだろう。そんな顔をされると無理矢理にでも口に突っ込んでやりたい衝動が沸々と湧いてくる。しかしそんなことをしたら一生してもらえなくなりそうだからと堪えた。
「……向こうに行くぞ」
顎や首を擦りながら立ち上がりベッドに移動していく。そしてバスローブを脱いだ。
「ノーパンだと!?」
脳が理解する前に視覚情報がそのまま声に出ていた。それ程即座に反応した。
バスローブの下は裸で、下半身に目を向けると勃起している性器が目に飛び込んでくる。
「チンコ舐めて勃たせてるとかエロいな! それともノーパンだったからバスローブに擦れて……どっちもエロい」
「阿呆。そのような感想はいい。お前はここに寝ろ」
「へーい」
汗をかくだろうと思い上衣を脱いでからベッドの上で寝転ぶ。するとラーが下腹部に跨がって性器を握ってきた。
「元よりお前を抱こうとは考えていない。それよりこちらで可愛がってやる」
「ちょ、ちょっと待て! いきなりじゃ入らねえだろ!? ゴムも着けてねえし!」
アレッシュの制止を無視して身体を浮かせ、後孔に性器を押し当てる。
確認していないが濡れているのが分かる。ラーが身体を前後に動かしてグリグリと当て続け次第に呑まれていく。その様子を眺めて、このまま続けていいのか、抜くべきなのか葛藤するがそんなことを考えている間にラーは好き勝手に動く。
「……痛くねえか?」
「この為に十分慣らしておいた」
始めからどうするか決めていたようだ。フェラチオすることも、今こうして騎乗位ですることも。ラーは主導権を握れる騎乗位が好きらしい。
アレッシュもラーの身体を思う存分見られるので嫌いではない。どんな体位だって気持ち良ければそれでいいのだ。
クチャ、クチャ、と音を鳴らしながら前屈みで浅く出し入れさせている。腸壁の抵抗が少なくなり、挿入がスムーズになってくると上下する動きも大きくなる。その際、性器も上下に揺れる度にアレッシュの腹にぺちんと当たる。そんな刺激さえも興奮させる。今まで挿れるのにさえ苦労していたというのに、今日は既に半分以上嵌まっている。
「ふぅーっ…………ふぅーっ……」
「……どうした? 息が……荒いな」
「……気持ちいいんだよ」
「ふふ……これはどうだ」
「っ……!」
手を後ろにつき、仰け反り大股を開きながら股関を見せつけるようにして小刻みに動く。その姿は淫猥で、視覚情報がエロ一色に染まる。
ラーも興奮しているが、アレッシュはそれ以上に興奮している。
ーー腰の動きもチンコが出し入れされてるのも見えるし、マニスのデケーのが大暴れしてるのクッソエロい!!
「ふっ……あっヤッベ……、っ……出る……!」
興奮度合いが最高潮に達し、先程のフェラチオが効いたのか我慢することが出来ない。避妊具を着けておらずそのまま中出しした。
中のモノやビクつくアレッシュの反応に気を良くしたラーは、身体を起こして性器を抜きニッコリと笑っている。後孔からはトロリと白濁した液体が漏れてきている。
「そんなにヨかったか? 私の身体は」
「……お蔭様でこんなザマだ。腹壊しても知らねえぞ」
「お前は私の痴態を見ると異様に興奮するな」
「そりゃ相手の痴態見たら誰だって興奮するだろ。アンタはエロ過ぎ」
ラーは上機嫌だが、アレッシュは自嘲気味な口調で拗ねた顔をしている。だがそんなのは一瞬だった。下衣と下着も脱ぎ、ラーを押し倒して自分の性器を扱くとまた勃起した。
「心配するな。今度はコレで掻き出してやるよ」
「……回復の早いヤツめ」
ジト目で睨んでも今のアレッシュはそれに対して反応することはない。ただラーの中に己を挿入するだけ。ほとんど抵抗感の無くなった後孔は挿入するとそれを待っていたかのようにねっとりと吸い付いてくる。
「はぁっ、……んぅ……っ」
「エロい腰振りしてチンコ振り回して誘ってたんだろ? お望み通りやるよ!」
「んんッ、……あ、アッ、アルッ、ゆっくり……!」
「こういうのイイんだろ?」
しっかりと奥深くまで挿入し、それから引き抜く。中から出した精液が溢れてきて、その滑りを利用してまた深くまで挿入する。素早い律動を繰り返すと後孔は溢れた精液で泡立っている。
強く収縮を繰り返す腸壁はただアレッシュを悦ばせるばかり。自ら腰を振っていた際、主導権は握っていたが気持ちよくなっていたのか、性器の先から先走りをどんどん溢れさせてびくびくと震えている。
「はぅ、んんっ、ンッ……イ、イ、くッ……!」
ラーも我慢が出来なくなり、身体を震わせながら達した。褐色の腹や胸が濁った白で汚れる。
ラーが達してもアレッシュの動きは止まらない。
「はっ、激しっ……はぁっ、あッ」
「ヨかったみてえだな。じゃ、体位変えて続けようぜ」
正常位から片膝を曲げて横にし、片腕を持って側臥位で。ベッドの端に寄ってより動きやすく正常位でしたりと、まだまだ二人の交わりは続いた。
三十分後。少々ご立腹なラーがベッドに寝転がりながら文句を垂れている。その隣でアレッシュは座っている。
「加減しろと言っているのに、お前には0か百しか無いのか」
「そこまで単純じゃねえよ。激しいのが嫌ならあんな煽るようなことしなければいいだろ?」
「煽らないと興奮しないだろう。それに焦れったい」
焦れすのは嫌、激しくするのも駄目。難しい注文だとアレッシュは頭を悩ませる。
「興奮するということは、それだけ気分が昂るということだ。せっかくの機会なのだから気分良くセックスしたい」
「それには同意だ。けどな、気分だけ昂っても身体は準備出来てねえ。今回は平気だったが、いくらケツ解してあっても身体は十分に温まってねえし、強ばりだってある。それで怪我させたら嫌なんだよ。だから無理はするな」
真剣に話す声を聞いて、仰向けだったラーはアレッシュに顔を隠すように横を向いた。返す言葉も無いようだ。
アレッシュも横になり、ラーのうなじに口付ける。
「でも気持ち良かったし、めちゃくちゃエロかったし……控えめに言っても最高だった」
そう言った途端にぐるりと身体を反転させて顔を合わせた。どう見てもドヤ顔である。
ーーこういうところは可愛いんだよな……
「あ、フェラはもうちょっと積極的にやってくれていいぜ。なんなら今やってやろうか、お手本」
「やらんでいい」
「なんだよ、俺の上手いって言ってただろ」
「今はいい。他で学ぶ」
「はあ? 他ってなんだよ!?」
「他は他だ。それ以上は答えない」
ラーはすぐにいつもの無愛想な顔に戻り、起き上がってシャワールームへ行ってしまった。
残されたアレッシュはモヤモヤした感情を拭いたかったが聞く相手がいなくなってしまってどうにもならず、不貞寝を決め込むことにした。
後日スウードから手紙を受け取った。前と同じように直ぐ読んで返事をするように言われ確認する。
『明後日二十二時半○○ホテルにいる。予定が空いているなら来い。追伸 もう一通スウードに聞け。そちらは返事不要』
「了承したと伝えてくれ。あともう一通あるか」
「はい。こちらに」
読んだ手紙を返し、入れ替わりに違う封筒を受け取る。見た目は変わらない封筒だ。
「お返事承りました。では時間三十分前にお迎えに上がればよろしいでしょうか」
「いや、場所は分かるから今回はいい」
「分かりました。七○八号室です。しっかりお伝えしました。それでは失礼致します」
スウードが見えなくなると封筒を開ける。手紙らしきものは入ってないが、写真が入っていた。
ーー写真? 前言ってたやつか!?
一気に期待が膨らみ周囲を確認してから写真を取り出して見る。その写真には座るラーとバニラが写っていた。
ーーいい写真だ。ああ。いい写真。スリットから覗く脚とかセクシーだよな。それはいい。だが……バニラが……スゲー見てくる
ばっちりカメラ目線のバニラ。カメラマンを見ているのだろう。今にも動き出しそうな体勢であり、ラーよりもバニラにフォーカスされている。何より視線が気になり過ぎる。
家に帰ってから改めて見ながら精神をラーに集中させるが、どうしてもバニラが気になる。
「……はあ~~駄目だ。気が散る」
反応しそうもない為、仕方なく諦めることにする。明後日が待ち遠しく思いながら夕飯の買出しに出掛けることにした。
約束の日時になり目的のホテルへ。ホテリエに声を掛けると、ラーから事前に聞いていたらしい支配人がエレベーターへ案内しカードキーを渡してくれる。エレベーターの作動も部屋へ入室するのもそのカードキーが必要になる。エレベーターで昇り、七○八号室の前へ到着するとカードキーを通して解錠し中へ入った。
すると音を聞きつけたラーがやって来る。デザインは違うがバスローブ姿なのは変わらずである。
「支配人はついてきたか」
「いや。エレベーターから一人で上がってきた」
「そうか」
確認直後、扉の前でラーに抱きしめられる。荷物を落としてアレッシュも抱きしめ返した。せっけんやシャンプーの良い香りと温もりがじんわりと伝わってくる。
「三ヶ月ぶり。変わりないか?」
「問題ない」
ハグをして満足したのかラーから離れていきソファへ腰掛ける。
アレッシュは手を洗ってから向かいのソファへ腰掛けた。
「なあ、あの写真」
「お前が所望したから撮った。バニラの元気な様子も見れていい写真だっただろう」
「そうだけどそうじゃねえんだよ……」
「不服か」
「不服だよ。アンタ一人が写ってるのがよかった」
「他にもいくつか撮ったが全てバニラが写っている。なら今度はお前も一緒に写れ」
「そういうのでもなく……というか今普通に撮るのはダメなのか?」
「データが流出する可能性がある」
「はあ~~……」
かなり残念な気持ちで長い溜め息を吐いた。
ーーあの一枚も激レアではあるし、こればっかりは仕方ねえか……
「ああ、そうだ。大使館イベント、カミーラとダーヒーの参加許可ありがとな。中々盛況だった」
「報告は受けている。楽しげに話していたが、お前を困らせたらしいな」
「別に困ってねえんだけどな。まあ無理もないか。子供には刺激的な話だったかもな」
「刺激のある話をしてやった方が二人の為になる。そういった話をしてもらえるのは賛成だ。教養が身に付く。人の体験談というものは書籍以外では中々聞けないものだからな」
「アンタはどうだったんだ? 子供時代」
「どうということはない。前にも話したが、ガルマティンから様々なことを学んだ。毎日が目まぐるしく過ぎ、楽しい思い出などはもう覚えていない」
ーーそうか。体験を聞くような相手はもうその頃にはいなかったのか……
「歴史なんぞどうでもいいが、お前の過去には興味がある」
「ローランの可愛かった頃の話するか?」
「お前がそれを話したいなら構わないが」
「冗談。ガキの頃か。チャンバラばっかやってたな。道場じゃ神童だとか言われて自惚れてた。十歳かそこらでゴード様と会って……ああそうだ、その頃に自分の道を決めたんだった」
ーー話し出すと昔のことをどんどん思い出してくる。楽しかったことも辛かったことも、その影には必ずゴード様がいて……
「……って、なんだよ!?」
「気にするな。続けるがいい」
「気になってそれどころじゃねえよ」
腕を伸ばして胸を鷲掴みされている。夏服で薄着だ。ほぼ素肌を掴まれているような感覚だ。指全体で適度な力加減で揉んでくる。そうされたからといって気持ちがいいわけでもなく、興奮もしない。なんでこうしてくるのか疑問しか湧いてこない。
「お前の胸筋は分厚く弾力がある。なかなかいい。お前とそういう間柄になってから考えていることがある」
「何を?」
「どうしたらお前で興奮しお前を抱けるか」
「その考えは今すぐ取っ払ってもらって大丈夫だ、有り得ねえから」
ーー忘れなくていいとは言ったが、ゴード様の話は聞きたくないってか? だからこんな強引に話を変えたのか? それとも本気で……
考えただけで身震いしてくる。それこそ冗談じゃない。笑えない話だ。
鷲掴んでくる手を掴むと、そのタイミングでソファから立ち上がり近寄ってきた。手の位置が下がっていき、その手は股関に触れる。胸を鷲掴みしていた時よりも優しく、手のひら全体で揉んでくる。
「今回は私がシてやろう」
「はあ!?」
アレッシュの下衣に触れてベルトやボタンを外し、ファスナーを下ろす。ラーがしゃがんで自分の股関の前にいるという光景が信じられない。下着越しに撫でられ続けて硬くなってくると、下着からずらしていき性器を露にさせた。片手で支えながら反対の指で根元から上へ焦らすようになぞられる。
「ふふ、期待しているのか?」
「そりゃあ期待はしてる。けどこういう行為は嫌悪してるんじゃなかったのか」
「そうだな。私は奉仕などしない。だが……お前にならシてやってもいい」
「……!」
裏筋をペロッと一舐めし、先端を舌先でつつくようにチロチロと舐め始めた。滑る舌の感触が心地いい。緩く緩く扱かれながら舌の微弱な刺激にくすぐられ、尚且つラーがその場にいる事実が興奮を増幅させる。
「すごく脈打っているな……硬くなっている」
「俺のチンコのすぐ横にアンタの顔があるってだけでヤベェ。……なあ、しゃぶってみてくれよ」
「……っ」
アレッシュに言われたからなのか、ラーは先端を唇で挟む。ふにふにと優しく挟み、時折口をすぼめて先端だけを丁寧に吸い付いている。
期待よりも弱い刺激に焦れったさが高まってくる。
ーー今までのヤツにもしたこと無いってことだよな? スゲー焦らしてくるな……初めてでがっつくよりはイイが、もう少し刺激してくれても……いや、これはこれで可愛げある。それに見た目がエロい
悶々としながらじっと座っていたが、あまりにも焦れったくてラーの頭を撫でてやる。フワフワな柔らかい髪をすくように触れる。
それに反応して、ラーは睨め上げながら亀頭にしゃぶりついた。口に含んでは離し、また口に含んでと繰り返し顔を動かしている。
ーーうわっエロッ。頭の中エロいしか出てこなくなってきた。それに結構良くなってきた……気持ちいい……
せっかく気持ちよくなってきたところだったが、ラーは口を離して不満げな顔をする。
「……ふっ……ぅ……、なんて疲れる行為だ」
「もう……終わりか?」
「……顎が疲れた」
「抵抗感もあるだろうし、初めてにしてはまあまあ良かったんじゃねえの?」
「む……」
やはり凄く不満げな顔だ。不機嫌というより悔しいのだろう。そんな顔をされると無理矢理にでも口に突っ込んでやりたい衝動が沸々と湧いてくる。しかしそんなことをしたら一生してもらえなくなりそうだからと堪えた。
「……向こうに行くぞ」
顎や首を擦りながら立ち上がりベッドに移動していく。そしてバスローブを脱いだ。
「ノーパンだと!?」
脳が理解する前に視覚情報がそのまま声に出ていた。それ程即座に反応した。
バスローブの下は裸で、下半身に目を向けると勃起している性器が目に飛び込んでくる。
「チンコ舐めて勃たせてるとかエロいな! それともノーパンだったからバスローブに擦れて……どっちもエロい」
「阿呆。そのような感想はいい。お前はここに寝ろ」
「へーい」
汗をかくだろうと思い上衣を脱いでからベッドの上で寝転ぶ。するとラーが下腹部に跨がって性器を握ってきた。
「元よりお前を抱こうとは考えていない。それよりこちらで可愛がってやる」
「ちょ、ちょっと待て! いきなりじゃ入らねえだろ!? ゴムも着けてねえし!」
アレッシュの制止を無視して身体を浮かせ、後孔に性器を押し当てる。
確認していないが濡れているのが分かる。ラーが身体を前後に動かしてグリグリと当て続け次第に呑まれていく。その様子を眺めて、このまま続けていいのか、抜くべきなのか葛藤するがそんなことを考えている間にラーは好き勝手に動く。
「……痛くねえか?」
「この為に十分慣らしておいた」
始めからどうするか決めていたようだ。フェラチオすることも、今こうして騎乗位ですることも。ラーは主導権を握れる騎乗位が好きらしい。
アレッシュもラーの身体を思う存分見られるので嫌いではない。どんな体位だって気持ち良ければそれでいいのだ。
クチャ、クチャ、と音を鳴らしながら前屈みで浅く出し入れさせている。腸壁の抵抗が少なくなり、挿入がスムーズになってくると上下する動きも大きくなる。その際、性器も上下に揺れる度にアレッシュの腹にぺちんと当たる。そんな刺激さえも興奮させる。今まで挿れるのにさえ苦労していたというのに、今日は既に半分以上嵌まっている。
「ふぅーっ…………ふぅーっ……」
「……どうした? 息が……荒いな」
「……気持ちいいんだよ」
「ふふ……これはどうだ」
「っ……!」
手を後ろにつき、仰け反り大股を開きながら股関を見せつけるようにして小刻みに動く。その姿は淫猥で、視覚情報がエロ一色に染まる。
ラーも興奮しているが、アレッシュはそれ以上に興奮している。
ーー腰の動きもチンコが出し入れされてるのも見えるし、マニスのデケーのが大暴れしてるのクッソエロい!!
「ふっ……あっヤッベ……、っ……出る……!」
興奮度合いが最高潮に達し、先程のフェラチオが効いたのか我慢することが出来ない。避妊具を着けておらずそのまま中出しした。
中のモノやビクつくアレッシュの反応に気を良くしたラーは、身体を起こして性器を抜きニッコリと笑っている。後孔からはトロリと白濁した液体が漏れてきている。
「そんなにヨかったか? 私の身体は」
「……お蔭様でこんなザマだ。腹壊しても知らねえぞ」
「お前は私の痴態を見ると異様に興奮するな」
「そりゃ相手の痴態見たら誰だって興奮するだろ。アンタはエロ過ぎ」
ラーは上機嫌だが、アレッシュは自嘲気味な口調で拗ねた顔をしている。だがそんなのは一瞬だった。下衣と下着も脱ぎ、ラーを押し倒して自分の性器を扱くとまた勃起した。
「心配するな。今度はコレで掻き出してやるよ」
「……回復の早いヤツめ」
ジト目で睨んでも今のアレッシュはそれに対して反応することはない。ただラーの中に己を挿入するだけ。ほとんど抵抗感の無くなった後孔は挿入するとそれを待っていたかのようにねっとりと吸い付いてくる。
「はぁっ、……んぅ……っ」
「エロい腰振りしてチンコ振り回して誘ってたんだろ? お望み通りやるよ!」
「んんッ、……あ、アッ、アルッ、ゆっくり……!」
「こういうのイイんだろ?」
しっかりと奥深くまで挿入し、それから引き抜く。中から出した精液が溢れてきて、その滑りを利用してまた深くまで挿入する。素早い律動を繰り返すと後孔は溢れた精液で泡立っている。
強く収縮を繰り返す腸壁はただアレッシュを悦ばせるばかり。自ら腰を振っていた際、主導権は握っていたが気持ちよくなっていたのか、性器の先から先走りをどんどん溢れさせてびくびくと震えている。
「はぅ、んんっ、ンッ……イ、イ、くッ……!」
ラーも我慢が出来なくなり、身体を震わせながら達した。褐色の腹や胸が濁った白で汚れる。
ラーが達してもアレッシュの動きは止まらない。
「はっ、激しっ……はぁっ、あッ」
「ヨかったみてえだな。じゃ、体位変えて続けようぜ」
正常位から片膝を曲げて横にし、片腕を持って側臥位で。ベッドの端に寄ってより動きやすく正常位でしたりと、まだまだ二人の交わりは続いた。
三十分後。少々ご立腹なラーがベッドに寝転がりながら文句を垂れている。その隣でアレッシュは座っている。
「加減しろと言っているのに、お前には0か百しか無いのか」
「そこまで単純じゃねえよ。激しいのが嫌ならあんな煽るようなことしなければいいだろ?」
「煽らないと興奮しないだろう。それに焦れったい」
焦れすのは嫌、激しくするのも駄目。難しい注文だとアレッシュは頭を悩ませる。
「興奮するということは、それだけ気分が昂るということだ。せっかくの機会なのだから気分良くセックスしたい」
「それには同意だ。けどな、気分だけ昂っても身体は準備出来てねえ。今回は平気だったが、いくらケツ解してあっても身体は十分に温まってねえし、強ばりだってある。それで怪我させたら嫌なんだよ。だから無理はするな」
真剣に話す声を聞いて、仰向けだったラーはアレッシュに顔を隠すように横を向いた。返す言葉も無いようだ。
アレッシュも横になり、ラーのうなじに口付ける。
「でも気持ち良かったし、めちゃくちゃエロかったし……控えめに言っても最高だった」
そう言った途端にぐるりと身体を反転させて顔を合わせた。どう見てもドヤ顔である。
ーーこういうところは可愛いんだよな……
「あ、フェラはもうちょっと積極的にやってくれていいぜ。なんなら今やってやろうか、お手本」
「やらんでいい」
「なんだよ、俺の上手いって言ってただろ」
「今はいい。他で学ぶ」
「はあ? 他ってなんだよ!?」
「他は他だ。それ以上は答えない」
ラーはすぐにいつもの無愛想な顔に戻り、起き上がってシャワールームへ行ってしまった。
残されたアレッシュはモヤモヤした感情を拭いたかったが聞く相手がいなくなってしまってどうにもならず、不貞寝を決め込むことにした。
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SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
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※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
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