9 / 11
9 凛子、暴露する
しおりを挟む
時間をかけて帰宅し、自宅に到着したのはお茶が終了してから二時間後のことだった。
ちなみに終了三十分後には小森さんからの「今日は楽しかったです。ありがとうございました」というメッセージが届いていた。
小森さん…きっとお見合いなんかじゃなく普通に知り合うことができていたら、何の不満も感じない単なるマメな人で済んだんだろうな。
だけどだからと言って私の意志が変わることはないわけで。
とにかく相談所に電話をしなければ。
お見合い相手とのお茶終了の報告とお断りの依頼をするため、今日こそは繋がりますようにと相談所の履歴をタップした。
コール二回目で佐藤さんが電話口に出てくれた。
本日お見合い相手とのお茶があり、先ほど終了したと報告したところまではよかった。佐藤さんも「お疲れさまでした!」と労ってくれた。
しかし。
「実は、一週間連絡をやりとりしている間にこのお見合いに消極的になってしまっていて、今日のお茶もあまり気が進まなかったんです」
「何かありましたか?」
不安気に聞いてくれることに申し訳なく思うが躊躇いはない。
「あの人、夜遅い時間であるにも関わらずメッセージを送ってきて配慮ができないのかなって。私なんか家族相手にでも遅い時間には送らないように気を付けているのに。他人相手に信じられない」
「そういうことに気をつかうのは相手が誰であっても当然ですよ。私だって気をつかいます」
「それにお見合いで会った次の日だっていうのに『何時に寝るんですか?』って。普通聞きます?」
「え、ヤバいね」
ほら。
佐藤さんもドン引きだよ。
「料理の話をした流れで『手料理食べてみたいです』なんて言われてもう気持ち悪くて」
「あーーーーー」
「だから今日お茶するのに気が進まなくて…『手料理食べてみたい』のメッセージをもらったのが週の中頃だったんですけど、その時点でもう行きたくなくて、どうしようか相談したくてセンターに電話したんです」
「え、電話出ました?」
「それが何回か掛け直したんですけど、通話中だったので諦めました」
「ゴメンね、日中掛けた人が折り返してくれたりしてるからその時だったのかも。そうか~むこう勘違いしてるね。グイグイきたんでしょ?そういうのダメって言ってるのにな。出会い系とかじゃなくお見合いだから気をつけないと上手くいかないって説明はしんだけどな」
「説明したんですか?」
「したよ~!入会する時に説明するんだよ!」
「いつ結婚相談所に入ったんですかとかも聞かれて」
「聞かれたの?ルール違反だよ!」
私が不快に感じていたことは全て佐藤さんの逆鱗に触れた。
◆ ◆ ◆
ちなみに終了三十分後には小森さんからの「今日は楽しかったです。ありがとうございました」というメッセージが届いていた。
小森さん…きっとお見合いなんかじゃなく普通に知り合うことができていたら、何の不満も感じない単なるマメな人で済んだんだろうな。
だけどだからと言って私の意志が変わることはないわけで。
とにかく相談所に電話をしなければ。
お見合い相手とのお茶終了の報告とお断りの依頼をするため、今日こそは繋がりますようにと相談所の履歴をタップした。
コール二回目で佐藤さんが電話口に出てくれた。
本日お見合い相手とのお茶があり、先ほど終了したと報告したところまではよかった。佐藤さんも「お疲れさまでした!」と労ってくれた。
しかし。
「実は、一週間連絡をやりとりしている間にこのお見合いに消極的になってしまっていて、今日のお茶もあまり気が進まなかったんです」
「何かありましたか?」
不安気に聞いてくれることに申し訳なく思うが躊躇いはない。
「あの人、夜遅い時間であるにも関わらずメッセージを送ってきて配慮ができないのかなって。私なんか家族相手にでも遅い時間には送らないように気を付けているのに。他人相手に信じられない」
「そういうことに気をつかうのは相手が誰であっても当然ですよ。私だって気をつかいます」
「それにお見合いで会った次の日だっていうのに『何時に寝るんですか?』って。普通聞きます?」
「え、ヤバいね」
ほら。
佐藤さんもドン引きだよ。
「料理の話をした流れで『手料理食べてみたいです』なんて言われてもう気持ち悪くて」
「あーーーーー」
「だから今日お茶するのに気が進まなくて…『手料理食べてみたい』のメッセージをもらったのが週の中頃だったんですけど、その時点でもう行きたくなくて、どうしようか相談したくてセンターに電話したんです」
「え、電話出ました?」
「それが何回か掛け直したんですけど、通話中だったので諦めました」
「ゴメンね、日中掛けた人が折り返してくれたりしてるからその時だったのかも。そうか~むこう勘違いしてるね。グイグイきたんでしょ?そういうのダメって言ってるのにな。出会い系とかじゃなくお見合いだから気をつけないと上手くいかないって説明はしんだけどな」
「説明したんですか?」
「したよ~!入会する時に説明するんだよ!」
「いつ結婚相談所に入ったんですかとかも聞かれて」
「聞かれたの?ルール違反だよ!」
私が不快に感じていたことは全て佐藤さんの逆鱗に触れた。
◆ ◆ ◆
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
東京カルテル
wakaba1890
ライト文芸
2036年。BBCジャーナリスト・綾賢一は、独立系のネット掲示板に投稿された、とある動画が発端になり東京出張を言い渡される。
東京に到着して、待っていたのはなんでもない幼い頃の記憶から、より洗練されたクールジャパン日本だった。
だが、東京都を含めた首都圏は、大幅な規制緩和と経済、金融、観光特区を設けた結果、世界中から企業と優秀な人材、莫大な投機が集まり、東京都の税収は年16兆円を超え、名実ともに世界一となった都市は更なる独自の進化を進めていた。
その掴みきれない光の裏に、綾賢一は知らず知らずの内に飲み込まれていく。
東京カルテル 第一巻 BookWalkerにて配信中。
https://bookwalker.jp/de6fe08a9e-8b2d-4941-a92d-94aea5419af7/
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる