9 / 12
はやっ③
しおりを挟む
☆
道路の怪異というのは意外と数が多い。
剛さんが見たというターボババアあるいはターボおばあちゃんという怪異が道路の怪異の一番代表的なやつで、剛さんが無事だったように驚かすだけで無害なのが特徴である。
これが悪意ある怪異になってしまうと、バスケットおばあちゃんの様に、
一応説明しておくとバスケットおばあちゃんはターボおばあちゃんと同じ道路の怪異でバスケットボールを高速でドリブルしながら、主にバイク運転をしているライダーにパスを投げてくる。受け取ると事故にあい、無視しても身体にボールが当たり事故になるという、誠困った怪異なのである。
まあ、道路の怪異はどれもどこか冗談っぽい怪異が大半であり、高速でハイハイしてくる赤ちゃんとか、ミサイルにまたがった女子高生などと、見たと証言した人間の頭を疑ってしまう様なものが道路の怪異には多い。
あとは、六甲山が本場であると言われるが、目撃情報は全国様々な道路や高速道路にあると言われる。
ターボおばあちゃんがらみだと、某通信会社のCMなんかが面白く、やっぱりターボおばあちゃんはジョーク的な怪異なんだなと再確認させてもらえる。
「抜かれると死ぬって話もあるじゃねえかよ。和尚お願いだ! 除霊してくれ」
「だから拙僧のは除霊じゃないっていつもいっておろう」
「まあ、なんでもいいよお経あげてくれよ」
夢幻和尚はやれやれだぜと言わんばかりのポーズを決め剛さんを生暖かい目で見た。
「その剛氏が見たターボおばあちゃんは十中八九親戚のおばあちゃんだと拙僧は思うよ」
「そういえば似てた気もするが、可哀そうになそんな怪異になっちまって」
「…………」
「やっぱりそのおばあちゃん剛さんと血がつながっているだけはあるよ」
絶対驚かせてやろうというサービス精神を天然で、しかもこんな形で見せるあたり、やっぱり剛さんの一族だと僕は思った。死んでもただでは死なないのである。
「こっちは給料日直後で金はあるんだ。なあ、和尚いいだろ?」
たぶん剛さんはそのうち、年金支給日に銀行に並んでは、即座にパチンコを打ちに行く不良老人になるに違いないと僕は確信した。
「まあ、そういう事ならお経を上げますかね」
やっぱり生臭坊主、金には弱いようだ。
「やった! 和尚は験力だきゃあ確かだからな。これでばあ様も即昇天ってやつだ」
これで当分の間坊主の懐は暖まるという事になるのだろう。まあ剛さんにお金を持たせておいても良いことはなさそうだし、お金が無くなれば、つましいちびちび飲みを再開する辺り、借金をしてまでお金を使わないところが数少ない剛さんの美徳なんだろう。
「しかしターボおばあちゃんか、本気でそんなもんに行き会う人は剛さんくらいでしょうね」
「作家どの、それ褒めてるの? 貶してるの?」
「う~ん、どちらかというと褒めてるかな? まあ無駄な霊媒体質だと思うけど、ある意味純粋なんでしょうね剛さんは」
「そう? 俺は純粋よ。だからかかあも……」
そうしていつもの様に剛さんのかかあ自慢が始まった。いつも幽子さんに色目を使う剛さんの奥さんは実は結構な美人なのだ。
もちろん年はそれなりで、上品な貴婦人然とした初老の淑女なのだが、なんで剛さんにこんな人が? と首をかしげたくなる。ある意味ターボおばあちゃん以上の不思議なお話なのである。
今日の幽は明るい笑いがこだまする。酒の美味い夜だった。
道路の怪異というのは意外と数が多い。
剛さんが見たというターボババアあるいはターボおばあちゃんという怪異が道路の怪異の一番代表的なやつで、剛さんが無事だったように驚かすだけで無害なのが特徴である。
これが悪意ある怪異になってしまうと、バスケットおばあちゃんの様に、
一応説明しておくとバスケットおばあちゃんはターボおばあちゃんと同じ道路の怪異でバスケットボールを高速でドリブルしながら、主にバイク運転をしているライダーにパスを投げてくる。受け取ると事故にあい、無視しても身体にボールが当たり事故になるという、誠困った怪異なのである。
まあ、道路の怪異はどれもどこか冗談っぽい怪異が大半であり、高速でハイハイしてくる赤ちゃんとか、ミサイルにまたがった女子高生などと、見たと証言した人間の頭を疑ってしまう様なものが道路の怪異には多い。
あとは、六甲山が本場であると言われるが、目撃情報は全国様々な道路や高速道路にあると言われる。
ターボおばあちゃんがらみだと、某通信会社のCMなんかが面白く、やっぱりターボおばあちゃんはジョーク的な怪異なんだなと再確認させてもらえる。
「抜かれると死ぬって話もあるじゃねえかよ。和尚お願いだ! 除霊してくれ」
「だから拙僧のは除霊じゃないっていつもいっておろう」
「まあ、なんでもいいよお経あげてくれよ」
夢幻和尚はやれやれだぜと言わんばかりのポーズを決め剛さんを生暖かい目で見た。
「その剛氏が見たターボおばあちゃんは十中八九親戚のおばあちゃんだと拙僧は思うよ」
「そういえば似てた気もするが、可哀そうになそんな怪異になっちまって」
「…………」
「やっぱりそのおばあちゃん剛さんと血がつながっているだけはあるよ」
絶対驚かせてやろうというサービス精神を天然で、しかもこんな形で見せるあたり、やっぱり剛さんの一族だと僕は思った。死んでもただでは死なないのである。
「こっちは給料日直後で金はあるんだ。なあ、和尚いいだろ?」
たぶん剛さんはそのうち、年金支給日に銀行に並んでは、即座にパチンコを打ちに行く不良老人になるに違いないと僕は確信した。
「まあ、そういう事ならお経を上げますかね」
やっぱり生臭坊主、金には弱いようだ。
「やった! 和尚は験力だきゃあ確かだからな。これでばあ様も即昇天ってやつだ」
これで当分の間坊主の懐は暖まるという事になるのだろう。まあ剛さんにお金を持たせておいても良いことはなさそうだし、お金が無くなれば、つましいちびちび飲みを再開する辺り、借金をしてまでお金を使わないところが数少ない剛さんの美徳なんだろう。
「しかしターボおばあちゃんか、本気でそんなもんに行き会う人は剛さんくらいでしょうね」
「作家どの、それ褒めてるの? 貶してるの?」
「う~ん、どちらかというと褒めてるかな? まあ無駄な霊媒体質だと思うけど、ある意味純粋なんでしょうね剛さんは」
「そう? 俺は純粋よ。だからかかあも……」
そうしていつもの様に剛さんのかかあ自慢が始まった。いつも幽子さんに色目を使う剛さんの奥さんは実は結構な美人なのだ。
もちろん年はそれなりで、上品な貴婦人然とした初老の淑女なのだが、なんで剛さんにこんな人が? と首をかしげたくなる。ある意味ターボおばあちゃん以上の不思議なお話なのである。
今日の幽は明るい笑いがこだまする。酒の美味い夜だった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
ナオキと十の心霊部屋
木岡(もくおか)
ホラー
日本のどこかに十の幽霊が住む洋館があった……。
山中にあるその洋館には誰も立ち入ることはなく存在を知る者すらもほとんどいなかったが、大企業の代表で億万長者の男が洋館の存在を知った。
男は洋館を買い取り、娯楽目的で洋館内にいる幽霊の調査に対し100億円の謝礼を払うと宣言して挑戦者を募る……。
仕事をやめて生きる上での目標もない平凡な青年のナオキが100億円の魅力に踊らされて挑戦者に応募して……。
ヴァルプルギスの夜~ライター月島楓の事件簿
加来 史吾兎
ホラー
K県華月町(かげつちょう)の外れで、白装束を着させられた女子高生の首吊り死体が発見された。
フリーライターの月島楓(つきしまかえで)は、ひょんなことからこの事件の取材を任され、華月町出身で大手出版社の編集者である小野瀬崇彦(おのせたかひこ)と共に、山奥にある華月町へ向かう。
華月町には魔女を信仰するという宗教団体《サバト》の本拠地があり、事件への関与が噂されていたが警察の捜査は難航していた。
そんな矢先、華月町にまつわる伝承を調べていた女子大生が行方不明になってしまう。
そして魔の手は楓の身にも迫っていた──。
果たして楓と小野瀬は小さな町で巻き起こる事件の真相に辿り着くことができるのだろうか。
ゴーストバスター幽野怜Ⅱ〜霊王討伐編〜
蜂峰 文助
ホラー
※注意!
この作品は、『ゴーストバスター幽野怜』の続編です!!
『ゴーストバスター幽野怜』⤵︎ ︎
https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398
上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。
――以下、今作あらすじ――
『ボクと美永さんの二人で――霊王を一体倒します』
ゴーストバスターである幽野怜は、命の恩人である美永姫美を蘇生した条件としてそれを提示した。
条件達成の為、動き始める怜達だったが……
ゴーストバスター『六強』内の、蘇生に反発する二名がその条件達成を拒もうとする。
彼らの目的は――美永姫美の処分。
そして……遂に、『王』が動き出す――
次の敵は『十丿霊王』の一体だ。
恩人の命を賭けた――『霊王』との闘いが始まる!
果たして……美永姫美の運命は?
『霊王討伐編』――開幕!
短な恐怖(怖い話 短編集)
邪神 白猫
ホラー
怪談・怖い話・不思議な話のオムニバス。
ゾクッと怖い話から、ちょっぴり切ない話まで。
なかには意味怖的なお話も。
※追加次第更新中※
YouTubeにて、怪談・怖い話の朗読公開中📕
https://youtube.com/@yuachanRio
対悪霊討伐組織【X】
虚実
ホラー
【あらすじ】
20××年。
昔よりも科学が進歩したこの時代。
大都会【東京】でこの物語は始まる。
【県立藍欄[あいらん]高校】
この高校には6人の【人とは違う能力】を持つ者達が居る。
その【人とは違う能力】とは、普通の人であれば見えるはずの無い幽霊が見える力。
つまり、《霊感》を強く持つ者だった。
その6人の名は
堀宮中瀬[ほりみや なかせ]17,男
佐藤夏希[さとう なつき]17,女
伊勢ヶ屋千尋[いせがや ちひろ]16,男
新道真紀[しんどう まき]16,女
神崎拓[かんざき たく]16,男
神崎衣玖[かんざき いく]16,女
以上の6名である。
この6人はある組織、
《対悪霊討伐組織【X】》という組織の幹部である
【末原 咲[すえはら さき]】
という女によって組織に入ることになる。
そこで待ち受けていたものとはーーーーーーーーー。
#彼女を探して・・・
杉 孝子
ホラー
佳苗はある日、SNSで不気味なハッシュタグ『#彼女を探して』という投稿を偶然見かける。それは、特定の人物を探していると思われたが、少し不気味な雰囲気を醸し出していた。日が経つにつれて、そのタグの投稿が急増しSNS上では都市伝説の話も出始めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる