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5 三度目と二個目(改)
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大樹がワンピースの裾をたくし上げる。
「え、恥ずかしい……」
いつのまにか主導権を握っのは大樹だった。主導権を奪われた麗華は戸惑い、恥ずかしさに顔を紅潮させ視線を背けた。
大樹の手がストッキングにかかった時、ビリッ――ストッキングが縦に破れた。麗華の太モモが破れた隙間から露わになった。
大樹の喉が鳴る。麗華は咄嗟にワンピースを抑え
「ま、待って!」
麗華が叫ぶ。大樹がはっとして身体を離した。
「ごめん、ストッキング破っちゃった」
大樹は落ち着きを取り戻しつつあった。麗華は慌てて続ける。
「いいの、ストッキングなんて。続きは部屋で。あなたに没頭したい」
大樹に誤解させたくなかった。大樹の熱が冷めないように麗華は囁いた。
「デートはおしまい、早く帰ろう?」
麗華が言うと、察した大樹は麗華の手を握り直した。
二人は駆け出した。
部屋に入ると二人は、そのままベッドに倒れこんだ。
走って息があがった状態のまま、休むことなく、大樹は麗華のワンピースをたくし上げ、破れたストッキングから露になった麗華の太ももに唇を当てる。
「んっ」
新しい刺激に麗華のからだもすぐに反応する。大樹はストッキングを手荒に破って、麗華の脚をむき出しにする。太ももから下半身を執拗に攻め続ける。乱れる麗華の耳元で揺れる青いイヤリングが綺麗だ、と大樹は思う。
贈ったイヤリングは、それを身に付けている麗華を占有している象徴のように大樹は感じた。麗華の脚を堪能すると、ワンピースのファスナーを下ろし、麗華を裸に晒した。
馬乗りのなって、麗華の身体を目で楽しむ。イヤリングの青だけが麗華の横で揺れるのが、大樹の欲情をさらに加速させた。
二人が一体になり、喘ぎ声が絡み合い、イヤリングは揺れ続けた。
「ストッキングってエロいんだな。また履いて欲しいな」
ことが落ち着いた後、麗華を抱きしめながら、大樹が言った。
「また、会えるってことでいい?」
麗華が大樹の言葉の言質を取りにいく。
「……うん」
麗華が部屋に来てたった二日で、大樹は麗華に対する気持ちが積極的になっていることを自覚して驚く。
「あ、ストッキングの代金払うから……さ」
「バカ」
麗華は大樹のちょっとズレたところもいいな、と小さく笑った。ストッキングをいっぱい用意しておこう、麗華は思う。大樹の好みなら何枚だって破いて愛して欲しいから。
「好き」
繰り返すフレーズ。麗華が大樹の心に侵入していくためのそれは呪文。
月曜日、仕事のある大樹に合わせて、二人は部屋を出た。
「送れなくてごめん」
「だから、いいって。私は火曜まで有休とってあるんだし、子どもでないんだから」
口づけを交わし、しばしの別れを惜しむ。互いにマスクをして気持ちに区切りをつける。
「週末、待ってるから」
「うん。今度は俺が行く」
ミズシチ市行きのバスに乗り込んだ麗華は、イヤリングをそっと外すとカバンの中にしまいこんだ。いつものガラス製のイヤリングに付け替えて呟いた。
「これは失くせないから、ね」
頭にあったのは、杏奈のことだった。青いイヤリングを失くすことは絶対に避けたかった。
ようやく想いが通じたのだ。大樹がイヤリングをなくしたからと言ってそれを責めるような性格でないことは十分知っている。そうではないのだ、もらったイヤリングをなくしたら、麗華は自分を許せそうになかったのだ。そこまで、大樹を好きなのだ、好き過ぎておかしくなりそうなのだ。
麗華の背中を押してくれたのは杏奈だった。
「そろそろ、会って告白すれば?」
イヤリング紛失事件からしばらくして杏奈が麗華に言ったのだ。
「だって、大樹は私を知らない……」
「好きなんでしょ? 麗華の目は正しいよ、相変わらずいい人やっているし」
杏奈は一旦、様子を伺うと麗華が動くであろうその言葉を放った。
「じゃあ、私が会って伝えるよ? 田舎のネットワークは強力なのは知ってるよね?」
杏奈の口調は強かった。麗華が小さな悲鳴を上げた。
「やめて! 大樹はあなたを引きずっていたんだよ? 『話がある』って言ったら期待するに決まってる」
「かもね」
「わかっているなら、期待させて叩き落すことしないで」
麗華は怒って杏奈に訴えた。
「だから、あんたが動けと言っているの」
杏奈が麗華を見返し、語気を強めた。
「大樹を傷つけたくないなら、麗華、あなたが傷つく覚悟でいくしかないじゃない?」
杏奈の言葉があったから麗華は動いた。ネットの知り合いの『レイカ』を脱却し、宮野麗華として大樹に会う決意を固めたのだ。
「いらっしゃい!」
週末、大樹が麗華の部屋を訪れた。麗華の耳には青いイヤリングが揺れている。待ちきれなかったと、二人はすぐに長い口づけを交わした。
唇を離すと、大樹が麗華の顔に手を優しく添え、指でイヤリングを揺らして言った。
「ずっと付けていて欲しい」
「ぁ」
麗華の顔をなぞり唇で大樹は指をとめる。ふくよかな唇の柔らかさを指で感じながら大樹は柔らかな視線を麗華に向ける。遊んでいるもう一方の手をポケットに突っ込み、握った手を麗華の目の前でぱっと開いた。大樹の手から現れたのは、麗華がしている青いイヤリングと同じ物だった。
「えっ?」
驚きのあまり麗華は言葉が続かない。
「失くしたって、これで大丈夫だろ?」
大樹は続ける。
「杏奈が教えてくれた」
「杏奈?」
「落としてなくすのがいやだって聞いた。話はだいたいわかった。けど」
大樹は麗華をぐっと抱きよせ、青いイヤリングの揺れる麗華の耳元に囁く。
「君の耳に、俺の代わりを置いて欲しいんだ」
麗華は腕を大樹の背中に回し、大樹の抱擁に応えるのが精いっぱいだ。
「君が好きだ」
麗華は震える声を絞り出した。
「その言葉を……聞き……たかっ」
(おわり)
「え、恥ずかしい……」
いつのまにか主導権を握っのは大樹だった。主導権を奪われた麗華は戸惑い、恥ずかしさに顔を紅潮させ視線を背けた。
大樹の手がストッキングにかかった時、ビリッ――ストッキングが縦に破れた。麗華の太モモが破れた隙間から露わになった。
大樹の喉が鳴る。麗華は咄嗟にワンピースを抑え
「ま、待って!」
麗華が叫ぶ。大樹がはっとして身体を離した。
「ごめん、ストッキング破っちゃった」
大樹は落ち着きを取り戻しつつあった。麗華は慌てて続ける。
「いいの、ストッキングなんて。続きは部屋で。あなたに没頭したい」
大樹に誤解させたくなかった。大樹の熱が冷めないように麗華は囁いた。
「デートはおしまい、早く帰ろう?」
麗華が言うと、察した大樹は麗華の手を握り直した。
二人は駆け出した。
部屋に入ると二人は、そのままベッドに倒れこんだ。
走って息があがった状態のまま、休むことなく、大樹は麗華のワンピースをたくし上げ、破れたストッキングから露になった麗華の太ももに唇を当てる。
「んっ」
新しい刺激に麗華のからだもすぐに反応する。大樹はストッキングを手荒に破って、麗華の脚をむき出しにする。太ももから下半身を執拗に攻め続ける。乱れる麗華の耳元で揺れる青いイヤリングが綺麗だ、と大樹は思う。
贈ったイヤリングは、それを身に付けている麗華を占有している象徴のように大樹は感じた。麗華の脚を堪能すると、ワンピースのファスナーを下ろし、麗華を裸に晒した。
馬乗りのなって、麗華の身体を目で楽しむ。イヤリングの青だけが麗華の横で揺れるのが、大樹の欲情をさらに加速させた。
二人が一体になり、喘ぎ声が絡み合い、イヤリングは揺れ続けた。
「ストッキングってエロいんだな。また履いて欲しいな」
ことが落ち着いた後、麗華を抱きしめながら、大樹が言った。
「また、会えるってことでいい?」
麗華が大樹の言葉の言質を取りにいく。
「……うん」
麗華が部屋に来てたった二日で、大樹は麗華に対する気持ちが積極的になっていることを自覚して驚く。
「あ、ストッキングの代金払うから……さ」
「バカ」
麗華は大樹のちょっとズレたところもいいな、と小さく笑った。ストッキングをいっぱい用意しておこう、麗華は思う。大樹の好みなら何枚だって破いて愛して欲しいから。
「好き」
繰り返すフレーズ。麗華が大樹の心に侵入していくためのそれは呪文。
月曜日、仕事のある大樹に合わせて、二人は部屋を出た。
「送れなくてごめん」
「だから、いいって。私は火曜まで有休とってあるんだし、子どもでないんだから」
口づけを交わし、しばしの別れを惜しむ。互いにマスクをして気持ちに区切りをつける。
「週末、待ってるから」
「うん。今度は俺が行く」
ミズシチ市行きのバスに乗り込んだ麗華は、イヤリングをそっと外すとカバンの中にしまいこんだ。いつものガラス製のイヤリングに付け替えて呟いた。
「これは失くせないから、ね」
頭にあったのは、杏奈のことだった。青いイヤリングを失くすことは絶対に避けたかった。
ようやく想いが通じたのだ。大樹がイヤリングをなくしたからと言ってそれを責めるような性格でないことは十分知っている。そうではないのだ、もらったイヤリングをなくしたら、麗華は自分を許せそうになかったのだ。そこまで、大樹を好きなのだ、好き過ぎておかしくなりそうなのだ。
麗華の背中を押してくれたのは杏奈だった。
「そろそろ、会って告白すれば?」
イヤリング紛失事件からしばらくして杏奈が麗華に言ったのだ。
「だって、大樹は私を知らない……」
「好きなんでしょ? 麗華の目は正しいよ、相変わらずいい人やっているし」
杏奈は一旦、様子を伺うと麗華が動くであろうその言葉を放った。
「じゃあ、私が会って伝えるよ? 田舎のネットワークは強力なのは知ってるよね?」
杏奈の口調は強かった。麗華が小さな悲鳴を上げた。
「やめて! 大樹はあなたを引きずっていたんだよ? 『話がある』って言ったら期待するに決まってる」
「かもね」
「わかっているなら、期待させて叩き落すことしないで」
麗華は怒って杏奈に訴えた。
「だから、あんたが動けと言っているの」
杏奈が麗華を見返し、語気を強めた。
「大樹を傷つけたくないなら、麗華、あなたが傷つく覚悟でいくしかないじゃない?」
杏奈の言葉があったから麗華は動いた。ネットの知り合いの『レイカ』を脱却し、宮野麗華として大樹に会う決意を固めたのだ。
「いらっしゃい!」
週末、大樹が麗華の部屋を訪れた。麗華の耳には青いイヤリングが揺れている。待ちきれなかったと、二人はすぐに長い口づけを交わした。
唇を離すと、大樹が麗華の顔に手を優しく添え、指でイヤリングを揺らして言った。
「ずっと付けていて欲しい」
「ぁ」
麗華の顔をなぞり唇で大樹は指をとめる。ふくよかな唇の柔らかさを指で感じながら大樹は柔らかな視線を麗華に向ける。遊んでいるもう一方の手をポケットに突っ込み、握った手を麗華の目の前でぱっと開いた。大樹の手から現れたのは、麗華がしている青いイヤリングと同じ物だった。
「えっ?」
驚きのあまり麗華は言葉が続かない。
「失くしたって、これで大丈夫だろ?」
大樹は続ける。
「杏奈が教えてくれた」
「杏奈?」
「落としてなくすのがいやだって聞いた。話はだいたいわかった。けど」
大樹は麗華をぐっと抱きよせ、青いイヤリングの揺れる麗華の耳元に囁く。
「君の耳に、俺の代わりを置いて欲しいんだ」
麗華は腕を大樹の背中に回し、大樹の抱擁に応えるのが精いっぱいだ。
「君が好きだ」
麗華は震える声を絞り出した。
「その言葉を……聞き……たかっ」
(おわり)
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「三度目と二個目」を読みました。
あら、そこで我に返るのか。
その辺が大樹の不器用さなんですね。
ちゃんと答えを出し、行動したのは良いです。
そして、この作品のキーアイテムのイヤリングに乗せた大樹の思いは良いなと思いましたが、なぜアノ人が絡んできたのかがちょっと???となりました。
それぞれの関係性は分かってますが、ここでの大樹との接点が分からなかったです。
大樹と麗華の思いや関係性の変わり方、良かったです。
あまりこうゆう作品は読む機会がないですが、ソフトな感じで、楽しく読ませて頂きました。
なるほど、って思いました。
いっそ、登場させない方向性の方がいいのか?
登場人物を少なくすることで、二人の描写を丁寧書く方に振った方がいいのかな? 改稿の余地がある
ことになかなか自分では気が付かないものですね。
これも考える課題にさせてください。
指摘いただいたことを自分なりに解釈して 作品を変えていく(または変えていかない)そのきっかけを
いただけたこと、有難いです!
「青いイヤリング」を読みました。
3「イヤリング」でのシーンがここに繋がるだろうとは思ってました。
けれど、やっぱりあそこにあるのはバランスが悪いかな、と思ってしまいます。
大樹にそんなフェチがあったとは。。
ただ、ちょっと大樹の変化が突然過ぎるかな?と思いました。
表現の丁寧さに反して展開の性急さを感じるのは短編だからなのかな?
もう少し、大樹の変化に関する描写があった方が良いかも、と思いました。
ここからどう纏めるのか?
楽しみです。
読んでいただいてありがとうございます。
展開が早すぎる、確かにです。
大樹の描写 もう少し加えた方がいいかもですね。
そこらへん、確かに端折りぎみと感じるのかもしれません。
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感想とご指摘、ありがとうございます。
確かに、前半部分の唐突さ、自分で読み返して感じます。
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読んでくださって嬉しいです!