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トレーニングその十二 キャラクター作りの練習
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現代のエンターテイメント系の小説において、奇抜なプロットと同じかそれ以上に大事なものがキャラクターの設計です。魅力的なキャラクターが思いつけば、それだけでも面白いお話が作れるほどです。
Y=f(x)と言う方程式の様なものでキャラクターを現したキャラクター作りの方法論が*20の『キャラクター小説の作り方』にあるので紹介しましょう。
Y=f(x)のYとはキャラクターの名前でfがキャラクターを抽象化したもの、xがキャラクターの要素です。
ゼロの使い魔のルイズで言えば、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール=魔法使いの少女(ツンデレ 一見無能力者 ガンダールブの主 虚無魔法の使い手 ツリ目 ピンク髪 …………)
の様な感じでしょうか、より個性的なxを思いつけるかが鍵で、なおかつその要素は物語のエピソードに連結していることが大事です。中核となるxは一つでも良いそうです。
既存のキャラをこの方法で要素に抽出してみて、思い切って時代背景や世界観などを変えてみると、ユニークなキャラクターが生まれることもあるとか。
この方程式で自分のキャラを作ってみても良いですが、既存作品のキャラをこの方程式にあてはめ分析してみるのも有効なトレーニングになります。
同じようにキャラクターを方程式にまとめたアイデアが*10『物語の法則』にあります。それによると(キャラクター=①求めるもの+②動き+③障害+④選択)と言う方程式です。キャラクターにはまず内的な欲求があり、何らかのアクションを起こします。それを何かが手酷く妨害し、キャラクターは選択を迫られる、と言うキャラクターを視点としたプロットラインがあると考えます。
これはキャラクターの行動を決める際の目安に出来る、実践的なツールでもあるのですが、既存キャラクターを分析するツールにもなります。この方程式で自分の好きなキャラクターを分析してみて下さい。良くできた物語のキャラクター達はこれらの要素だけでも興味を惹く劇的なアクションに溢れていることに気が付くと思います。
*23 (ライトノベル作法研究所 (2009) キャラクター設計教室 秀和システム)においてキャラクターをマインドマップにするアイデア作成法を紹介しています。
マインドマップとは脳内に近い方式で思考を書き出すことで、記憶や発想を助けるようにした図解の事です。草が根を張るように物事を結びつける要素が枝分かれして伸びていくのが特徴のマップで、紙に書き出すのが一般的ですが、このマインドマップを作製するのを補佐するソフトウェアもあります。
中心になるキャラクターから「外見、能力、肩書」「性格、傾向」「経歴、過去」「目的、未来」など枝を伸ばしていってアイデアを書きこみ分岐させていくのです。ここでもアイデアの末端はエピソードに繋がっていく形にすることを勧めています。やはりキャラクターの要素とは物語と結びついていないかぎりあまり意味は無いという事なのだと思います。外見等の特徴でオリジナリティを出すのは難しく、やはり特徴あるエピソードでキャラを見せるべき、と言えると思います。
これも既存のキャラクターでマインドマップを書き出してみるのも、キャラクター作りの有効なトレーニング法であると思われます。ぜひ自分の好きなキャラクターでマインドマップを書いてみて下さい。
ここまでキャラクターを分析、構築するためのアイデアを基にトレーニング法を紹介しましたが、もう一つキャラクターを理解するうえで役に立つ方法が、キャラクターの類型を知る事です。物語論のところで紹介したプロップの理論や*22の神話の法則等にもキャラクターの類型が紹介されています。主にこの類型は物語上におけるキャラクターの役割に準じて作られており、主人公の敵になる敵対者や主人公を助けてくれる贈与者やメンターやあるいは偽の主人公と言った類型です。神話の法則ではこれらをアーキタイプと呼んでいました。類型に従ったキャラクターは没個性的になるのではと懸念する人もいるでしょうが、ちゃんと類型を知ってそのうえであるいは類型を歪めたりくっつけたりした方が、より個性的なキャラクターが生まれるように思います。作家の固有性は無理して創るものではなく、自然とにじみ出るものなのだと言う人も多いですね。
*10の『物語の法則』でも古いテオプラストスの『キャラクターたち』に書かれた人物類型を使った創作法やトレーニング法を紹介していました。この『キャラクターたち』は古典なんてものじゃないくらい古い書物ですが、なんせテオプラストスはアリストテレスの同僚で友人です。ざっと二千年以上前……良く残っていたものです。
テオプラストスはアテネの市場で人間観察を行い、いくつもの人物類型を発見しました。皮肉屋とかへつらい屋とか無駄口屋といった人間の悪徳をサンプリングしたような類型で、一説には美徳を現した類型もあったんじゃないかと言われていますが、残念ながら現在は失われてしまったようです。このテオプラストスの三十の類型あるいは自分で作った人物類型のリスト、それをカードにして引き二三の類型を併せ持った人物を想像してみると言うトレーニングです。キャラクター作りの幅を広げるのに良いトレーニングだと思います。
キャラクター作りのトレーニングを紹介するにおいて、僕が個人的に外せないなと思う本が*24 (大塚英志 (2008) キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 アスキー新書)です。
サイコロを振ってキャラクターの特徴を決め創作するトレーニングやその他にも物語論を参考に様々な機能を持ったキャラクターを創り出すワークショップを載せた本です。キャラクター作りに特化した本のなかでも一二を争うくらい実用性がある内容が売りです。この本で紹介されているのは実践的なキャラクター作りのアイデア作成法でもあるのですが、トレーニングとしてのワークショップと言う側面も強く、キャラ作りを伸ばしたいライターにうってつけの一冊です。
キャラクター作りも分析と実作を繰り返すことで鍛えられていく要素だと思います。プロット作り、文章力と並ぶ創作の重要スキルです。ぜひ時間を見つけて練習してみて下さい。
Y=f(x)と言う方程式の様なものでキャラクターを現したキャラクター作りの方法論が*20の『キャラクター小説の作り方』にあるので紹介しましょう。
Y=f(x)のYとはキャラクターの名前でfがキャラクターを抽象化したもの、xがキャラクターの要素です。
ゼロの使い魔のルイズで言えば、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール=魔法使いの少女(ツンデレ 一見無能力者 ガンダールブの主 虚無魔法の使い手 ツリ目 ピンク髪 …………)
の様な感じでしょうか、より個性的なxを思いつけるかが鍵で、なおかつその要素は物語のエピソードに連結していることが大事です。中核となるxは一つでも良いそうです。
既存のキャラをこの方法で要素に抽出してみて、思い切って時代背景や世界観などを変えてみると、ユニークなキャラクターが生まれることもあるとか。
この方程式で自分のキャラを作ってみても良いですが、既存作品のキャラをこの方程式にあてはめ分析してみるのも有効なトレーニングになります。
同じようにキャラクターを方程式にまとめたアイデアが*10『物語の法則』にあります。それによると(キャラクター=①求めるもの+②動き+③障害+④選択)と言う方程式です。キャラクターにはまず内的な欲求があり、何らかのアクションを起こします。それを何かが手酷く妨害し、キャラクターは選択を迫られる、と言うキャラクターを視点としたプロットラインがあると考えます。
これはキャラクターの行動を決める際の目安に出来る、実践的なツールでもあるのですが、既存キャラクターを分析するツールにもなります。この方程式で自分の好きなキャラクターを分析してみて下さい。良くできた物語のキャラクター達はこれらの要素だけでも興味を惹く劇的なアクションに溢れていることに気が付くと思います。
*23 (ライトノベル作法研究所 (2009) キャラクター設計教室 秀和システム)においてキャラクターをマインドマップにするアイデア作成法を紹介しています。
マインドマップとは脳内に近い方式で思考を書き出すことで、記憶や発想を助けるようにした図解の事です。草が根を張るように物事を結びつける要素が枝分かれして伸びていくのが特徴のマップで、紙に書き出すのが一般的ですが、このマインドマップを作製するのを補佐するソフトウェアもあります。
中心になるキャラクターから「外見、能力、肩書」「性格、傾向」「経歴、過去」「目的、未来」など枝を伸ばしていってアイデアを書きこみ分岐させていくのです。ここでもアイデアの末端はエピソードに繋がっていく形にすることを勧めています。やはりキャラクターの要素とは物語と結びついていないかぎりあまり意味は無いという事なのだと思います。外見等の特徴でオリジナリティを出すのは難しく、やはり特徴あるエピソードでキャラを見せるべき、と言えると思います。
これも既存のキャラクターでマインドマップを書き出してみるのも、キャラクター作りの有効なトレーニング法であると思われます。ぜひ自分の好きなキャラクターでマインドマップを書いてみて下さい。
ここまでキャラクターを分析、構築するためのアイデアを基にトレーニング法を紹介しましたが、もう一つキャラクターを理解するうえで役に立つ方法が、キャラクターの類型を知る事です。物語論のところで紹介したプロップの理論や*22の神話の法則等にもキャラクターの類型が紹介されています。主にこの類型は物語上におけるキャラクターの役割に準じて作られており、主人公の敵になる敵対者や主人公を助けてくれる贈与者やメンターやあるいは偽の主人公と言った類型です。神話の法則ではこれらをアーキタイプと呼んでいました。類型に従ったキャラクターは没個性的になるのではと懸念する人もいるでしょうが、ちゃんと類型を知ってそのうえであるいは類型を歪めたりくっつけたりした方が、より個性的なキャラクターが生まれるように思います。作家の固有性は無理して創るものではなく、自然とにじみ出るものなのだと言う人も多いですね。
*10の『物語の法則』でも古いテオプラストスの『キャラクターたち』に書かれた人物類型を使った創作法やトレーニング法を紹介していました。この『キャラクターたち』は古典なんてものじゃないくらい古い書物ですが、なんせテオプラストスはアリストテレスの同僚で友人です。ざっと二千年以上前……良く残っていたものです。
テオプラストスはアテネの市場で人間観察を行い、いくつもの人物類型を発見しました。皮肉屋とかへつらい屋とか無駄口屋といった人間の悪徳をサンプリングしたような類型で、一説には美徳を現した類型もあったんじゃないかと言われていますが、残念ながら現在は失われてしまったようです。このテオプラストスの三十の類型あるいは自分で作った人物類型のリスト、それをカードにして引き二三の類型を併せ持った人物を想像してみると言うトレーニングです。キャラクター作りの幅を広げるのに良いトレーニングだと思います。
キャラクター作りのトレーニングを紹介するにおいて、僕が個人的に外せないなと思う本が*24 (大塚英志 (2008) キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 アスキー新書)です。
サイコロを振ってキャラクターの特徴を決め創作するトレーニングやその他にも物語論を参考に様々な機能を持ったキャラクターを創り出すワークショップを載せた本です。キャラクター作りに特化した本のなかでも一二を争うくらい実用性がある内容が売りです。この本で紹介されているのは実践的なキャラクター作りのアイデア作成法でもあるのですが、トレーニングとしてのワークショップと言う側面も強く、キャラ作りを伸ばしたいライターにうってつけの一冊です。
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