天使みたいな、妹

Yuki

文字の大きさ
上 下
20 / 20

苛烈な一夜

しおりを挟む
 高校生の僕が、関係があるにも関わらず葵さんと恋人同士になれないのは、彼女曰く、
「勇輝が私と同じ大学に入れたら、今の彼氏と別れて付き合ってあげる」とのことだった。
 葵さんは有名大学に通っている。僕の成績だとなかなか厳しい、と大人にいわれた。それでも妥協できないのは、彼女を諦められないからで、僕は必死に勉強を頑張った。
「A判定を取ったよ」
「それじゃあひとつだけ、何でもいうことをきいてあげる」と葵さんはいった。告白を了承する以外に。
 だから僕はその日彼女と苛烈な一夜を過ごし、努力すればご褒美をもらえると学習した。
 試験の一ヶ月前に葵さんは電話で報告してきた。「彼氏と喧嘩して別れたの」と。「だから私が寂しくないように、絶対に大学に来てね」
 僕は彼女と約束をした。
 約束を守るのは、難しくなかったと思う。入試は、簡単とはいわないけど、自分の全力を出すことができたし、ちゃんと結果に結びついた。
「頑張ったね。偉かったね」葵さんは抱きしめてくれた。そして優しいキスをして……。

 春。
「葵さんが好きです。僕と付き合ってください」
「いいよ」憧れの先輩はいった。「私の彼氏になろうね」 
 僕たちは恋人同士になった。
「好きだよ。勇輝」 葵さんの家に泊まったとき。僕の彼女は、好意をぶつけてきた。「今までは好きをたくさんもらっていたから、いっぱいお返ししないとね」
 その夜に、僕たちは結ばれた。行為の最中、葵さんはたくさん好きっていってくれた。僕も、好きを吐き出した。
 僕の彼女は、僕よりもはやく大学を卒業した。ひとり暮らしの彼女の家で、彼女に入り浸っていた僕は、彼女が就職のために引っ越すことを伝えられた。
「勇輝が就職したら、私を追いかけてきてね。一緒に暮らそう。あなたと同棲したいな」
 僕は葵さんと、新しい約束をした。そのために、大学生活を謳歌した。サークル活動や勉学に励み、そして休日には、葵さんの新居で彼女を愛することに励んだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...