僕が15だった頃

ハセベマサカズ

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僕が15だった頃 ⑨

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 慌しい年末を迎え、街は俄かに活気付く。過ぎてみれば早いもので学校も冬休みに入っていた。希望者に対して行う補修講義に僕も桐島も出席し、受験対策に追われていた。
「高校どこ行くつもりなの?」
 そんな時期に一度だけ尋ねた事があった。
「出来るなら、一緒の所に行きたいけどね」
 そう言って僕の志望校を上げた。
「知ってたの?」
 僕は驚いた。
「それだけね」
 桐島は笑ってた。
 少しの沈黙の後、
「考えてみると、私達って、お互いの事を何も知らないね」
 なんて言われて、初めて気が付いた。僕と桐島は一緒にいる時間こそ長かったけれど、特に話し込んだりだとか、学校の外で待ち合わせたりだとか、そんな事は一度も無かった。彼女の体の事を考えれば、当然の事だったんだけど。
「受験終わったら、どこか行きたいね。どこか遠い所へ」
 独り言のように彼女は静かな声で言う。この単調な日常を抜け出してみたら、何か見つけることが出来るだろうか。本当にやりたいと思えるものや進むべき道が。輪郭の無い将来を頭の中で固めるよりも、何かを探してみたいと僕はそんな事を考え始めていた。
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