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2019/07/26 2本目

まとめサイトの下請け「クライアントとの相性は大事だよ」(2020/10/21 改)

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 作業を受注したクライアントは二年で四人『タスク(一回限りの仕事)を除く』。

 クライアントとの相性は、作業を長く続けるうえで、やはり重要になってくる。やり取りするうちに、お互いに長く続けられそうかどうかは徐々にわかってくる。
 最初のクライアントAさんと4人目のクライアントDさんとはそれぞれ1年弱関わった。この二人を軸に途中で平行して短期的に関わったのがBさんとCさんだった。

 AさんとDさんという二人のクライアントは作業で必要な質問などのレスポンスが早かった。私にとって大事な相性の一つはレスポンスの良さだった。

 クライアントのCさんは連絡が遅くて、私とは全然合わなかった。記事を作成してチェックをお願いしても、返答に二日かかる。しかも返答が修正要請なのだ。即修正して返答を待つまで再び二日ほどかかった。
 Cさんの募集の記事単価は高かったので月に十記事以上仕上げる気満々で挑んだ。しかし、いくら記事を早く仕上げても修正付きの返信に二日かかれば、記事作成がはかどるはずはない。
 そこで、募集時の内容に気が付く。月五記事「以上」書いていただきたいとあった意味を知る。Cさんは月五記事のペースを崩さなかった。支払う予算をきっちり決めていたのだと後で思った。
 ならば、がんばった成果に報いるなどと、やる気を煽るような募集文言は控えて欲しかった。

 Cさんと仕事をしてわかった教訓は、「月に五記事で余裕を持って文章作成できます」というような表現は、「それしか支払う予算ないので了承してね」という意味だ。それ以上出す気ないので、いくら早く記事を作成しても、返信を遅くして「調整」しているわけだ。
 記事をバンバン更新したい発注者は受注側に、やり取りの早さを欲しがるのが一般的である。ゆえに発注側の応答が遅いのは、予算組んでそのペースに合わせることを暗に要求していると考えていい。
 すきま時間にゆっくりやりたいという人には、ペースが合う人もいるだろう。私とは相性が合わなかっただけだ。
 エンタメ系『映画、ドラマ記事含む』の募集は、記事はいくらでも書いていいというスタンスが多い。平日の日中がっつり作業したい私には、記事数を稼ぎたかったので、一週間に一記事作成するやり取りは、あまりにも待ち時間が長すぎた。

 クライアントのBさんは、レスポンスは早かったし、修正要求もなかった。単価もそこそこ高かった。一週間ごとの契約だったが
「来週もお願いできますか」
「よろしくお願いします」
 というのを毎週繰り返していた。ところが、ある週末
「今回はこれで終わりです、ありがとうございました」
 で作業は突然終了した。めちゃくちゃ事務的。いきなり終わりと言われて、次の週も予定組んでいたから、こけそうになった。まぁ、それがフリーランスで作業するってことなのだよなぁ。
 後で知ったことだが、Bさんから発注された案件は、ほぼ全て受注側が嫌うテーマだった。何も文句言わない私がホイホイ受注していたようだ。
 
 ここから、いきなりだが「虫」嫌いな人は、心構えしてな。
 具体的に言うと「害虫対策」が主なテーマで、調べていると虫の写真がわんさか出てくるんだな。検索終わったあとも、害虫駆除の広告がネットの画面をしばらく流れるということになる。虫が苦手な受注側が断る案件なのも納得だわな。 私は虫の写真には耐性があったので淡々と記事を作成していたわけだ。
 しばらくして再びBさんから打診されたが断った。どうせ、他の作業者が嫌がった「残りかす」が、たまってきたから、やらせようとしているのだろう、と思ったからだ。自分の信念に基づき、テーマを絞っているのだから、受注した案件には一生懸命取り組んだ。だからこそ、相性が悪くもなく淡々とやり取りできるBさんの再打診は、心が揺れたし、おそらく私になら書ける記事だと思ったが、ゴミ箱みたいに扱われている気がしたので断った。
 ちなみに害虫の記事は化学的な内容を含むので、かなり調べこんだし、虫のことを少し知ることもできたし、学びもあった。調べているうちに、害虫と括られているけれど「見た目が気持ち悪い」だけで害虫扱いされる「不快害虫」なる言葉にぶつかった時は記事作成中にも関わらず、考えこんでしまった。「不快害虫」という言葉は、記事作成で知った言葉だし、学べたことを否定はしない。
 それでも、自分には文章作成に誇りとかなりの自尊心があったみたいだ。人が嫌がって書かない記事を書く「便利な文章書き」という括りに入れられるのが我慢できなかったんだな。
 多分、「他の人が書くのが苦手な内容だが、記事として有用だから、書いてくれる人に頼みたい」みたいな言葉があれば、受けていたかもなと思う。うーーん、理解されにくい感情かな。
 心がまえはここで終了。

 私が断った理由は、まぁひねくれた自尊心ゆえ、ということでスルーして。言いたかったことは、多少、報酬高くても、受注側が断るような記事のテーマがあるということだ。
 医療とつながりかねない美容系のテーマは、受注側が躊躇怖せずに書くことが多いのにと思うと、受注側に対しても私は複雑な気持ちになった。

 四人目のDさんで初めて相性のいいクライアントと出会ったと私は感じた。
 ゴシップと美容系の記事は書きたくないこと、画像の用意もいらないこと、私のペースに合わせてテーマを用意するという条件を全て了解してくれて、しかも反応が早かった。
 とにかく発注されたキーワードが書きやすい。一記事二千字でいいというのだ! うそ、三千字以上なくていいの? と驚いた。
 最初のクライアントAさんの難度の高いキーワードや細かなルールと比較すると、ほぼ気にしないで書いてくれていいとのこと、下調べ込で3時間あれば二千字の記事はを毎日一記事納品するペースが出来上がった。
 ついでに、私の書いた記事を面白いとまで言ってくれた。
「記事できてチェックするのが楽しい」
 嬉しかったな。

 修正もないどころか、途中から「修正確認の打診は不要」とまで言ってくれたクライアントDさんとは長く付き合いたいと心から思った。Aさんの要求が高すぎだったんだなと、ここで気が付いた。同時にDさんと気持ちよく付き合えるのは、Aさんと作業をして鍛えられたからだろうとは思う。
 Aさんの発注は、自分的には難易度の高いキーワードで報酬は月五千円ほどに落ち込んでいたが、Dさんからの受注を開始して月一万円ほどになった。
 作業時間も半分ですみ、報酬もほぼ倍になった。欲をいえば、月一万五千円ほどになれば嬉しいなとおもいながら、作業をこなしていた。人間、欲が満たされることがない生き物なんだな。
 無論、Dさんとの作業に報酬以外の不満は一切これっぽっちもなかったから、辞める気はサラサラなかった。

 でも作業は終了した。個人クライアントだったので、クライアントの事情でブログ運営から撤退するとのことだった。
 相性がよく、作業分量もちょうどよく……ネットリテラシーもあるクライアントだったが、個人クライアントと付き合うというのは、こういうこともしょっちゅうあるということだ。

 あまりに相性がよかったので、新しいクライアント探す気力もわかず、唯一残念だった報酬はそれでも、がんばって上げてくれていたので、次のクライアントを探す気力が出てこなかった。

 それでも一つだけライター募集しているところに打診したのだ。
 グーグル検索で下調べしていてトップページでよく見かけるサイトだった。悩んだけれど思いきって応募したが、返事が遅い。おそらくグーグル検索さんに評価されてトップページに颯爽と表示されて、事業の拡大に忙しいようだ。
 トップライターが中心にいて複数のライターでバンバン記事を更新しているサイトだった。
 テスト記事を送るように指示されて送付して何も返事も返ってこなかった。たぶん、きっぱり断らないで放置しておこうと思っているのではないか? ライターが足りなくなったら、声かけるストックなのかもしれない。ちなみにテスト記事を転用された形跡はない。そういう姑息な手段でトラブルのも邪魔なほど景気は良かったのだろうな(ライターに応募した当時は。今は知らん)。
 こういうクライアントと相性があうとは思えなかった。返答をせかすことなく、私も放置しておこう。連絡来ないとは思うが、連絡きたら断るつもりだ、たくさんストックありそうだし、そっち当たってくれ。
 そう思いながら一年以上経過した。何の連絡もない。まぁ、その程度の実力しかなかったんだな、自分は。
 Aさんタイプの発注者だとも薄々感じていたから、縁がなかったのは良かったのだと思う。作業開始していたら、苦しくて今度は契約途中で逃げ出すような羽目になっていたかもしれないとも思うのだ。

 クライアントと長く付き合うためには、相性もやはり大切である。それがネットを通した文字だけの付き合いでも、相性はあるのだなとしみじみ思う。

 そのような変遷の末、作業がなくなったのに、文章を書く習慣ががっつりついた私は、この文章を書いているというわけだ。


(つづく)

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