凛子の婚活

東雲さき

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6 凛子、お茶する⑴

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ついに迎えたお茶当日。(デートだなんて絶対に言いたくない)
暖かな日差しに爽やかな風。まさにデート日和。
こんなに素晴らしい日に会いたくもない人に会わなければいけない。それが例え1時間であったとしても耐え難い。
初めはあった好感度もこの1週間で下がりに下がって今やマイナスに振り切ろうとしている。
どれほどイヤでも顔と態度にだけは出さないように気をつけよう。
意を決して待ち合わせの喫茶店のドアノブに手をかけた。

 ◆ ◆ ◆

初めて訪れたその喫茶店はこぢんまりとしていて隠れ家のような可愛らしい内装だった。
2人掛けのテーブル席が2つとカウンター席が6席。テーブル席ではカップルらしき男女が仲良く話しながらケーキを食べている。

「お好きな席へどうぞ」

店内に見入っていると店主らしき女性が声を掛けて席に促してきた。
小森さんはまだのようだったので、空いているカウンターの席に座ることにする。そのまま奥へと進み椅子に腰掛けた。

が、

近っ!

驚くほどに隣との距離が近い。しかも後ろは人がひとりようやく通れるほどの空間しかなかった。

端でよかった…


ギリギリ不自然に思われないだけ椅子を離してみる。

あとから一人来ることを店主さんに伝え、ひとまず小森さんには店に到着したことを知らせるためメッセージを入れた。

車を運転中だったら返信も遅いでしょ。

そんなことを頭の片隅に浮かべながら店内をこっそりと盗み見る。こんな状況でなければゆっくり過ごしたいほどだ。
しかしカウンター内との距離はわりと近いため会話は少なからず聞こえそうだ。もしかすると店主からは彼氏彼女に見られているのでは、という不本意極まりないことを頭の隅に浮かべていた。

 ◆ ◆ ◆

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