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21.使い方
しおりを挟む放出したアイテムの中には【黄泉の国】でしか入手できないレアアイテムがあった。
《破魔ノ鉱石》
「あった!見つけた!」
大量のアイテムで埋め尽くされた部屋はいつかニュースで見たゴミ屋敷のようになっている。その中から目的のアイテムを探索するのは容易ではなく、十数分を消費しようやくそれを見つけた。
「《破魔ノ鉱石》4個!!アイテムボックスの中には60個あったはずだけど、見つかんないしもういいや」
「それを、どうするの?」
「え、これはあれですよ、魔力を打ち消す効果あるじゃないっすか」
「うん」
「あの大鹿さんが出す木の根や花粉は魔力体だからこれで掻き消せるかなって...」
「魔力体?そんなことがなぜわかるの?」
「あれ、言ってなかったっけ?【審美眼】は魔力を視認出来るんだよ。だからわかった」
「なるほど...。あれを無効化出来るのはわかったけど、どう攻撃に繋げるの?」
「それはねー」
ボンッとアイテムボックスを出現させ《破魔ノ鉱石》をひょいひょいっと収納。そこに更に拾っていた《火腫葉》《爆粉塵》を大量に入れた。
「準備おっけー!!」
そして私はアイテムの山をかき分け、進む。
「ミオちゃんこっちでおっけー?」
「ええ。あの辺り」
指差す場所を掘り起こすと、《黒錆ノ刀》があった。その在り処は宿る彼女が把握している。
「よし、行きますか」
更にかき分け進む。あの巨大な樹木の結界を目印にずんずんと。やがて開けた場所へ。そこには結界に護られた大鹿が佇んでいた。
こちらを視認したからか、大鹿は結界を解く。樹木の結界が魔力粒子となり宙に消えた。
(...大鹿の攻撃方法は、近づいた者を襲う木の根。そしてその周囲に漂う花粉。攻撃に対しては樹木結界。...他にもあるかもだけど、どのみち近づくことは出来ない...だから)
私は大鹿の角の花付近に指をさした。ここらへん、かな?
「...アイテムボックス――」
ボンッ!!と、指を差した場所へ四角い箱が現れた。と、同時に、大鹿の足元から地面を割って木の根が無数に飛び出す。そしてそれらがアイテムボックスへと攻撃を始めた。その時――
「――解放」
――フッ、と消える箱。その中に入っていたアイテムだけが空中に現れる。そのアイテムとは、先程いれていた《破魔ノ鉱石》《火腫葉》《爆粉塵》だ。
それらは一瞬にして大鹿の根により破壊される。が、それもアカリの計算の内だった。
――ドオオオォォンンンンンッッ!!!!
大爆発。
轟音と地響き。部屋全体が大きく揺れる。
アカリの体がはるか後方へ飛ばされ、大鹿周囲のアイテムが真赤な塵と化す程の大きな爆発がおきた。
――ズズズズ...
《火腫葉》は衝撃を与えることで自然発火する力を宿した葉っぱ。それにより火種ができる。更に一緒に入れておいた《爆粉塵》は火を当てれば途轍もない破壊力の爆発をおこす火薬となる。
そして、《破魔ノ鉱石》
煙がはれ、大鹿の姿が現れた。顔は吹き飛び跡形もなく、残った体には無数の穴が空いていた。
爆発で砕けた《破魔ノ鉱石》の破片である。これにより魔力ガードを無効化。
「よし!良い威力!!」
ぽかーんとするミオちゃん。
「...す、すごい...」
――が、これで終わるほど甘くは無かった。ドポンと残った体が液状化し、再度、再生するように形作られた。ただ、その形は先程の大鹿ではなく
「...やっぱり、形態変化した...しかもあれは」
「...剣を持った、人間...」
真っ白なドレスを纏う白髪の少女が現れた。その手には身長ほどもある剣が携えられており、こちらへ差し向けてくる。
開かれた真紅の双眸。彼女の黒い剣に血のような魔力が流れ、宿る。
「剣技勝負...!?」
ミオは彼女の顔に覚えがあった。
(彼女はっ、歴代最強の【剣聖】、アベルト・ティーラス!!...このモンスターは死したプレイヤーをも再現できるというの...!?)
「アカリ、あれは...」
その時、ミオは気がつく。アカリにはもう声が届いていない事に。
――深淵。深く深く闇の底を彩るような、暗い色をした瞳がその集中力の凄まじさを表していた。
(...私、ミオちゃんと帰るんだ。例え相手が誰であろうと...絶対に!必ず!)
アカリは《黒錆ノ刀》を構え、姿勢を低くした。
――必ず...生きて、帰る。
――ドヒュッッ
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